最初のうちは,「考える」といっても,ほとんど どうしてよいか分からないかも知れません。
初めてディクレアラーになった人は,「頭の中が真っ白で … (何も考えられない) 」と 言います。
それでも,何トリックくらいどうやって取れそうかとか,最初の数トリックだけは
どうしようかなどと,とにかく
自分なりに考えてみましょう。
だんだん慣れてくると,コントラクトを作るには どうすればよいか という
全体像まで 考えられるようになります。
とにかく,行き当たりばったりにプレイするのではなしに,
自分なりに考えて,その方針に従ってプレイします。
コントラクトがノートランプの場合には,ウィナー (勝ち札) を数えます。
スート・コントラクトの場合には,切り札が絡むので,トリックを数えるのが むずかしくなります。
数え方は
(1) ウィナー (Winners,勝ち札) を数える
(2) ルーザー (Losers,負け札) を数える
の 2 通りあります。
どちらでも構いません。自分の考えやすいやり方で数えましょう。一般には,(2) の方法が分かりやすいと
されています。
切り札の長いハンド (多くの場合は,自分のハンド) を基準に取って,どのカードが勝てるか負けるかを判断することにより,
取れるトリック数を数えます。
ノートランプでの ディクレアラーのカード・プレイ については,かずちゃんのホームページ
の「ブリッジ教室」に詳しい説明があります。シミュレーターも用意されていて,実際に自分でプレイ してみることもできます。
ディクレアラーのカードプレイ については,そこで基本的な考え方を身につけましょう。
ここでは,ホールドアップ・プレイとその回数に触れておきます。
ダミー | コントラクト | ||||
Q 8 5 | 3NT | ||||
10 2 | |||||
A 9 6 4 2 | |||||
左オポ | K J 5 | 右オポ | |||
J 4 2 | 10 9 7 3 | ||||
K Q J 7 6 | 8 5 3 | ||||
10 | Q J 7 5 | ||||
9 7 6 4 | A 8 | ||||
A K 4 | |||||
A 9 4 | |||||
K 8 3 | |||||
Q 10 3 2 | |||||
ディクレアラー |
ルール・オブ・セブン (Rule of Seven)
ここで問題になるのは,ホールドアップの回数です。
上の場合には,2 回のホールドアップが必要です。
この回数については,一般に,Ace のストッパを持っているディクレアラーについて,
ホールドアップの回数 = 7 − (味方の合計枚数)
という規則があります。上の例では,たしかに
ホールドアップの回数 = 7 − ( 2 + 3 ) = 2
となっています。この規則を ルール・オブ・セブン と言います。
相手方の 8 枚が 5-3 ではなく
4-4 に分かれていれば,ホールドアップの必要は無い ( の負け札は 3 枚だけ)
ですが,コントラクトを作ることは大切なので,安全のために,ホールドアップします。
また,もしも A が左オポの手にあれば,ホールドアップしてもしなくても,
結果は同じです。
ダミー | |||||
10 5 2 | |||||
左オポ | 右オポ | ||||
K Q J 7 6 | 8 3 | ||||
A 9 4 | |||||
ディクレアラー |
スート・コントラクトの場合についても,かずちゃんのブリッジ教室に説明があるとよいのですが, まだ「準備中」となっています。いずれ,「準備中」ではなくなるでしょうが,ここでは,交流ラウンジで 拝見している実際のプレイから,気のついた ( ごく初歩的な ) 点をいくつか取り上げます。
スート・コントラクトでは,切り札があります。これをどう考えて扱うかがポイントです。
この下に書いてある 4 つのことに注意するだけでも,ディクレアラー・プレーの成果はかなり上がるはずです。 何ごとも,基本が肝心です。かずちゃんのホームページのシミュレーターで腕を磨きましょう。
「カードの枚数を数えるのは苦手で …」という人もいますが,切り札の枚数だけは絶対に数えましょう。
数え方は,13 から味方の切り札の枚数を引き,これを記憶します。
以後,ディフェンダーの切り札が出るたびに引き算します。
切り札は,できることなら,早速全部刈り上げて (あるいは,追い出して) しまいましょう。これが基本原則です。
味方は切り札が多いのですから,そして,沢山の良いカードを持っているのですから,相手側の切り札を
全部追い出して
しまえば,あとはこちらのものです。
もちろん,これは原則であって,場合によっては,すぐに切り札を追い出そうとするとコントラクトがダウンすることもあります。そういう場合には,刈り上げを一時遅らせますが,それにしても,切り札を刈り上げるのは, スートコントラクトの基本です。
切り札は「切る (ラフする,ruff) 」という性能を持っているので,これを使うと,容易にトリックを稼ぐことができます。
しかし,不用意にラフすると,得したつもりでいても,実際には得になっておらず,
却って危険な場合もあります。
ダミー | コントラクト | ||||
A 9 8 | 4 | ||||
Q 6 5 | |||||
7 6 3 | |||||
左オポ | A 5 3 2 | 右オポ | |||
10 7 5 3 | K 4 | ||||
J 8 | 10 9 7 | ||||
A 4 2 | 10 9 8 5 | ||||
K Q J 4 | 10 8 7 6 | ||||
Q J 6 2 | |||||
A K 4 3 2 | |||||
K Q J | |||||
9 | |||||
ディクレアラー |
右のハンドで,あなたは 4 のディクレアラーです。
オープニング・リード K を A で取った後,
どうしますか ?
