大都市鉄道事情レポート

はじめに

 このレポートは、日本の大都市における鉄道事情を調査したものです。ただし、今のところ、三大都市圏と、完全なベッドタウンとなっている都市は掲載しない予定です。面倒なので。
 ダイヤは褐通新聞社発行、JR時刻表2004年7月号、11月号、または各社のページ掲載の時刻表を参照しました。また、所要時間は同列車のうちの1本を代表して掲載。ばらつきがある場合もあります。

静岡市

 人口70万人程度の政令指定都市。2005年4月1日に中核市から政令指定都市に格上げされた。多くの市町村を併合してきた歴史からか、面積はかなり広い。特に南北に大きくなっている。
 鉄道はすべて東西方向のみで、南北方面は車でしか移動することはできない。

JR東海道新幹線

 静岡県が大騒ぎしている(「のぞみ」をとめろ!…と)例の物。静岡市を東西に貫いている。当然ながら、東京から大阪に行く(逆も然り)サラリーマンも通っているはずなのだが、「のぞみ」がとまらないので、意識は薄いだろう。

・ひかり:1本/時
 東京(44分)三島(19分)静岡(22分)浜松(30分)名古屋
・こだま:2本/時
 東京(96分)静岡(79分)名古屋

 無論、通勤に使えないことはないのだが、いかんぜん値段が高く(東京⇔静岡一ヶ月130,140円)、しかも本数も少ない。通学は絶望的。

JR東海道本線

 静岡市を東西に貫いている。そのため、市内交通手段と言う感じは薄かったが、最近清水市と合併した関係で、市内交通という位置づけにすることもできる。が、それ以外はあくまでも郊外電車。

・普通:6本/時
 興津(17分)静岡(28分)島田

 本数は少なくはない。都市の規模から考えると妥当な線だといえる。が、興津から本数が逓減し始め、都市型の1時間間隔ダイヤでなくなる。この区間は所要時間17分で、距離が短い。逆の島田以西は、一応1時間間隔ダイヤは保たれているものの、電車の間隔は10分〜20分と不定期。つまり、静岡市通勤圏は興津〜島田間に限定されていると言える。

静岡鉄道

 新静岡〜新清水を東西に結ぶ中小私鉄。つまり、完全な市内交通手段と言える。

・各停:10本/時
 新清水(20分)新静岡

 完全にJRと並走しているため、速度上の不利を解消しようと、かなりの高頻度運転を行っている。その結果か、中小私鉄の割に、かなり利用され、市民の足として定着している。しかし、編成両数は東海道本線より少ないので、実質輸送量は大きく違わないと思われる。これらの性質から、大型路面電車といえるだろう。

名古屋市

 人口220万人の政令指定都市。東海地区最大規模の都市。東京と大阪の中間にあると言う立地条件と巨大な港をもち、自動車都市豊田市とも近い。ただし、大都市の割に鉄道輸送負担率が極度に低く、交通の面でも自動車都市である。このため、人口の少ない京都よりも、鉄道事情は劣っている。

JR東海道新幹線

 過去には名古屋駅に止まらない「のぞみ」もあったようだが、現在では最重要停車駅となっている。なお、市内区間は騒音防止のため徐行している。

・のぞみ:3本/時
 名古屋(36分)京都
・ひかり:1本/時(各停「ひかり」含まず)
 名古屋(38分)京都
・こだま:2本/時(各停「ひかり」含む)
 豊橋(28分)名古屋(25分)米原

 豊橋⇔名古屋間の往復運賃は格安であり、遅刻したときに慌てて利用する分には問題ない。ただし、この区間はJRと名鉄が在来線で激しく競い合っている区間であって、快速が頻繁運転されているので、特に新幹線を利用しなくてはならない理由もない。そのため、新幹線通勤が必要となるのは西側で、時間的には京都や大阪からでも不可能ではない。当然ある程度の資金が必須であるけれども。

JR東海道本線

 名古屋市を南東部から入り、西北部に抜けていく。市内交通としての役割は余り大きくないが、東側においては、ないわけでもない。

・快速:4本/時(含む特快、新快)
 豊橋(46分)名古屋(18分)岐阜(12分各停)大垣
・普通:4本/時
 岡崎(48分)名古屋(24分)岐阜

 京阪神方面に比べると本数は少ないが、岡崎〜大垣間で4本ダイヤが維持されており、大変使いやすい。他の区間では、蒲郡と豊橋は便が良い。時間はかかるが、豊橋〜浜松間は3本あり、乗り換えれば使えないことはない。ただし、大垣より西になると、本数が激減し、ほとんど使えない。

JR中央本線

 名古屋市を東北部から入り、中心部付近を通りつつ、西南方向に偏っている名古屋駅に入る。このため、市内交通としての役割も少なくない。

・セントラルライナー(有料):1本/時
 中津川(41分)多治見(28分)名古屋
・快速:3本/時
 高蔵寺(25分)名古屋
・普通:5本/時
 高蔵寺(31分)名古屋

 エキスポシャトルの影響からか、利用しやすいのは高蔵寺までであり、あとは本数が減る一方となる。ただし、多治見まではある程度まとまった本数が維持される。それ以降はセントラルライナーを使えば速いものの、お金がかかるし本数も少ない。また、特急が1時間に1本あるが、元々長野行きがメインなので、通勤に使える程度名古屋に近い停車駅は少ない。

JR関西本線

 名古屋市を西に抜ける路線。市内交通としての役割はほとんどない。

・快速「みえ」:1本/時
 名古屋(28分)四日市(20分)津
・普通:2本/時
 名古屋(30分)桑名(14分)四日市

 単線である影響か、非常に本数が少ない。まともに使えるのは、快速も止まる桑名ぐらいなものであろう。ただし、快速は速いので、本数を無視すれば、松阪からでも利用できる。もっとも、競合する近鉄の方が本数が多い。特急もあるが、本数は非常に少ない。

名鉄名古屋本線

 東海道本線と並走しているため、激しい競争を繰り広げている。最近は名鉄負け気味と行ったところであるが、それでも本数はかなり多い。市内に駅が多いため、市内交通としての役割もある程度大きい。

・特急(快特含む):4本/時
 豊橋(49分)名鉄名古屋(27分)名鉄岐阜
・急行(快急含む):4本/時
 国府(42分)名鉄名古屋(33分)名鉄岐阜
・準急:2本/時
 前後(24分)名鉄名古屋(9分)須ヶ口
・普通:4本/時
 東岡崎(76分)名鉄名古屋
・普通:4本/時
 須ヶ口(54分)名鉄岐阜

 利用の便はかなり良い。東岡崎〜名鉄名古屋〜名鉄岐阜のほとんどが、普通停車駅でも4本確保されている。東岡崎以東でも、急行停車駅であれば問題なく利用できる。ただし、東岡崎以東の普通停車駅は2本しかなく、利用しづらい。

