ダンジョン設計の基本 あなたがCardWirthのダンジョンを作るとして どんな罠を配置するか、どんな謎解きを提示するかはとても重要です。 しかし、それより前にダンジョンを設計することを避けては通れません。 しかし中身の重要性を説いた文章は数あれど 外枠の組み立て方を書いた文章は意外なほど目にしません。 というわけで、今回は自分のためのメモも兼ねて 製作に不慣れな作者さんがついやってしまいがちな落とし穴を挙げながら 何に気をつけてダンジョンを作ればいいか解説してみます。 例えば以下のようなダンジョンがあったとして、何が問題でしょうか? しばしスクロールを止めて考えてみてください。 (表示が崩れる場合はメモ帳にコピーペーストして、等幅フォントでご覧ください)   1F      2F ┌───┐  ┌───┐ │階↑ │  │階↓ │ │   │  │   │ │(敵)│  │   │ └┬━┬┘  └┬━┬┘  │ │    │ ├───┐  │ │    │ │ 階↑│  │ │    │ ┃   │  │ │    │ │(宝)│  │ │    │ ├───┘  │ │    │ │ この設計をした作者さんの気持ちはよく分かります。 1階で中ボスを倒して、2階に進み、3階へ上がる前にお助けアイテムを置いて でもプレイヤーには直前まで見せたくないから、扉で隠して…… といった具合でしょう。 さて、それでは何がいけないのでしょう 誰の目にも明らかなミスですが、2階の小部屋が空中に浮かんでいますね。 1階の対応する場所にも何らかのスペースがないと物理的に建築できません。 ですが、答えはこれだけではありません。 階段が部屋の中に設置されているのもなんだか変です。 もちろんダンジョンの種類にもよりますが、これがお屋敷だったら絶対不自然です。 部屋で読書していたら、家族が扉を開けて素通りしていくわけです。 絶対住みたくない。 もうひとつ。1階から2階への階段と、2階から3階への階段が離れすぎです。 例えばこの建物を1階から3階まで上がることを想像すると、 廊下から部屋に入り、階段を上り、また廊下に出て、そして左手の部屋に入らなければいけません。 学校でも駅でもスーパーでも、想像してみるとそんな構造をしているはずがありません。 階段は階段の上に作られるのが普通です。 いくらゲームといえど現実にあり得ない構造は避けるべきでしょう。 そして実際の建物と比較して矛盾がないか、住居であれば住みやすいかを想像すれば 決して難しいことではありません。 ちなみに、以上を承知であえて複雑な構造を作る場合も当然ありますし そのことにとやかく口出しする気はありません。 その場合でも「XX遺跡」とするより「XX迷宮」という名前にすれば 迷わせることが目的の建造物だと明示できます。 不思議のダンジョンよろしく、入るたびに形を変えるという設定でもいいでしょう。 『奇塊』の下水道のように元が旧時代の地下遺跡で そこに増設を繰り返しているためというのもアリですね。 やや力業ですが単に設計者が変わり者だったから、でも構いません。 そういった補足があれば、細部に神経が届いていると感じられ プレイヤーは安心してシナリオに入り込みやすくなります。 2013/02/26