手もとで が切れるので ここですぐに をラフする人がいます。
何となく得をしたような気分がします。 でも,それは,ぜんぜん得になっていません。それどころか,
ここでクラブをラフするのは,長い切り札を短くする自殺行為です。
なぜでしょうか ?
クラブを 1 回切ったとして,その後を調べてみましょう。あなたの手もとには,切り札が 4 枚残っています。
切り札を全部刈り上げると,手もとに残るのは 1 枚です。
ここから, をエスタブリッシュするために,ディフェンダーに手を渡します。また の
フィネスが失敗したときにも,ディフェンダーに手が渡ります。
このとき,ディフェンダーは,当然, を
出して攻めてきます。それを切るためには, 2 枚の切り札が必要です。1 枚では,
どうしようもありません。
つまり,この場合には,切り札の枚数は ぎりぎりだったのです。
遊んでいる余裕は ありません。A を取ったら,直ちに切り札を刈ります。
繰り返しになりますが,
長い方の切り札を大切に
しましょう。
ダミーの短い切り札で切るのは,得です。
しかし,長いほうの切り札は,どうせ いつかは勝てるので,急いでラフする必要はありません。
長い切り札で切る場合には,それが本当に必要かどうかを確かめましょう。
切り札の長さは,コントラクトを達成する上で,とても重要です。
次の例は,大きな切り札を追い出しきれずに,残ってしまった場合です。
ほかの二人の手は,関係無いものとします。
左オポ (ディフェンダー) | 切り札 | |
K Q | スペード | |
A K | ||
— | あなた (ディクレアラー) | |
J 10 | ||
— | ||
A K |
あなたの持っている 2 枚の切り札 J 10 は,
左オポの 2 枚の切り札 KQ より弱いので,
切り札の直接勝負では,勝ち目がありません。
もしも J を
打てば, 4 トリック全部を取られてしまいます。
しかし,A を出して,それを
左オポに切らせれば, 2 トリックを取ることができます。
このように,切り札が短くて弱い場合には,切り札の直接勝負を避けて,自分の長いスートを出して
相手に切らせることにより主導権を回復します。
何でもないこと,あるいは当然のことと言ってしまえば それまでですが, ディフェンダーの二人が互いに
協力することが大切です。
ブリッジは,パートナーシップを重んずるゲームです。
では,「協力」とは,具体的には何を指すのでしょうか ?
それは,カード・プレイを通して,自分の持っているカードの
内容をパートナーに伝え,それに基づいて,コントラクトをダウンするように協力することです。
そんなことをすれば,ディクレアラーに余計な情報を与えるので損になる … とお考えでしょうか ?