名鉄常滑線・空港線・河和線・知多新線

 名古屋市を南部に抜けていく路線。市内の駅も少なくないため、市内交通としての役割もある。

・快特(全車指定席):2本/時
 名古屋(28分)中部国際空港
・特急(一部指定席):2本/時
 名古屋(17分)太田川(17分)常滑(3分)中部国際空港
・特急(全車特別車):2本/時
 名古屋(32分)知多武豊
・急行(空港行き):2本/時
 名古屋(18分)太田川(11分)常滑(5分)中部国際空港
・急行(河和・内海行き)
 名古屋(17分)太田川(22分)知多武豊
・普通:4本/時
 名古屋(39分)太田川(27分)知多半田
・普通:2本/時
 太田川(25分)常滑

 太田川までは、普通が4本あるため、便が良い。常滑・空港方面は最低でも急行が止まれば、利便性が良い。その一方で、急行の止まらない駅は2本しかなく、不便である。また、河和・内海方面も、知多半田までは利便性が良いものの、それ以降は河和線にしろ知多新線にしろ、全車特別車の特急を利用しないと大変利用しづらい。また、特急を利用しても、それほど便が良くなるわけでもない。

名鉄瀬戸線

 名古屋市のど真ん中から東北へ抜けていく路線。当然市内の駅も多いため、市内交通としての使命もある。

・急行(含む準急):4本/時
 栄町(13分)喜多山(19分)尾張瀬戸
・普通:4本/時
 栄町(18分)喜多山(8分)尾張旭

 本数が多いので、全線にわたって利便性が良い。急行停車駅であれば、実質8本もあるため、地下鉄並みの利便性が確保されている。速度がやや遅いが、長距離ではないので、特に問題はない。

名鉄津島線

 名古屋駅から西へ抜けていく路線。名古屋本線から津島線へ入る頃には、既に名古屋市を抜けているので、市内交通としての役割はない。

・普通(快急・準急含む):6本/時
 須ヶ口(21分)佐屋

 本数は多いが、ダイヤがバラバラであり、須ヶ口から名鉄名古屋へ行くには乗り換えが必要な場合もある。しかし、利便性はそれほど悪くない。佐屋以南は2本しかないのでやや不便である。

名鉄犬山線

 名古屋駅から北へ抜けていく路線。総じて本数が多く、使いやすい。

・特急(全車特別車):2本/時
 名古屋(15分)犬山
・急行(含む準急):4本/時
 名古屋(7分)上小田井(22分)犬山
・普通:4本/時
 名古屋(10分)上小田井(9分)岩倉
・普通(地下鉄直通):1本/時
 上小田井(9分)岩倉(20分)犬山

 急行停車駅は総じて便が良い一方、岩倉以北の普通は3本に減り、便が悪い。ただ、岩倉以北で普通停車駅は多くない。特急は乗る価値があるのか疑問である。

東海交通事業城北線

 名古屋市民でも知らない人が多いであろうと思われる、幻の非電化単線路線。幻と言っても、単に便が悪すぎるだけである。

・普通:1日18本
 枇杷島(16分)勝川

 時間帯によっては2時間に1本というすさまじいローカル路線。どうして名古屋市のど真ん中にこんな路線の存在が許されるのか、不思議でならない。

地下鉄東山線

 名古屋市を東西に貫く地下鉄。東端では万博会場に行くリニモに乗り換え、さらに東へ行くこともできる。名古屋市の最重要メインロード。

・普通:12本/時
 藤が丘⇔名古屋⇔栄⇔高畑

 本数がべらぼうに多く、利用するには全く困らない。

地下鉄名城線・名港線

 日本初の環状運転を行う地下鉄。名古屋市を一周することになる。

・普通(環状運転):6本/時
 金山⇔栄⇔大曽根⇔新瑞橋⇔金山
・普通(名港線):6本/時
 名古屋港⇔金山⇔栄⇔大曽根

 名港線と環状運転が重ならない地区での本数が、地下鉄の割に少ない。そのせいで環状線のメリットが半減している。

地下鉄鶴舞線・名鉄豊田線

 豊田線で名古屋市へ東から入り、北の犬山線へ抜ける路線。

・普通(豊田線):4本/時
 豊田⇔赤池⇔伏見⇔上小田井
・普通:4本/時
 赤池⇔伏見⇔上小田井

 利便性は悪くないが、豊田までつなぐ路線にしては速度が遅すぎる。急行の設定が必要である。

地下鉄桜通線

 東山線の救済及び名古屋市東南部を貫くために敷設された路線。ある程度役割は果たしているようである。

・普通:8本/時(休日6本)

 完璧な等間隔ダイヤで利用しやすい。ただし、土休日に本数が減るのはいただけない。

京都市

 人口150万人程度の政令指定都市。現在京北町との合併を進めている。地下鉄・市バスともにかなりの路線網を誇り、私鉄も数多い。JRも京都を重要拠点としている。最も交流が多いのは、当然ながら大阪市で、その交通量は半端でない(鉄道4複線+αと高速道路2複線)。だが、単なる大阪市のベッドタウン、と言うわけではなく、京都市へ通勤・通学する人も少なくない。

JR東海道新幹線

 京都は「のぞみ」の停車駅でもあり、重要な地位を占める。

・のぞみ:3本/時
 名古屋(36分)京都
・ひかり:1本/時(各停「ひかり」含まず)
 名古屋(38分)京都
・こだま:2本/時(各停「ひかり」含む)
 米原(23分)京都(15分)新大阪

 名古屋⇔京都間の利用はかなり便利なので、それなりの利用はあるかもしれないが、やはり通勤は金持ちにしかできないだろう。米原や新大阪からの利用は、新快速があるため、特に新幹線を使う必要がない。

JR東海道本線

 新幹線と同様、東西に京都を貫く。市内交通としては、あまり大きな貢献をしていないが、大阪方面へは、複々線をふんだんに利用して、大量の電車が走る。しかも新快速の最高速度は130km/h。

・新快速(京都以西):4本/時
 姫路(57分)大阪(27分)京都
・新快速(米原方面):2本/時
 京都(18分)草津(32分)米原(12分各停)長浜
・快速:4本/時
 野洲(32分)京都(36分)大阪(70分)加古川
・普通:4本/時
 京都(47分)大阪(69分)西明石

 大阪へはかなり本数が多い。大阪⇔京都は、この地区の移動の中核をなしているが、距離的に考えると、神戸周辺から京都へ通勤・通学するのは難しくないと考えられる。また、京都以西も、野洲までは快速が1時間に4本あり、新快速も1時間3本確保されている。しかし、野洲以東は快速が半減し、新快速も1本減るため、便が良いのは野洲まで。一応、1時間間隔ダイヤは、長浜まで確保されている。残念ながら、米原以東の通勤は、ダイヤが悪すぎて無理だと思われる。
 また、特急がそれぞれ「サンダーバード・雷鳥」「はるか」「スーパーはくと」「オーシャンアロー・スーパーくろしお」などが走っているものの、定期券がなく、通勤に利用するのは難しい。どうでも良いが、これらの特急群は、大抵新快速より遅いことで有名である。

