評価p 書名 著者 出版社
★★★★ 戦争広告代理店 高木 徹 講談社

 世界の火種と謳われたテロルの温床ユーゴスラビアの悲劇はこうやって頂点に達したのですね。やっぱり世界の戦争にアメリカが一枚噛んでいる。セルビアのベオグラードが空爆されボロボロになったのは、ボスニアの外務大臣がアメリカの広告代理店とタイアップして米国世論を誘導し空爆を引き起こしたからだということらしいです。本書にはその過程が克明に書いてあります。世論誘導を行ったボスニアの首都がサラエボです。(僕もこの本見るまでうろ覚えです)そのサラエボはいまでは結構平安な都市らしい。マスコミの時代にあって世論は操作できる。頂点までいくと戦争を引き起こすことができる。言い換えれば自分に都合のよい正義を生産できるそういうことを教えられました。
 米国の広告代理店のジム・ハーフという人が、ボスニアがセルビア人に虐げられているというFaxメディアを作成します。そしてそれを米国の議会に影響を及ぼせる人を選んで選択的に送りつけます。ボスニアの外務大臣が悲劇のヒーローみたいに見えるように(外見の化粧までして)演出をします。そしてベーカー国務長官と外務大臣の会談が成功し議会の参戦ムードが一気に盛り上がる。恐ろしいことです。
 著者はボスニアは小国すぎて外交官がいなかったので、ジム・ハーフ氏が外交官代わりに首脳会談にまで参加することになったといいます。そしてジム・ハーフ氏が優秀すぎてセルビアへの空爆が起こったというのです。実際、日本が米国と首脳会談して、外交官がキレもんだから日本に都合のいい展開になることは考えられないと思います。まして、あの頃のユーゴスラビアに米軍が出動することがアメリカの得になることはなにもなかったと思いますが、実際に空爆が起きたわけです。
 マスコミの怖さを理解して使えばなんでもできると思いました。一般大衆たる僕らはどんなニュースみても冷静でなきゃならないと思います。

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