しかし,たとえ,ディクレアラーに情報を与えることになっても,二人のあいだで互いに情報を伝え合うことの利益の方が
大きい … というのが,ブリッジのディフェンスの基本的な考え方です。
この考えに基づいて,カード・プレイの約束が組み立てられています。
二番手の人は,低い札を出す … これが,セカンドハンド・ロー (Second Hand Low) です。
そのスートの第 1 巡目の場合には,非常によく当てはまります。
もちろん,例外もありますが,判断のつかないときには,
これを守るのが普通です。
セカンドハンド・ローは,ディクレアラーのプレイについても,当てはまります。
三番目の人は,高い札を出す … これが,サードハンド・ハイ (Third Hand High) です。
もちろん,高い札を出したからといって,勝てるとは限りません。
それが ディクレアラーの Ace に取られることも
あります。
しかし,だからと言って,高い札を出し惜しみするのは,「協力」の精神に反します。
あなたの高い札が討ち死にしても,パートナーの次に高い札が
今度は勝てるようになることだってあるのです。
サードハンド・ハイは,ディクレアラーのプレーについても,当てはまります。
たとえば,Q J 10 という 3 枚を頭に持つスートからリードする (台札を出す) ときには,必ずトップの Q をリードします。
この約束も,「協力」という意味で重要です。
なぜなら,あなたが Q を打ち出せば,
「このスートで K を持っていません。しかし,J を (たぶん) 持っています」
とパートナーに伝えることになるからです。
この場合,もしも,パートナーが Ace を持っていて,このトリックを絶対に取る必要があると思えば, (King を持っているディクレアラーに取られないように) Ace で取ります。
ここでは 3 枚の連続したカード (シーケンス) について説明しましたが, 2 枚のシーケンスでも同じです。
さっきと同様に Q J 10 を持っていて,フォローする (二番手以降でカードを出す) ときに,この 3 枚の中の
一番低い札 10 を出します。
これにより,パートナーは,あなたが
「 このスートに 9 を持たず,J を持っている可能性がある」
ことを知ります。
ここでは 3 枚の連続したカード (シーケンス) について説明しましたが, 2 枚のシーケンスでも同じです。
どんなコントラクトであっても,パートナーがビッドしたスートがあるのなら,原則として,そのスートを選択します。
もちろん,いつでも それが成功するとは限りません。しかし,パートナーがビッドした
スートがあるにもかかわらず (そして,明確な理由もなしに) ,自分で別のスートを選んで失敗するよりは,パートナーのスートを
打ち出して失敗するほうが,はるかにましです。
ブリッジは,パートナーシップを重んずるゲームです。
どのスートを選択してよいか分からないときには
(A) ビッドの経過
(B) 自分のカード
から判断してスートを選択します。このときに重要なのは,
(A) を優先する
ことです。
ビッド経過を全く無視して,自分のカードだけからオープニング・リードを選択するのは,
大きな間違いです。オープニング・リードを決める前には,必ず,ビッド経過を確認しましょう。
オープニング・リードは,難しいものであり,熟練した人でも,つねに最適のリードをできるとは限りません。
しかし,オープニング・リードは,そのあとのプレイの流れを決める重要なカードなので,
少しでも良い リードをしようと心掛けることは大切です。
ときたま,
「どうすれば良いオープニング・リードができますか ?」
という質問が出ますが,その答は
「自分のカードをひとまず忘れて,ビッド経過だけから,適切なスートをとりあえず決める:
それから,自分のカードを見て何がよいかを考える」
のがよいでしょう。
|
|
ダブルトンから打ち出す場合には,上のカードから出します。
これには,例外はありません。
A K, K Q, A 10, Q 2, 10 6
スート・コントラクト | ノートランプ・コントラクト | ||
x x X | X x x | ||
x x x X | X x x x (または x x x X ) | ||
x x x X x | x x x X x | ||
ACBL のコンベンションカードから (PDF) |
スポット・カード ( 2 〜 9 のカード) が 3 枚あるときには
スート・コントラクト | ノートランプ・コントラクト | ||
フォース・ベスト | フォース・ベスト | ||
A K x | 10 9 x | A K J x | A Q 10 x |
K Q x | K J 10 x | A J 10 9 | A 10 9 x |
Q J x | K 10 9 x | K Q J x | K Q 10 9 |