JR奈良線

 京都駅から奈良駅の手前、木津までの路線。京都市の南部にある京都駅から南に向かう関係で、京都市内交通の位置づけは全くない。奈良線は複々線の東海道本線と打って変わって、一部単線の路線である。が、待避線が全駅に設置され、輸送力は低くない。さらに、一部が複線化されている。今後、全線が複線化されるものと思われる。また、多くの区間で近鉄京都線と並走する。

・みやこ路快速:2本/時
 京都(41分)奈良
・普通:4本/時
 京都(37分)城陽

 単線の割に、完全な1時間間隔ダイヤが組まれている。また、本数も多い。城陽までは普通が4本も確保されており、非常に使い勝手が良い。ただ、奈良まで通勤する場合は、1時間2本ずつの快速と普通しかなく、本数が少ないような気がする。ただ、複線化が完成した暁には、快速が1時間に4本走ることはほぼ確実だと思われる。また、この区間は並走する近鉄京都線が大目の本数で運行しており、そちらを使うという選択肢もある。

JR山陰本線

 京都市の西部を舐めるようにして縦貫したあと西へ抜ける。その後本州の西端までの路線であるが、運行系統はいくつかに分解されており、今回は京都周辺部のみ取り上げる。なお、京都駅から北西へ抜ける関係上、ある程度市内交通としても重要であるように思われるが、いかんぜん本数が少なく、そのような利用客は少ない。
 多くの区間で未だ単線である。ただし、現在複線化工事が行われており、今のところ京都〜園部間が完全複線化される予定。

・快速:1本/時
 京都(21分)亀岡(20分各停)園部
・普通:2本/時
 京都(33分)亀岡

 一応完全な1時間間隔ダイヤが組まれているが、本数は多くない。このほかにも特急が1時間に1本走っているため、単線としてはこの程度が限界だと思われる。亀岡以北は普通が半減するものの、快速が各停になるため、大きく変化することはない。また、快速は園部で福知山行きに接続するため、等間隔ダイヤは福知山まで続く。(所要時間が2時間程度かかるが)
 また、1時間に1本ずつ、いろんな行き先の特急が走っている。定期券と自由席特急券で乗れるので、これで通勤することも、可能ではある。

JR湖西線

 山科駅から分離し、永原に至る路線ではあるが、実質京都駅が始点となっている。踏切がなく、全線高架であり、しかも直線が多く、路線規格が非常に高い。そのため、特急は160km/hで飛ばすものの、各種普通列車がどの程度の速度かは不明。

・新快速:1本/時
 大阪(29分)京都(31分)近江舞子(18分各停)近江今津
・普通:4本/時
 京都(23分)堅田

 新快速は大阪や神戸、姫路に直通して便利ではあるのだが、本数が少なすぎる。普通は1時間に4本確保されていて、使い勝手が良い。だが、それも堅田までで、そこから逓減していくのは、やっぱり不便である。便利なのは堅田までである、といえよう。

地下鉄烏丸線

 京都市を南北に貫く路線。当然ながら、京都駅にも立ち寄る。南端の竹田駅で、近鉄に乗り入れる。他には、鳥丸御池で地下鉄東西線、4条駅で阪急京都線にそれぞれ乗り換えできる。

・急行:2本/時
 国際会館(19分各停)京都(9分各停)竹田(37分)奈良
・普通:2本/時
 国際会館(19分)京都(9分)竹田(28分)新田辺
・普通:4本/時
 国際会館(19分)京都(9分)竹田

 地下鉄線内は7.5分間隔で電車が来るダイヤとなっており、本数は妥当だと思われる。乗り入れは急行・普通が2本ずつ乗り入れる。しかし、乗り入れるにしても本数が半端で、あまり意味がない。ただし、竹田で乗り換えることも、充分可能ではある。

地下鉄東西線

 その名の通り、京都市を東西に貫く路線。京都駅は寄らない。山科でJR東海道本線、御陵で京阪京津線、三条京阪で京阪本線、烏丸御池で烏丸線、二条でJR山陰本線に乗り換えられる。

・普通:8本/時
 醐醍⇔鳥丸御池⇔二条

 完璧な7.5分間隔ダイヤで、見て楽しくなる(または、退屈になる)ほどである。利用しやすい。

近鉄京都線

 JR奈良線とかなり並走する。そのため、京都市内交通に大きな貢献をするわけではないが、地下鉄烏丸線に乗り入れ、市内交通の拡充をしている、と言えなくはない。全線複線電化。

・特急:2本/時
 京都(34分)奈良
・特急:1本/時
 京都(46分)大和八木(4分)橿原神宮
・特急:1本/時
 京都(49分)大和八木(117分)賢島
・急行:4本/時
 京都(41分)大和西大寺
・普通:4本/時
 京都(72分)大和西大寺

 上記表は乗り入れを除いているが、それでも結構な本数である。特急は有料であるが、JRと違い、近距離利用を前提としているため、掲載した。ただし、今後JR奈良線が複線化した場合、特急を無料化(当然、種別は特急でなくなる)する可能性もある。
 特急は安くないので、通勤には使いづらいが、使えないことはない。その代わりの急行は、奈良直通が1時間に1本しかなく、やはり使いづらい。だが、大和西大寺で乗り継ぐことはできるので、あまり問題はない。普通も本数が多く、しかも地下鉄に乗り入れているので、全線を通して通勤には便利である、と言える。

京阪本線

 数多くある京都〜大阪間の路線の1つ。一部複々線があったように記憶している。(詳細情報求む)京都〜大阪間を結ぶものの、京都駅も大阪駅も経由せず、代わりに京都側は三条や出町柳、大阪側は京橋、淀屋橋などのターミナル駅がある。また、出町柳が京都の奥にある関係で、市内交通としても成り立っている。

・特急:6本/時
 出町柳⇔淀屋橋
・準急:6本/時
 出町柳(各停)牧方市⇔淀屋橋

 典型的な郊外型ダイヤで、特急は大阪直通用、準急は各駅に停車しながら、途中から速度を上げる、と言うパターン。なお、大阪に近づくにつれ、どんどん列車の本数は増えるため、京都周辺は本線で最も本数が少ない。大手私鉄本線のご多分に漏れず、本数的には非常に利用しやすい。速度も問題ないが、JRと張り合うには少し足りない。

