構造の美しさとリアリティ ■なるべくネタバレしないように ハンターハンターという漫画をご存知でしょうか。 私、あれが大好きなんですが、いよいよ連載が終了しそうですね。 だってそうでしょう。休止前に主人公を徹底的にぶっ壊して後を続けられるはずもなく さらに、普通に考えたらすぐにでも漫画に追いつきそうなアニメが放送開始し そのうえ今週号の作者コメントには 「震災の復興を祈り自分もできる限り頑張ります」的なことまで書いてしまっている。 ここまで言って、また10週後にあっさり休載するとは考えにくいじゃないですか。 # 2006年〜2007年における長期連載中止後のハンターハンターは # 10週(つまり単行本1冊分)単位の連載と長期休載を繰り返すスタイルで # ストーリーを重ねているのです。 というわけで私は今回の連載分が終了すると同時に 作品自体も終わるのではないかと推測しています。 以下その仮定に基づいたあれこれ。 ■じゃああの人達は? となると、ファンには気になることがあります。 レオリオはどうなるの?旅団は?ジンは?ジャイロって何だったの? ここまでの29冊で蓄えられた伏線はどう消化されるのでしょうか? この疑問に作者は答えるでしょう。 「それは描かない」 これが何を意味するか。特にジンに関しては強烈な意味があるのです。 すなわち、漫画のタイトルにも掲げられている 「ハンターを捕らえる者」であり「ハンターである父親を探す主人公の旅」 という主題さえ否定してしまう暴挙に他なりません。 冨樫義博は恐らくまず間違いなく稀代のストーリーテラーです。 その稀代の作家であればこそ、伏線を回収することなど造作もないことなのに なぜ彼は放置する選択肢を取ったのか。 この漫画を好む読者であればその答えは自ずと思い当たります。 登場人物すべてが各々の目線で思考を張り巡らせることを売りとする本作に 取ってつけたような伏線回収劇は相応しくないからです。 つまり作者は 「張られた伏線は回収して然るべき」という物語構造の美しさよりも 「登場人物が最も相応しい行動を取った結果としてストーリーが動く」という リアリティを優先したわけです。 ■構造美とリアリティはトレードオフ 物語構造を美しく仕上げることと展開の自然さは、相反する要素です。 時としてお話を収めるために、強引な展開を取らざるを得ないことや 展開の不自然さによって、維持しようとした構造すらかえって濁らせてしまうことも ありますが、そんな時に本当に取るべきなのはどちらなのか 大胆な見直しをすることで新しい道が開けてくるかもしれません。 …まぁ両立できるのがベストなのは言うまでもありませんが。 2011/08/08 # 冨樫はサボってるだけだよねとか言ってる人は # これ(http://togetter.com/li/7665)読んで妄想を逞しくすればいいと思う。