評価p 書名 著者 出版社
アッシュベイビー 金原ひとみ 集英社
 読後感・・・「こんなんしか書けないの? 芥川賞もらって。」 作者の筆力は認めます。大したもんです。でもこんな小説って昔、村上龍とかいっぱい書いてたじゃん。あきたよ。ほんま。
 自分勝手なキャバクラ嬢(<=主人公)と自分勝手な同棲中の男(こいつのロリコンっぷりが気持ち悪い。)、生々しく書かれているのにちっとも官能的でないセックス。しかも送り迎えの店の男とノリでセックス。突然始まる熱烈で理由が理解できない恋愛。恋愛のきっかけは(前作も)外見。おやじはキモイから嫌いな女主人公。自分はそこそこの容姿。「殺して欲しいんです」??????・・・・。
 一作目はいいでしょう。その時代の一つの断面図として読ませてもらいました。なまじ筆力があるから、腹が立つんですが、こんなもんいくつも読めませんって。
 村上龍や山田詠美は褒めるかも知れませんが・・・。僕はノーサンキューです。新しい小説かもしれませんが、量産しないで欲しい。
 この作者、文芸誌に40ページ位の短編入れたり、連載持ったりしたときもこんなのばっかり書いてるんだろうか・・・。小説家ってもっと勉強するものじゃないの? 
 異常な性や恋愛を読みたかったら、谷崎潤一郎とかもっと作品として完成度の高いものあるじゃないスか。SMがよみたきゃ、団鬼六だ。(他にもいっぱいあるでしょうが・・・。)でも、破壊や幼児虐待的嗜好はやめて欲しい。金原ひとみの書く世界は「乾燥」しすぎ。グロイのに、エロくない(<=生の喜びへの願望が見られない)。タナトス(死への願望)で満ち溢れていて、面白く読めない。セックスと排便の違いを彼女は理解しているのか? 
 好意的に読めば、本作品は「間違いなく新しい小説。」です。前作と同様な雰囲気ですが、前作はここまではっきりと「タナトス」をテーマにしてませんでした。この世に居場所を持てない新人類(<=ふるい言い方でごめんなさい)が切々と感情を書き綴ったリアルな叙情小説だといえるのでしょう。作者の書きっぷりに迷いがない分、よく響きます。ストーリーもちゃんと計算されている。案外したたかな書き手です。それゆえ、抱く反感も多いのかも。
 彼女に日和見的に作風を変えて欲しいとは言いませんが、もっと違うテーマを違う感じの主人公で扱って欲しいです。人生の履歴も含めて、「綿矢りさ」さんより将来性を感じたのでもっと色んなものを書いて欲しいです。人の評価など気にせず、でも演出も忘れずに書いてんのは解りますが、もうちょっと希望のある話をお願いしたいなぁ。初めての星一つです。
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