評価p 書名 著者 出版社
★★★ TVJ 五十嵐貴之 文芸春秋
 少し前にオール讀物で何かの賞に応募されていて、ダイハードに似すぎているので落選とかなった作品じゃないかと思います。そのときの選評に面白さは認めるけどオリジナリティない・・・なーんてこき下ろされてたのを思い出してどんな作品だったんだろ読んでみたい。・・・と買ってみました。
 話はお台場のテレビ局のインテリジェントビルをなぞの武装集団が占拠。経理部OLであるヒロインが彼らを相手に立ち回って、婚約者の彼氏を含む人質たちを見事救出・・・と。
 うーん、アクションはちょっといまいちだったな。ダイハードと同じでもいいですが、主人公はもうちょっと痛い目にあって(女性としてはあれが限界か・・・)、不屈の精神で戦ってほしい。か弱いOLがグリーンベレーばりの活躍をしてほしいとは思わないけど、まるで偶然と相手の油断というよりは不運に便乗して生き延びるだけのように思えてしまった。(ダイナマイトをしのぐときちょっとだけ知恵つかったのかな。)こんなアクションシーンではのめりこめないなぁ。せっかく敵の武器の機銃を手に入れるのに安全装置かかっててぶっ放せない・・・で終わってしまう。せめて2度目はがんばって撃とうよ。
 ただ、作品に魅力があるのは否めない。まず、主人公の女の子。いわゆる負け犬のOLでなんとなく付き合ってて結婚踏み切れない付き合いの彼氏あり。冒頭でいきなり「給料3ヶ月分」を突きつけられてちょっとプロポーズされちゃう。
 (なによ。嬉しいじゃない。もう一回はっきり言ってよ。)・・・とこころの中でつぶやくんだけど、このあたりはばっちり気持ち伝わってきます。かわいらしい女の人だと思いますね。
 事件はプロポーズの翌日に彼女が相手の親にあうようにばっちり決めてきたときに起こります。OLたちの間で「何が起こったのよ」(内緒、あたしは結婚するのよーん。)と腹芸するところは、男の僕にはわからん世界で面白いですね。そんなものなのかな。
 導入部よかったので、もうちょっと悪人もポリシーもって悪事を働いてほしかったし、OLの彼女も屈折してても良かったかも。・・・でも、屈折した人はプロポーズをあんな風に喜ばないだろうなぁとも思います。難しいです。単なる恋愛小説だと月並みになっちゃうけど・・・。うーん、やっぱアクションが足んないのか????
 お勧め度はちょっと迷って★3つ。楽しかったですが、ちょっと物足りない。彼氏をもうちょっと活躍させてもいいんじゃないかと考えちゃった。(ずーっとつかまってちゃだめでしょ。彼女ばっかりががんばりすぎ。)
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