J 10 9 | Q 10 9 x | Q J 10 x | Q 10 9 x |
K Q 10 9 | J 10 9 x | 10 9 x x | |
ACBL のコンベンションカードから (PDF) |
また,K, Q, J, 10 を頭に持つ 3 枚のカード ( K 7 3, Q 8 4, J 4 2, 10 7 4 ) では,一番下のカードを打ち出します。
ダブルトン AK から打ち出す場合には,ダブルトンの約束に従って,A を出します。
AK を含む 3 枚以上のカードから打ち出す場合には,K,A の順に出します。
したがって,K を打ち出すと, (シングルトンの場合を除いて) A または Q を持っていることが
パートナーに伝わります。
スート・コントラクトの場合,AK… 以外の組み合わせで A を含む場合には,A から打ち出します。
なぜなら,スート・コントラクトで A の下から打ち出すと,取れるはずのトリックを取り逃すことがあるからです。
したがって,オープニング・リードでは (原則として) A の下打ちをしない約束になっています。
上にも書いたように,スート・コントラクトの場合,A からの下打ちは良くないとされています。
このためか,K からの下打ちも悪いのだと誤解する人がいます。 K からの下打ちは,いつでも良い結果を
生むとは限りませんが,悪いオープニング・リードではありません。
K の下から打ち出すことを怖がっては いけません。
ACBL のコンベンションカードでは,上記の場合,Q を打ち出すことになっています。これは,次の約束に基づきます。
ノートランプ・コントラクトで Queen が打ち出されたとき,パートナーは,Jack を持っていれば,必ず Jack を出します。こうすることにより,
ディクレアラーの Ace を追い出せば,そのスートを走ることができます。
念のために付け加えると,Q を打ち出すのは,
K Q 10 9 … の場合に限ります。
K Q 10 8 の場合には,K から始めます。
たとえば,K Q J 8 を持っているとき,K から始めます。
ところで,もしも K が勝ったとき,次にどのカードを出したらよいでしょうか ?
これにも約束があります。連続する絵札の最下位 (この例では J ) をリードします。この約束は,パートナーが A を持っているときに,
いつ A で取るべきかの判断を助けます。
この取り決めは,K Q J x だけでなく,Q J 10 9 でも, J 10 9 でも有効です。ディフェンスのプレイがしやすくなります。
昔は,この場合にも トップ・オブ・ナッシングにより,最上位のカードから打ち出すのが普通でした。
しかし,現在では,
ACBL のコンベンションカードでも, 英語で書かれた入門書 / ソフトウェアでも,最下位のカードを打ち出すのが標準になっています。
これは,ダブルトンと区別をつけるためです。
ただし,Mike Lawrence は,これを少し複雑にした次の方法を勧めています。
(1) パートナーがビッドして,自分がサポートした ( 3 枚の) スートの場合は,
スポット・カードの最上位の札を
(2) それ以外の場合には最下位の札を打ち出す。
というものです。
たとえば,パートナーが 1 オーバーコールして,自分が K73 を
持っており,2 とサポートした場合には,
最下位のカード 3 を打ち出します。
これにより,ハートに絵札を持っていることを伝えます。
もしも自分が 854 の 3 枚でサポートしたのだったら,
トップの 8 を打ち出します。
これにより,ハートの絵札を持っていないことが伝わります。
パートナーのビッドしたスートに 3 枚持っているが,
サポートできなかった (弱い手の) 場合には,
スポット・カードの枚数を伝えることが,(良い手を持っていると期待される)パートナーに
とって意味を持ちます。最下位のカードを打てば,2 枚ではなく,
3 枚持っていることが,伝わります。
―― フォース・ベストの約束をしていると,ルール・オブ・イレブン が使えます。
これが,パートナーに,持ち札についての情報を伝えます
(ディクレアラーが,これを逆用することもあります) 。
ダミー | ||
K 8 3 | ||
Pard | You | |
5 | A 10 6 2 | |
? | ||
ディクレアラー |
―― "5" より大きいカードは,6,7,8,…,K,A と指を折って数えると,9 枚ある。
フォース・ベストなので,そのうちの 3 枚は,パートナーが持っています。
ですから,
9 − 3 = 6
となります。よろしいですか。
―― カードを見ると,あなたとダミーで,"5" より大きいカードを 5 枚持っている。
残る 1 枚は