叡山本線

 京阪本線から続くようにして、叡山本線がある。この路線は、完全に京都市内を走る路線で、市内交通の一端を担う。人口が少ない北部を走っている。元々観光路線ではあるものの、通勤客も増えているとか。終点の八瀬比叡山口からは鋼索線がある。

・普通:3本/時
 出町柳(14分)八瀬比叡山口

 本数は、人口規模から考慮すれば、少なくはない。通勤も、多少不便はあるかもしれないが、ほぼ問題はない。多少時間はかかるが、大阪への通勤も可能だろう。なお、鞍馬線直通はあえて考えないことにした。

叡山鞍馬線

 叡山本線から途中で分岐するが、ほとんどの電車が叡山本線淀屋橋まで直通する。京北町の部分が多いが、京都市と合併すれば、完全な京都市内交通機関と化す。現在も、京都や大阪への通勤客がかなりいる。

・普通:6本/時
 出町柳⇔二軒茶屋

 中小私鉄のくせに本数は多い。二軒茶屋以降も本数が半減するものの、ローカル路線と言うほど本数が少ないわけでもない。沿線がベッドタウン化し、京都経済圏に組み込まれているのがよく分かる。

阪急京都線

 この路線は京都の中心街を、まず西に抜けてから大阪へ向かう。大阪方面は梅田という大ターミナルを有する。京都側は京都駅を経由しないものの、烏丸で地下鉄烏丸線と接続する。京阪本線に比べ、JRとの重複区間が多く、JRとの競争が激しい。今のところJRの一人勝ちといったところではあるが。

・特急:6本/時
 河原町⇔梅田
・急行:6本/時
 河原町(各停)高槻市⇔梅田

 偶然か、示し合わせたかは不明だが、京阪本線とほとんど同じダイヤ構成であることが分かる。大阪から漸減するダイヤも同じである。つまり、本数的には利用しやすいと言う結論も、同じである。JRと張り合うには少し足りない、と言う結論も同じ。

京福嵐山本線

 京都側ターミナルである、四条大宮から嵐山までを結ぶ路面電車。京都中心部と京都西部である、嵐山を結ぶ、完全市内交通。

・普通:6本/時
 四条大宮⇔嵐山

 本数は路面電車らしく、多目である。が、路面電車であることを考慮すれば、少なめと表現することもあるだろう。また、嵐山までは並走する交通機関も多い。どれも駅の位置は微妙に違うが。

京福北野線

 嵐山本線帷子ノ辻から北野白梅町までの路線。本線を経由すれば、京都中心部から北部を結ぶことになる。しかし、それはかなりの大迂回である。

・普通:6本/時
 帷子ノ辻⇔北野白梅町

 本数は充分で、利用しやすい。ただし、実際に利用している人は少ないと思われる。(ラッシュ時も全く本数が増えていないため)

岡山市

 人口65万人の中核市。中核市の中でも、人口3位と、かなりの上位にいる。また、山陽新幹線の「のぞみ」が停車し、北へは山陰方面、南へは四国方面に行くことができる、交通の要所でもある。そのため、人口の割に鉄道は豊富。

JR山陽新幹線

 岡山市を東西に貫く大幹線。四国方面や山陰方面へはここで乗換えとなるため、山陽新幹線でも広島に並ぶ重要駅。ただし、通勤に利用できるとは到底考えられない。

・のぞみ:2本/時
 新大阪(45分)岡山(36分)広島
・ひかり(レールスター):1本/時
 新大阪(31分)姫路(22分)岡山(17分)福山(24分)広島
・こだま:1本/時
 新大阪(78分)岡山(83分)広島
・こだま:1本/時
 岡山(66分)広島

 本数はあまり多くなく、しかもべらぼうに高い。山陽本線の本数があまりにも粗末な新大阪方面でなければ、いちいち利用する必要はなさそうである。

JR山陽本線

 新幹線と同じように、東西を貫く路線。市内交通としての役割はあまり大きくなく、郊外鉄道といったところである。

・普通:2本/時
 岡山(29分)和気(34分)相生
・快速(サンライナー):2本/時
 岡山(11分)倉敷(33分)福山
・普通:4本/時
 岡山(15分)倉敷(46分)福山(20分)尾道

 ダイヤは東西で大きく異なる。東方面はやたらと本数が少ない。しかし、市内交通にあたる部分は、赤穂線の列車も入るので、多少は緩和される。西方面はかなり多い。これは、近年の交通改善の成果といえる。倉敷までは、伯備線列車も走るので、さらに本数は増える。普通列車のうち、2本は快速シティライナーとして、広島周辺は快速として走る。東はともかく、西は尾道までは便利である、と言える。それ以降は広島周辺部まで本数が少ない。また、鳥取方面に行く特急「スーパーいなば」も運行しているが、本数が少なすぎて、通勤には全く使えない。

JR赤穂線

 JR山陽本線東岡山から分岐し、相生に至る路線。ではあるが、全列車が岡山まで乗り入れる。岡山市内の駅が少なくないため、市内交通としても機能する。

・普通:2本/時
 岡山(27分)長船

 やはり本数が少ない。通勤に使えないことはないだろうが、便利でもない、と言える。しかも、長船以東は、本数がさらに半減し、ほとんど使えない。

JR伯備線

 JR山陽本線倉敷から山陰本線伯耆大山に至る路線。ではあるが、ほとんどの列車が岡山に乗り入れるので掲載した。全線電化であるが、完全に複線なのは、備中高梁まで。

・普通:2本/時
 岡山(50分)備中高梁

 少なくとも備中高梁まで、完全30分間隔ダイヤが維持されているのは、賞賛すべきことではあるが、やはり本数が少ないような気はする。なお、1時間に1本、特急「やくも」が運行されている。一応定期券と特急券で乗車することは可能である。

JR瀬戸大橋線・宇野線

 JR宇野線茶屋町から分岐し、予讃線宇多津に至る路線。ではあるが、お決まりのように全列車が岡山まで乗り入れるため掲載した。なお、宇多津終点の列車もない。全線複線電化。
 また、宇野線は岡山市を南に抜け、宇野港まで至る路線である。全線運転する列車はほとんどなく、マリンライナーから1時間に1本、乗り継げるのみ。宇野線内は全線単線電化。茶屋町までは、既に本数が限界に近くなっている。

・快速(マリンライナー):2本/時
 岡山(38分)坂出(15分)高松
・普通:1本/時
 岡山(35分)児島

 本数は少ないが、快速マリンライナーは意外と速く、しかも快適なので、利用者は多い。通勤に無理はないが、やはり多少本数が少ない。宇野からの通勤は本数・乗り継ぎの面で難しいだろう。

JR吉備線

 岡山市を北西に抜け、伯備線総社に至る地方交通線。なにせ不便なので、市内交通としての使命は希白である。全線非電化単線。

・普通:2本/時
 岡山(18分)備中高松

 地方交通線であることを考慮すれば、ある程度歓迎すべき本数なのかもしれないが、やはり少なすぎる。おまけに、昼間は備中高松以西では、本数が半減する。通勤可能圏は備中高松までで、それ以西は難しい。総社からは伯備線を使うこと。

