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★★★★★ perlはじめて塾 やさしいperl[表計算的処理編] 塚越 一雄 ラトルズ
 CGIの使えるフリーのHPスペースを持っているので、perlを勉強したいなと常日頃から思っていましたが、perl独特の省略とか、変な規則がどうしてもピンとこないので重い腰が上がりませんでした。いまさら勉強しなくてもと色んな人から言われましたが、なんとなく好奇心があったんです。
 さて、畏敬する塚越大先生のこの書物、他のperl本と一味もふた味も違う。独創性に満ち満ちています。perlで「表計算」???と思って読むとperlのテキスト処理に重点を置いてどんどんと筆が進んでいます。$、@、&とこれらの違いやオプション-nlaなど普通の言語にない概念をじっくり学びながら、ちーっちゃいプログラムをどんどん作っていきます。最後にはテキストファイルを使ったDBアプリケーションのようなモノができてしまう。この人の書く本はズブの素人が読んでても、いつのまにやら、何か結構なモノが出来上がってしまうとこが凄い。
 物事へのアプローチに参考になることが一杯書いてあります。  たとえば、以下は9章の冒頭。
 これからしばらくは、数章にわたって「統合的なデータ処理プログラム」
の作成に取り組む。一般に「業務」というものは常に変化するものである。
新しい業務が追加されるし、既存の業務も変更される。
 「統合的なデータ処理」というと、かなり大きなシステムになることが予
想される。しかしいきなり大きなシステムを作っていては、完成までに時間
がかかってしまう。また、完成した頃には仕事が変化していて、「使えない
システム」になってしまう可能性もありえる。
 この後、perlのみならず。コマンド登録やソート機能などを駆使して現金出納帳システムみたいなものをメニュー化してしまいます。
 400ページ近い内容濃い本ですが、土日に寝っころがって読んだら読めちゃいました。Windowsで練習したいので、早速フリーのWindows用perlで有名なActivePerlをダウンロードして試してます。少しUnixと違うので戸惑いましたが、「perlの場所」#!/usr/bin/perlをそのままにしても動くみたいです。(WINDOWS流にC:\perl\bin\perl.exeでもOK)。サンプルダウンロードして、色々試してます。面白くて、強力な言語ですね。Cをかじらなくても、舐めたことあれば楽勝だと分かりました。ポインタだのないですし・・・。
 さて、本書で残念なのはperlのズブの素人でも読めるけど。UNIXじゃない人はちょっと戸惑うかもしれないことですね。
 例えば、第一章はちょっとこの本の中で異色な雰囲気を醸してます。プログラミングのときにperlスクリプトの冒頭に「perlの場所」というperlインタープリタの入っている場所を書くのですが、この意味を解き明かすのにUNIXのシェルを切り替える方法を示して、perlも同じことやってるだけだとさとしてくれます。
 (シェルって何?っていうWinの方は「コマンド体系」だと思ってください。bashだとか、cshだとかいろいろあってユーザーは切り替えられるんですね。WinではDOS窓でたたけるのはMS-DOSコマンドだけですが・・・)
 Linuxやってる人とかだったら「ふんふんperlってのはシェルスクリプトの一種と思ってもいいんだな。」と「bashだのzshだのをやめてこっちを使おう」だとか(bashは覚えとかないとトラブル対応が駄目か・・・)、色々と思うでしょうが、Windowsの人はちんぷんかんぷんでしょう。
 また、出版社のラトルズ社のサイトにサンプルが圧縮して置いてあるのですが、何の説明もなくtarで圧縮してある。windowsの人はZIPとLZH以外はお手上げじゃないかな?
 塚越さん昔はWindowsのプログラミングの本一杯書いてました。TurboC、TurboPascal、Delphi、C++builder・・と。でもどっかの時点でWindowsの本質が変わらんのにバージョンアップばかり重ねるのに辟易したようなことを書いてそれ以来Unixのネタに集中してしまった。
 もったいないな。こんなに読みやすいのに。今はWinでサーバー立ち上げて、ActivePerlでCGI書く人も結構いる時代。プログラムやってみようという初心者は少なからずWinだし、彼らにも門戸を開くべきだと思います。
 それはそれとして、やっぱいい本だと思わされます。たくさんCGIの解説書あるけどなんでそんな書き方が許されるのか分からんような記述がとても多い。Perlがなんで難しいかといえばえらく柔軟な省略記法のせいだと思います。塚越さんの本はここがきっちり書いてある。できれば続編を書いていただいて、一応どっかに載ってるようなカウンタの作り方だとか、メールフォームの作り方だとか、掲示板だとかも書いて欲しいですね。(でもデータベースアプリの方が難しいと思うけど。なんでこんなによく分かった気になるんだろう。)文中には「○○は続編で・・・」なんて書いてあるけど出ないですね。出たら立ち読みもしないで買おうかと思ってるのに・・・・。
 塚越さんの著作業にはいつも注目してるんですが、いつも期待を裏切って変わった本がでます。Delphiの本を3冊書いたときはver2.0までしか対応してなくて、ver3.1以降はもう書かなくなった。3.1初登場のインターフェイス型がよく分からなくて期待してましたがもう完結してしまったみたいでどんどん別のを出してました。Javaに移ったみたいですね。(その後の僕は色々やりながらインターフェイス型の意味を悟りました。)C++の本では、STLの解説を是非塚越さんの本で読もうと思ってたのですが、やっぱでない。そうかと思えば微積分の数学本を出す。・・・・とっても分かりやすいので期待しているのに。perlは予告している続編是非書いて欲しいですね。
 たとえ知ってることでも「この人だったらどう説明するんだろう。」という興味があるんです。それぐらい塚越さんの解説は独創的で印象に残る。どうも一般に広まると、もうその解説を書かないのかと思えば2002年になってPerlの本を書く。読めない人ですが、何かだしたら、僕は買ってしまうでしょうね。perlやろうという僕みたいな初心者にはおすすめです。
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