ディクレアラーにある … ノートランプをトライするのだから,その 1 枚は Q でしょう。
だったら,ここは,A を出さずに,2 を出して
負けてしまいましょう。そうすれば,次の機会にパートナーから を出してもらうと,フィネスが利いて,残りの
を全部取れます。
ルール オブ イレブン は,たとえば,上のように使います。
もしも,このトリックを A で取って
しまうと,ディクレアラーの Q もダミーの K も どちらも捕まえられません。
―― その打ち返し (リードバック) にも,約束があります。
(1) はじめに持っていたカードが 2 枚ならば,迷うことはありません。
(2) はじめに持っていたのが 3 枚だったら,真中のカードを (つまり,残った 2 枚の上のカードを)
打ち返します。
(3) はじめに 4 枚以上持っていた場合には,はじめに持っていたカードの中の上から 4 番目を
打ち返します。これを,オリジナル・フォース・ベスト(Original Fourth Best) と言います。
(4) ただし,4 枚以上持っている場合でも,シーケンスが残っているときは,そのトップを打ち返します。
たとえば,
K 10 7
を持っている場合,パートナーの打ち出し 2 を K で
取った場合には,真中にあったカード 10 を打ち返します。
また,
K 10 7 4
を持っている場合には,オリジナル・フォース・ベスト 4 を打ち返します。
ただし,
K 10 9 4
の場合には,シーケンスがあるので,10 を打ち返します。
―― そうかも知れません。
こういう打ち返しをすると,平均的に見て得をする … という意味です。
肝心なのは,何を打ち返すかということよりも,とにかくまず同じスートを打ち返すということです。
ノートランプの場合,パートナーは一番長いスートを打ち出しています。ですから,そのスートを
大切にして (ディスカードしないで) ,機会があれば打ち返すことが大切です。
もちろん,ダミーのカードを見て,打ち返すと明らかに不利な場合は別です。
自分にも長いスートがあるからというので切り替えることもありますが,よほど自分のスートが
しっかりしているのでない限り,パートナーのスートを大切にしましょう。
「どうしてあのとき,私のスートを
打ち返してくれなかったの ? 」と訊かれたときに,ちゃんと答えられますか ?
ブリッジは,パートナーシップを重んずるゲームです。
―― ディクレアラーに フィネスをかけることができるからです。
都合の良い例を挙げると,こんな場合です。
ダミー | ||
8 4 | ||
Pard | You | |
A J 7 5 | K 9 3 | |
ディクレアラー | ||
Q 10 6 2 |
ダミーの次の人は,ダミーのカードをなるべく生かさないようにする大切な役目を担っています。俗に
絵札に絵札をかぶせる
と言います。ここで絵札 (アナーカード,Honor Cards) と言っているのは, 10 を含みます。
たとえば,ダミーとあなたのハンドが
ダミー | Q 8 3 |
You | K 9 2 |
ダミー | Q J 3 |
You | K 9 2 |
―― その場合には,俗に
最後の絵札に 絵札をかぶせる
と言います。最初の絵札 ( Q または J ) には K をかぶせずに,
2 枚目の絵札 ( J または Q ) に K をかぶせます。
―― 第 2 トリック以降でも,新しいスートを選んだ場合には,オープニング・リードと同じ約束に従います。
ただし,…
(1) ダミーのカードが見えているので,
明らかに有利な台札があれば,それを選びます。
たとえば,スート・コントラクトの場合,Ace の下からアンダーリードすることもありえます。
(2) 原則として,多くの場合,フォース・ベストを選びます。これは,オープニング・リードの場合と同じです。無難なリードです。
(3) 絵札を含む 3 枚以上のシーケンスでないカード (例: K J x x x,Q x x ) では,
4 番目または,一番下のカードをリードします。
これも,オープニング・リードと同じです。
(4) 3 枚以上のスポット・カードの場合には,トップ オブ ナッシング (Top of Nothing) で,頭のカードをリードします。
これは,スート・コントラクトの場合,オープニング・リードと違う点です。
(5) 一般に,高いスポット・カード (Top of Nothing) のリードは,
そのスートに関心が無いことを示します。
場合によっては,これが
「これ以外のスートをリードして下さい」
という積極的な意志表示になります。
(6) 低いスポット・カードをリードすると
「このスートに絵札を持っているので,このスートをリードして下さい」
とパートナーに伝える意味になります (Low Card from Strength)。
North | コントラクト | ||||