JR津山線

 岡山市を北に横断し、津山まで至る。市内に法界院という駅もあるが、この駅の利用者が多いため、市内交通の重要な一角を占める。だが、それ以降の利用者はすずめの涙ほどしかない。

 まったくバラバラのダイヤであるので、掲載できない。岡山⇔法界院間のみは2本/時程度確保されているが、これも不定期である。1時間に1本しかない場合もある。また、快速列車も走るが、2時間に1本しかなく、使い物にならない。極めつけは急行「つやま」で、1日1本のみの運行。

岡電東山線

 岡山市街地を西に抜ける路面電車。完全に市内交通であり、本数も多い。運賃も非常に安く、利用しやすい。

・普通:12本/時
 岡山駅前⇔東山

 本数が非常に多く、完全5分間隔ダイヤ。特に清輝橋線と運行系統がかぶる岡山駅前⇔柳川間は、1時間に19本という途方もない本数になる。

岡電清輝橋線

 岡山市街地を南に抜ける路面電車。これも完全に市内交通である。運賃が非常に安いのも変わっていない。

・普通:7本/時
 岡山駅前⇔清輝橋

 東山線に比べれば本数は減る。多少不便になるが、それでも利便性が良い、と言える程度の本数は確保されている。

広島市

 総人口115万人を数える、中国地方最大の政令指定都市。広島市は、四国地方や山陰地方に向け多くの特急が走っていた岡山市とはうって変わり、新幹線以外の特急が全く走らない都市。そのため、よく岡山市と広島市は同等の扱いを受ける(少なくとも私はこの人口を知るまで、同等だと思っていた)場合が多いのではないか。だが、実際はご覧の通りである。また、JR西日本は、広島駅周辺路線を「広島シティネットワーク」と称し、通勤路線にすべく、整備中である。

JR山陽新幹線

 広島市を東西に貫く大幹線。「のぞみ」全列車が停車するほか、広島終点の「のぞみ」も多くあり、重要な駅となっている。

・のぞみ:1本/時
 岡山(35分)広島(66分)博多
・のぞみ:1本/時
 岡山(17分)福山(24分)広島
・ひかり(レールスター):1本/時
 岡山(41分)広島(52分)小倉
・こだま:1本/時
 岡山(66分)広島(55分)新山口
・こだま:1本/時
 岡山(34分)福山(49分)広島

 本数は案外多いのだが、何度も言うように、運賃面に関しては問題が多すぎるのである。おまけに、岡山市と違い、並走の山陽本線が案外整備されているので、通勤・通学に利用する必然性は薄い。

JR山陽本線

 広島市を東西に貫く。市内交通としても、ある程度機能する。

・快速(シティライナー):1本/時
 徳山(71分各停)岩国(37分)広島(28分)西条(36分各停)三原
・普通:4本/時
 岩国(46分)広島
・普通:4本/時
 広島(19分)瀬野

 岡山市と違い、普通が中心のダイヤ構成となっているが、所要時間は大きく違わないので、大きな問題はない。東は瀬野まで便利なダイヤとなっているが、それ以東は普通が逓減し、使いづらくなる。西は岩国まで4本/時ダイヤが維持され、それ以西は快速と合わせて2本/時ダイヤが組まれる。

JR呉線

 JR山陽本線海田市から、呉を経由し、JR山陽本線三原まで至る路線。大きくは、広島〜呉・広と、それ以西の二つの系統に分かれており、ここでは、広島からの直通列車が走る広までを取り上げる。呉線は、全線単線電化で、現在呉までの複線化が検討されている。

・快速(安芸路ライナー):1本/時
 広島(26分ノンストップ)呉(10分各停)広
・普通:3本/時
 広島(44分)呉

 呉までは、普通列車が3本確保され、ある程度便が良い。ただ、快速に比べ時間がかかりすぎる。一方の快速は、本数が少なすぎ、運が良くないと利用できない。一方、広以東は1時間間隔ダイヤは維持されるものの、1時間に1本にまで減る。これは通勤は不可能と言っても言いすぎではないが、実際問題、通勤時間の関係も考えると、広以東からの利用は考えづらい。

JR可部線

 広島市を北に抜け、終点の可部まで向かう路線。全線が広島市内で、完全に市内交通と化している。複線化は一部のマニアのみ話題に出ているが、公共団体からは話題に出ていない。

・普通:3本/時
 広島(33分)可部

 完全20分間隔ダイヤで、ある程度便が良いが、広島市内交通という見方からすると、本数が少なめで、利便性は高くないと言える。

JR芸備線

 広島から、三次を経由し、伯備線備中神代に至る路線ではあるものの、実質系統がいくつかに分かれており、ここでは広島⇔三次間を主に取り上げる。この区間は広島市内区間が多く、主に市内交通、と言える路線。全線単線非電化である。

・普通:3本/時
 広島(21分)下深川

 可部線と同様のことが言える。なお、普通のうち1本は、快速「みよしライナー」で、途中から快速運転を行う。また下深川以北は、逓減ダイヤとなる。

広電市内線

 広島市内を縦横無尽に走る路面電車。広島市や市民の手厚い保護を受け、日本で唯一、成功を収めている路面電車でもある。唯一の欠点は、時刻表がないために、ここでどれだけ便利か、ということを主張できないことである。

広島高速アストラムライン

 最近開通した新交通システム。市電の大通駅から、広域公園前に至る路線。広島市を回るように建設されている。現在では、市内交通の重要な一角となっている。

・普通:6本/時
 大通(35分)広域公園前

 総編成長6両の割に、本数は多い。さらに、詰め込みができないという新交通システムの関係上、朝は本数が昼の3倍程度にまで増加する。

北九州市

 人口100万の政令指定都市。小倉駅が北九州市中心の駅となっている。山陽新幹線の終点、博多に目を奪われがちではあるが、この都市も案外大きい、と言える。なお、駅の名は「おぐら」ではなく「こくら」である。私みたいに間違えないよう。

山陽新幹線

 北九州市を、裏返ったS字のようにくねりながら貫いている。Sの真ん中に小倉駅があり、由緒ある(?)「のぞみ」停車駅。小倉⇔博多間区間運転の「こだま」も走る。

・のぞみ:1本/時
 広島(48分)小倉(17分)博多
・ひかり(レールスター):1本/時
 新山口(20分)小倉(17分)博多
・こだま:2本/時
 新山口(31分)小倉(19分)博多

 小倉⇔博多間のみ、金持ちに限り通勤に利用できそうである。「こだま」の区間運転もあるぐらいなので、結構利用があるように思える。これはJR西日本(新幹線)とJR九州(在来線)が競争しているのが大きな理由であろう。

