評価p | 書名 | 著者 | 出版社 |
★★★★★ | Delphiオブジェクト指向プログラミング | 塚越一雄 | 技術評論社 |
一度、絶版になってから再度刊行されました。Delphiバージョン3くらいの頃の人には知れ渡っている名著です。同様の内容でゲーム&&オブジェクト指向プログラミングという本もあるのですが(こちらはC++のソースもある)、復刊されて新本で手に入るらしいのでこちらをお奨めします。 とてもわかりやすい本をかく人で、オブジェクト指向という当時耳慣れない考え方に大いになじめました。本書のように継承・カプセル化・多態性どれも大規模開発の混乱を防ぐための技術なのだといわれれば納得しますし、よりよい使い方を模索するものです。類書でクラスという概念を動物クラスとか鳥クラスというサンプルで説明していますね。僕には「クラスは変数の型でサブクラスのインスタンスも受け取れる」と言ってもらう方が簡潔で分かりやすいです。そのように理解しないといつまでも本質に到達できないと思います。デルファイを使う気がなくても「オブジェクト指向って何?」ってまよってるならこれ! かつて本書に出会う前、オブジェクト指向というものが気になって、TurboC++(5.0J)のコンパイラを買ってきて、ソースを追っかけてみたのですが、コメントの意味が良く分かりませんでした。コンストラクタ?デストラクタ?インスタンス(ヒープのことかな?) Cがちょっと分かるつもりだったので非常にショックでした。デルファイとはバージョン1からの付き合いでしたが(TurboPascalは知りませんでした。)、速いオブジェクトが作れるVBくらいの感覚でした。ソースコードの宣言部と実現部の違いもよく分かりませんでした。(usesがincludeだなというくらい。)もっと正直にいうとクラスを宣言するということも分かりませんでした。 本書がでてからデルファイの使い方が変わりました。Windowアプリケーションをみても、「この今アプリ・ウィンドウの型のインスタンスがrunされている。」とPCのソフトの動きを見る目が変わりました。そしてC++の本やソースを読むとよく分かるようになりました。 塚越さんの本は何気なくサンプルを入力していくとだんだんと本質に近づいて、最後に割と本格的なアプリケーションを組んでしまうところがすごいと思います。豊富なサンプルで飽きないし、簡単なサンプルながら、地の文はプログラミングパラダイム(典型的規範例)の本質をばっちり解説してくれる。その上分かった気で終わらないように「コードに思想が反映されない知識は本物じゃない」みたいなことを言って発破をかけてくれる。 塚越さんの著作業はPC8001時代からです。僕はPCユーザーのデビュー遅かったのであまりライブで本をおいかけてなかったですが、どの本も品質が高く分かりやすい。本当に尊敬しています。 僕はPC88のエミュレータを立ち上げてマシン語モニターで遊んだりしますがそのときたよりになるのは、古本屋で背取ってきた塚越さんのマシン語の本です。 塚越さんはC++の分厚い入門書も出してるので(これからの時代いまさらC/C++をやる価値があるかどうかは別として)、オブジェクト指向をC++でと思う人はこれがいいでしょう。手に入るのなら「ゲーム&&オブジェクト指向プログラミング」もお奨めです。c++とobject pascalの二つでソースがついていますが啓蒙的な記述にはソースを混ぜていないので(地の文とソースの掲載が奇数章と偶数章に分かれてる不思議な本。)プログラム言語に関係なく思想が学べます。 |