J 4 3 | 2 | ||||
K Q 9 5 | |||||
Q J | |||||
West | K J 9 2 | East | |||
Q 10 6 | A 5 | ||||
10 6 2 | A 4 3 | ||||
A 6 5 4 | 9 8 7 3 | ||||
10 7 5 | A Q 6 4 | ||||
K 9 8 7 2 | |||||
J 8 7 | |||||
K 10 2 | |||||
8 3 | |||||
South |
West | North | East | South |
パス | 1 | パス | 1 |
パス | 2 | パス | パス |
パス |
―― 低いカード (ロー,Low) = 続行拒絶,
高いカード (ハイ, High) = 続行希望
を意味します。
ダミー | コントラクト |
K 8 5 | 4 |
Q J 6 | |
A K 6 3 | |
K 10 2 | あなた |
10 3 | |
7 2 | |
Q J 10 8 7 4 | |
A 4 3 |
―― はい。その通りです。
ダミーのカードの大きさも参考にして 判断します。
―― はい,使います。ノートランプ・コントラクトでは,取られることが明らかでも,カムオンを出すことがあります。
―― その通りです。取られてしまうと,パートナーは諦めて,もう一度 リードしてくれないかも知れない …。
「それでも諦めずに,次の機会に リードしてほしい」と シグナルを送ります。
奇数枚のとき, ロー → ハイ
偶数枚のとき, ハイ → ロー
とシグナルを送ります。
ダミー | ||
K Q J 10 9 | ||
Pard | You | |
A 7 5 | 4 3 2 | |
8 6 | ||
ディクレアラー |
ダミー | ||
K Q J 10 9 | ||
Pard | You | |
A 7 5 | 4 3 | |
ディクレアラー | ||
8 6 2 |
―― 使う状況が違うので,混同することはありません。
カムオン・シグナルは,パートナーがリードしているときに使います。
カウント・シグナルは,ディクレアラーまたはダミーがリードしているときに使います。
―― パートナーがリードしたスートが で,切り札が とします。
この場合
に リードを切り替えてほしければ,スペードの高い札を
に リードを切り替えてほしければ,スペードの低い札を
出します。これが,スート プリファレンス・シグナルです。
ダミー | コントラクト |
Q | 3 |
J 5 4 | |
Q J 10 9 6 4 | |
Q J 10 | あなた |
9 8 4 | |
3 2 | |
8 5 3 | |
A K 9 7 2 |
―― 右の場合,3 コントラクトに対して,
パートナーからのオープニング・リードは,K です。
こういうリードをするパートナーは,A か Q の
どちらかを持っています。いまは ダミーに Q が見えているので,パートナーが A を
持っていることは,確実です。
でも A を続けて出すと,
ダミーで切られることが見え見えですから,パートナーは, のどちらかにスイッチするでしょう。
多くの場合,パートナーは,ダミーと自分のカードを見て,どちらにすべきか判断できます。ところが,上のダミーのカードからは,どちらが良いのか自分では判断がつきません。
そこで,あなたがシグナルを出して,パートナーを助けます。
いまは,クラブをリードしてもらう方が良いので,低いカード,すなわち,
4 を出します。
―― はい。
ダミー | コントラクト |
A J 8 | 3 |
5 3 | |
K Q J 3 | |
Q 10 6 5 | あなた |
10 5 | |
Q J 10 9 2 | |
A 7 6 | |
A 9 3 |
オークションの経過から相手側がクラブを持っていると考えられる場合には,
2 がシングルトンからの
リードであると期待して,クラブを打ち返します。
そのとき,9 と 3 のどちらをリードしますか ?
もちろん,どちらを出しても,パートナーが切ることは同じです。
でも,パートナーが切った後で, を
打ち返してくれれば,あなたの A で再びリードが入り,さらに もう一度 を
切ってもらうことができます。
したがって,9 ではなしに,3 を打ち返します。
スート選択シグナルは,こんなふうにも使います。
北ブリッジ倶楽部のホームページの初級室に
「ディフェンスの基本」というページがあって,ディフェンスの基本技術を説明しています。
そのほかに, JCBL(http://www.jcbl.or.jp/) から
無料でダウンロードできるソフトウェア 「ブリッジ入門 2 」(2003) も 断然おすすめします。
高度な使い方まで,とても丁寧に,詳しく,分かりやすく書かれています。