JR鹿児島本線

 北九州市内にある、門司港から、線名の通り、鹿児島に至る路線。言うまでもなく、今回取り上げるのは、小倉周辺のみである。北九州市内を東北から西へ抜ける。東区間は全区間が市内区間、西もある程度市内区間が続く。

・快速(準快速含む):3本/時
 小倉(19分)折尾(50分)博多
・普通:3本/時
 小倉(29分)折尾

 鹿児島本線西側は、JRとしては珍しく、20分間隔ダイヤである。ように見えるが、実は1時間間隔ダイヤを20分間隔に見せているだけである。と言うのも、全列車停車駅も所要時間も違うからである。快速は速い快速、遅い快速、準快速の3パターンあり、準快速は停車駅が多いものの、遅い快速と同じ所要時間で走る。また、普通列車のうち1本は、折尾から筑豊本線、篠栗線を経由して博多に到着する。しかも折尾から快速となる。また特急もソニックが1時間に2本、有明が1本運行される。特急料金をいとわなければ、通勤も可能だろう。ただし、特急は20分間隔からは完全に外れている。
 東側は打って変わって、完全ランダムダイヤである。しかし、多くの快速が乗り入れており、普通も結構乗り入れるので、最低でも1時間4本程度は確保されている。

JR山陽本線

 神戸から、北九州市の門司に至る路線。今回は小倉付近を取り上げる。
 取り上げるものの、完全ランダムダイヤであるため、掲載は不可能である。だが、小倉⇔下関間は1時間に3〜4本程度確保され、便が良い。逆に、それ以東は本数も半減し、多くが下関で乗り換えなくてはならないため、通勤利用は難しい。

JR日豊本線

 小倉から鹿児島まで、九州を東回りに進む路線。北九州市内を東南方向に抜けてゆく。

・普通:4本/時
 小倉(9分)城野(20分)行橋

 それなりの本数があり、区間もまあ順当なところであると言える。行橋までが便の良い区間であると言えよう。行橋からは、1本ずつ抜けてゆく。なお、普通列車の大半は下関へ直通する。また、特急「ソニック」が1時間に2本走る。別府、大分からの通勤も時間的には難しくない。当然金持ちでなければ不可能だろうが。なお、城野までは、日田彦山線の列車も走る。

JR日田彦山線

 JR日豊本線城野から、JR久大本線夜明を結ぶが、実際は、小倉と日田を結ぶ路線である。全線単線非電化。

・普通:2本/時

 この本数は近郊列車として失格といっても言いすぎではないだろう。あまり便が良くない。

北九州高速鉄道(モノレール)

 北九州市内交通として重要な一角を占めるモノレール。北よりの小倉から、北九州市南部とを結ぶ。

・普通:6本/時

 完全10分間隔ダイヤで利用しやすい。北九州市の人口規模から考えても、この程度が一番良いのだろう。

福岡市

 人口約140万人の政令指定都市。九州において、政治、経済共に中心地となっている。中心駅は博多である。

JR山陽新幹線

 北九州市を参照。

JR鹿児島本線

 福岡市を東から入り、南に抜けてゆく。南側は西日本鉄道と競合するが、多数の特急に阻まれ、本数を増やせないのが現状のようである。

・快速(準快速含む):3本/時
 小倉(19分)折尾(50分)博多(21分)二日市
・普通:3本/時
 赤間(40分)博多(21分)二日市

 北九州市の項で説明したように、20分間隔ダイヤに見せかけた1時間間隔ダイヤである。南側の快速は二日市から各停になるもの、久留米から各停になるもの、荒尾まで快速で行くものの3パターン。普通も、それぞれ行き先が異なる。そのため、二日市までが便の良い地区であると言えよう。ただ、その先からも、通勤できないことはない。
 東側は普通1本が赤間までとなっているほかは、小倉まで直通する。快速の特徴は、北九州市で紹介したとおりである。この2大都市に囲まれた区間は、どちらへ通勤するにしても、結構使いやすい。
 前述したように、特急は非常に多い。「みどり」と「かもめ」が計2本、「リレーつばめ」が2本、有明が1本走る。また、時間帯によっては、「ゆふ」も1本走る。これらの特急群は、金さえあれば使えないことはない。特に熊本、大牟田からは、1時間に3本が確保されており、時間も1時間前後と、通勤に使える条件はかなり整っている。鳥栖まではさらに本数が多いものの、快速も使えるので、大して利用価値はない。

JR篠栗線

 福岡市を南西部から入り、すぐ終点の博多となる。路線自体は桂川までであるが、全列車が筑豊線に乗り入れる。市内区間は非常に少なく、完全な郊外列車。全線単線非電化だったが、近年電化された。複線化も構想に上がっているようである。

・快速:2本/時
 博多(41分)新飯塚
・普通:3本/時
 博多(23分)篠栗

 篠栗までは充分便が良いダイヤ構成である。それ以降は、普通が減るため、利用しづらい。

JR香椎線

 JR鹿児島本線の香椎を中心として、北の西戸崎と、南の宇美に伸びている。北は福岡市内区間で、完全市内交通だが、南へ行くと、市外へ出るため、郊外交通と言える。運転系統はつながっているものの、乗客はそっくり入れ替わっているものと考えられる。全線単線非電化だが、ローカル線ではない。

・普通:3本/時
 雁ノ巣(11分)香椎(33分)宇美

 単線非電化とは思えない本数である。雁ノ巣以北も、2本は維持される。ただ、やはり通勤・通学という面では、最低1時間3本欲しいところである。

JR博多南線

 扱いは在来線だが、実際は新幹線車両が運行している。市の南部と博多の間を走っている。豪華な座席で通勤できるが、追加料金100円を取られる。

・普通(?):2本/時
 博多(10分)博多南

 本数はあまり多くないが、回送列車を利用した片手間商売であるため、致し方ないと言える。今後、九州新幹線が全通した暁にはどうなるかが焦点だろう。通勤に利用すれば、(特に東京都民にとって)夢のような通勤生活が楽しめるだろう。10分だけだが。

地下鉄空港線・JR筑肥線

 福岡空港から姪浜までを結ぶ。姪浜からはJR筑肥線に乗り入れる。筑肥線は全列車が空港線に乗り入れるため、同じ掲載とした。地下鉄は福岡市内を海沿いに横へ貫き、西へ抜けてゆく。西日本鉄道のターミナルがある天神や、当然ながら博多も通っている。

・普通:8本/時
 福岡空港(6分)博多(6分)天神(14分)姪浜

 本数は、当然ながら多い。中洲川端から天神までは箱崎線の電車も乗り入れる。姪浜からは本数が半減し、筑前前原まで1時間に4本のダイヤが維持される。それ以西はランダムダイヤに近い。筑前前原までは結構便が良い。

地下鉄箱崎線

 中洲川端から貝塚までを結ぶ。電車の半数は天神に乗り入れる。中洲川端から、貝塚まで、完全に海に沿って走っている。貝塚で西鉄宮地岳線に乗り換えができ、西鉄宮地岳線の利用者の大半は箱崎線に乗り換える。

・普通:8本/時
 中洲川端⇔貝塚

 本数は何ら問題がない。ただ、ダイヤを調整したり、折り返し線を整備するなどして、なんとか全列車が天神に乗り入れられるようにすると、さらに便が良くなる。

西鉄宮地岳線

 貝塚から津屋崎までを結ぶ。全線単線電化。ほとんど市内区間であるため、市内交通としての役割を担う。だが、地下鉄との乗り入れは計画されていたものの、実行されていない。

 ほぼランダムダイヤであるが、目安として約12〜14分毎に来る。単線のくせに、朝時間帯は、1時間に8本もの列車が発着する時間帯もある。

西鉄天神大牟田線

 福岡と大牟田を結ぶ。市内区間は少なく、郊外列車の意味合いが強い。多くをJR鹿児島本線と並走する。全線複線ではなく、一部に単線区間が残る。

・特急:2本/時
 福岡(13分)二日市(50分)大牟田
・急行:4本/時
 福岡(16分)二日市
・普通:6本/時
 福岡(29分)二日市

 特急は多くの駅を通過するものの、本数が少ない。急行は、本数が多いものの、二日市以南は各停になるものが半数出て、いずれにせよ、半ばで終点となる。普通は二日市と筑紫で4本減って、2本しか残らない。つまり、便が良いのは筑紫までで、通勤にも利用しやすいのはその区間であると言える。ただ、全体で4本が何とか維持される久留米・花畑と小郡までの区間も、それほど便が悪い訳でもない。

熊本市

 人口70万人程度の中核市。結論から言ってしまうと、鉄道が不便な都市である。

JR鹿児島本線

 市を南北に貫く、熊本市の大幹線。…ではあるのだが…。

・普通:2本/時
 銀水(4分)大牟田(47分)熊本(35分)八代

 この本数は、中核市の大幹線で走る本数だとは思えない。同程度の人口の静岡が6本/時なのも考慮すれば、この本数は少なすぎる。なお、特急は1時間に3本と、普通列車よりも多い。案外便利であるといえる。

JR豊肥本線

 全線単線で、熊本周辺部のみ電化されている。近年は、昔に比べ、多少活性化してきてはいる。

・普通:2本/時
 熊本(35分)肥後大津

 地方交通線にしては少なくないものの、通勤利用するには、やっぱり少ない。なお、電化区間には特急「有明」も乗り入れるが、豊肥本線内での使用は考えられない。また、1日4本、九州横断特急も走る。

JR三角線

 全線単線非電化のローカル線で、宇土、三角間を結ぶが、実際は、全列車が熊本に乗り入れる。

・普通:1本/時  熊本(52分)三角

 完全に客の確保をあきらめているようなダイヤである。それだけ沿線人口が少ないのか、それともJRが手を抜いているのか…。

熊本市電

 熊本駅、上熊本駅から、熊本市東部へと結ぶ路線がそれぞれ1本ずつある。本数はかなり多い。人口規模とマッチしているので、よく利用されているようだ。市内交通の中枢と言える。なお、一般の市電と違い、JR熊本駅が貧弱なので、JR駅との結びつきは薄い感じがする。東端からは、4分間隔で運行されている。

新潟市

 日本海側では1位、2位を争う大都市で、人口55万人程度の中核市。今度の12市町村もの合併により、人口が80万人程度に達し、政令指定都市に移行する予定。これは田中角栄氏の遺功だと感じる私の考えは、あながち間違えではないと思う。
 結論から言うと、新潟市は3本/時ダイヤが多い。

JR上越新幹線

 別名「角栄新幹線」と皮肉って呼ばれる。確かに、人口50万の都市に新幹線を引くには、政治の力が必要なのは、ほぼ間違いない。だが、当初の予想よりは利用されてはいるようなので、そうカリカリする必要もないだろう。

・とき:1本/時

 利用者が少ないため、列車は1種類しか来ないが、停車駅は全部違うと言い切ってよい。全般に停車駅は多いが、通勤利用なんて、考えない方が良いだろう。

JR信越本線

 上越新幹線ができるまでは、上越線とリンクして、新潟への主要幹線となっていた。市内交通のしての役割は薄い。

・普通:3本/時
 新津(20分)新潟

 本数はぼちぼちである。しかし、1時間に3本走る区間が少なすぎ、しかも新津以降、本数が1本にまで激減するのはいただけない。だが、現実問題として、新津以降は高速バスを利用する人が多いので、交通としては何ら問題ない。特急「北陸」も走るが、本数が少なすぎて使えない。

JR白新線

 羽越本線への短絡線として作られた。新潟を東に抜け、羽越本線へ至る。市内交通としての役割はほとんどない。一部複線化がなされている。

・普通:3本/時
 新潟(19分)豊栄

 本数はぼちぼちであるが、やはりその区間は短すぎる。豊栄で1本しか減らないのは唯一の救いか。特急「いなほ」は本数が少なすぎる。

JR越後線

 新潟市を西に抜けてゆく地方交通線。本数が多いのは、全区間新潟市内であるので、市内交通のためにあると言っても過言ではない。全線単線電化

・普通:3本/時
 新潟(22分)内野

 言いたいことは他の路線と一緒である。内野から1本まで激減するため、ほとんど使い物にならない。

仙台市

 人口100万を越える大都市。政令指定都市でもある。東北地方の中枢と言え、東北新幹線の最重要停車駅。

JR東北新幹線

 市を南北に貫く大幹線…だった路線。今は貨物線。

・はやて:1本/時
 東京(102分)仙台(44分)盛岡
・やまびこ:2本/時
 郡山(15分)福島(21分)仙台

 「はやて」での通勤は、距離が長すぎ、しかも本数が少なくて不可能である(全車指定席でもある)。だが、「やまびこ」での通勤は、不可能ではない。当然、資金力があることが条件。仙台以北は「やまびこ」が1時間に1本走る。

JR東北本線

 市を南北に貫く幹線。市内交通としての役割はさほど大きくない。

・普通:2本/時
 白石(27分)岩沼(19分)仙台
・普通:3本/時
 仙台(24分)松島

 結論から言えば、政令指定都市の幹線だとは到底思えない本数である。おまけに結構ダイヤがバラバラで、利用しづらい。白石からは、本数がさらに半減して追い討ちをかける。唯一の救いは、岩沼⇔仙台間は、常磐線の列車も走るので、すずめの涙という程度には増えるということか。

JR常磐線

 本来仙台市内を走ることはないのだが、全列車が仙台に乗り入れるため、一応掲載した。

・普通:1本/時
 原ノ町(57分)岩沼(21分)仙台

 通勤利用は相当しづらい。どうも、JR東日本は通勤利用させたくないらしい。

JR仙山線

 仙台市を西へ貫く路線。路線の半分程度が仙台市となっているため、市内交通を担っていると言えば、担っているのだろう。単線電化であるが、現在複線化を模索中。

・快速:1本/時
 仙台(23分)愛子(57分)山形
・普通:2本/時
 仙台(27分)愛子

 快速の停車駅タイプは何種類かある。中には同じスジを普通で走る場合もある。複線化すれば、山形と仙台という、大都市同士を結ぶことで、仙台市の通勤圏となって、それなりに利用されるはずである。だが、現在の本数では難しいだろう。

JR仙石線

 仙台市を東へ貫く路線。市内区間はあまり多くないものの、本数が多いのは仙台市内区間だけなので、市内交通として、それなりに重要な地位を占めている。だが、JR東日本のサービスの悪さも健在らしい。現在東塩釜まで複線化されている。

・快速:1本/時
 仙台(13分)多賀城(33分)矢本(13分各停)石巻
・普通:3本・時
 仙台(22分)多賀城

 20分間隔ダイヤに見えるが、実際は15分間隔ダイヤで、普通の1本は快速になっているといった感じである。だが、そのために多少サイクルがずれている。多賀城以東は歯が抜けるように本数が減るため、多賀城までが通勤の便が良い区間だといえる。しかし、実際には、もっと遠距離からの通勤者も多いようである。

仙台市営地下鉄

 仙台市を南北に貫く地下鉄。ワンマン運転である。

・普通:7分間隔

 100万都市の地下鉄にしては、かなり本数が多い。ワンマン運転の成果であると言えそうである。

札幌市

 人口185万人の政令指定都市。北海道の中枢である。北海道の半身と言っても過言ではないほど、相対的に大きな都市。鉄道は、JR化後、最も変化の大きかった都市であると言われる。100万人を越える都市としては、唯一新幹線が走っていない。

JR函館本線

 北西から南東へと札幌市内を貫く。小樽⇔旭川間は、複線電化で、本数も結構あるが、小樽以西は非電化で、長万部⇔小樽は単線でもある。地域によって性格は異なるが、今回は札幌近郊を取り上げる。

・快速(エアポート):2本/時
 小樽(22分)手稲(10分)札幌
・区間快速(いしかりライナー):2本/時
 小樽(29分各停)手稲(12分)札幌(18分)江別
・普通:4本/時
 手稲(16分)札幌
・普通:3本/時
 札幌(32分)江別

 快速と区間快速は、小樽での発車時間が5分程度しか違わないので、実質「いしかりライナー」はないものと考えてよい。また、普通列車も「エアポート」に抜かれるため、小樽からは2本/時しかなく、少ないような気がするが、通勤利用できなくはない。手稲からは快速4本、普通4本となり、完全近郊型ダイヤ。東側も普通が3本ある江別までは使い勝手が良い。しかし、それ以降は、普通が1本になり、「いしかりライナー」も半減するので、通勤利用は難しい。特急「ホワイトアロー」「ライラック」は合わせて2本/時が、札幌⇔旭川間運行されるが、こちらは回数券、往復乗車券ともに安いものが販売されており、他の地域に比べるとハードルは低い。所要時間的には深川からの通勤も可。

JR千歳線

 白石から沼ノ端と新千歳空港を結ぶ。新千歳方面は、実際には支線であるが、新千歳空港へ向かう列車の方が多く、また全列車が札幌に乗り入れるので、札幌⇔新千歳空港が近郊区間。新札幌という結構大きな駅があるために、市内交通としても、それなりに利用されている。

・快速(エアポート):4本/時
 札幌(29分)千歳(7分)新千歳空港
・普通:3本/時
 札幌(51分)千歳

 快速は1時間に4本確保され、非常に便が良い。そのため、新千歳空港からでも通勤は可能である。(が、新千歳空港に家を建てるわけにはいかないだろう)だが、普通列車は30分間隔のものと、1時間間隔のものがそれぞれあるため、実質2本/時ダイヤと大差ない。30分間隔のもののうち半数は苫小牧まで行くが、そこからの通勤はほぼ不可能。そのため、快速停車駅でないと、通勤は難しいと言える。
 特急も多くあるが、快速「エアポート」が走る区間は全く必要ないし、東室蘭以西は時間がかかりすぎるので、通勤利用できるのは、苫小牧からのみだろう。それにしても、特急「北斗」「すずらん」両方合わせても本数は1本/時に満たないし、「エアポート」からの接続なら特急と遜色ないほど速いので、格安きっぷがあるとはいえ、通勤利用の価値はあまりないだろう。そもそも、札幌都市圏は土地に余裕があるそうで、そんなに遠くから通勤利用をする意義はないだろう。

JR札沼線

 桑園から新十津川までを結ぶ路線。ではあるものの、全列車桑園から札幌に乗り入れており、また石狩当別で系統が分離している。全線非電化ではあるが、近年一部区間が複線化されている。(札幌⇔石狩当別間の全線を複線化するかは不明)石狩当別までのほとんどが札幌市内であり、石狩当別までの利用者がほとんどのため、8割方市内交通という位置づけである。

・普通:3本/時
 札幌(25分)あいの里教育大

 輸送改善が進み、完全な近郊路線となっている。通勤に便利だが、学校が多いので、通学利用者の方が多いのかもしれない。だが、あいの里教育大以北は急激に本数が減り、石狩当別まで行くのは1本/時程度。だから、便が良いのはあいの里教育大までと言える。なお、浦臼までは1日7本、新十津川まで行くのは3本のみ。

札幌市営地下鉄(南北線・東西線・東豊線)

 札幌市内を走る、完全市内交通。東豊線は南北方面を結ぶ。南北線と東豊線の北端ではJR札沼線と駅が少し近く、また東西線に限って言うとほぼJR函館本線、千歳線(ひっくるめて快速エアポート)と並走するため、多少の競争がある。なお、札幌市営地下鉄はゴムタイヤ式で、加速度が良い。なお、南北線車両の加速度は4.0km/h/sで、阪神の新型ジェットカーを抜いている。
 各線とも6〜8分間隔で列車が来るので、便は非常に良い。ただ東西線に関しては、JRのほうが圧倒的に速く、不利な点は否めない。

札幌市電

 「すすきの」から一周し、「すすきの」の近くにある西4丁目に戻ってくる路線。市内交通。札幌市西南地区の住民の足となっているが、近年廃止か存続かでゆれている。
 ダイヤは6分間隔で、案の定と言うか、利用しやすい。だが、ターミナル位置が単なる地下鉄駅であり、あまり良くないため不便。地下鉄利用を前提とした市電と言える。