それでは レスポンダの初回の応答が 2/1 GF ビッドの場合は,どうでしょうか。
その場合に,第 4 スートのビッドをゲーム・フォーシングとするのは,重複です。
手では,ノートランプをビッドします。
多くの場合,これは まさに レスポンダが期待していることです。
なぜなら,もしも第 4 スートに何か持っていれば,レスポンダは 観測風船を上げる必要は無く,自分から
ノートランプをビッドできます。たとえば:
ここまでの例では,FSS を使ってコントラクトを うまく決められました。
ところが,次の例では,切り札が なかなか 決まらず,ストッパが無いため 3NT もできないことが分かり,5-2 のメジャースートに緊急避難します。
West
A Q J 5 2
| 10 6
| K Q 6 3
| Q 3
|
| |
East
K 3
| J 2
| 7 5 2
| A K J 7 5 2
|
| |
|
|
ここでは,オープナーが FSS を使い,レスポンダに ハートのストッパを訊ねます。
East は ハートが止まらないことを知って,スペードを
プリファー します。
質問 2
2/1 GF 応答に対して,オープナーが最初のスートをもう一度ビッド
するのは,6 枚以上を保証しますか ?
これは,ブリッジ理論で議論が分かれるところです。私自身は,2/1 を使い始めた頃,
ビッドされていないスートにストッパが無ければ,ノートランプをビッドしようとしませんでした。
つまり,ときには 5 枚で リビッドしていました。
しかし,その後 経験を積んでから,オープナーが自分のスートを再度ビッドするのは
6 枚を約束する というのが良いやり方だと確信するようなりました。
今では, ビッドされていない 1 スートまたは 2 スートにストッパが無くても,
気楽に 2NT をビッドしています。おまけに,私のオポさんたちも この流儀に乗り換えました。
そこで,私のお勧めは:
2/1 の後のオープナーのビッド
オープナーが自分のスートを再度ビッドするのは,
6 枚を保証する。
ということです。
West
J 8 7 6 5 2
| Q 4
| Q 3
| A K 9
|
| |
East
Q 10
| K 5 2
| A K 9 5 2
| 8 6 2
|
| |
|
West が自分のスートを再度ビッドするのは,
良いスートを保証するものでは
ありません。単に 6 枚以上であることを示して,8 枚カードのフィットを見つけ
やすくする目的です。
West
A K J 7 5
| 10 6 3
| K 3
| J 7 5
|
| |
East
Q 10
| A 5 2
| A Q 9 5 2
| 8 6 2
|
| |
West | East
| 1 | 2
| 2NT | 3NT
| Pass
|
|
West はビッドされていない 2 スート (
,
) に
ストッパを持っていません。
しかし,私の考えでは,5 枚のスペードを
もう一度ビッドするよりは,2NT がこの手をよく記述しています。
実際,3NT は優れたコントラクトです。オープニング・
リードがクラブ以外なら,
頭から 9 トリック取れます。仮にクラブが打ち出されたとしても,4-3 の分かれが多いですし,5-2 とか 6-1 でブロッキングが起こることもありえます。
もしも上のディールで West が 2NT ではなしに 2
を
ビッドすると,4
コントラクトに落ち着くでしょうが,
ダイヤモンドの分かれがぴったり 3-3 でなければ
ダウンします。
West
K 2
| A J 9 7 5 3
| A Q 8 2
| 4
|
|
West | East
| 1 | 2
| ?
|
|
ただし,重要な点として,オープナーが第 2 スートをビッドした場合,
第 1 スートに 6 枚を否定しては いません。たとえば,West が左の手を持っていて,
オークションがこのように始まったとします。
次に West が 2
をビッドするのは,少なくとも 5 枚のハートと 4 枚
のダイヤモンドを示します。
この場合には,単に 2
をビッドして 6 枚を
知らせるよりも, 2
が良いビッドです。
質問 3
オープナーが 3 の代で新しいスートをビッドするには,何点必要ですか ?
たとえば,こんな場合です。
West (オープナー) | East (レスポンダ)
|
1
| 2
|
3
|
West の 3
は,ビッド階梯
(Bidding Ladder) の余地を
多量に消費します。
しかし,
どこで コントラクトをプレイするかは未だ決まっていません。
おまけに,
どの代 (ゲーム,スラム) かも未定です。ここで 3
をビッドしてしまうと,
レスポンダのクラブが十分に強い場合を除いて,3NT 未満でストッパを互いに探す余地は殆どありません。
したがって,この質問への基本的な原則は:
オープナーの 3 の代での新しいスート
オープナーが 3 の代で新しいスートをビッドするのは,
次のどちらかを示す。
・ 余分の強さ
(Extra Strength)
・ 余分の形
(Extra Distribution)
(1) West
A K 10 6 4
| 7
| A K J 5
| K 9 2
|
| |
East
J 5
| A K J 4 2
| Q 7 4
| J 6 3
|
| |
|
West は,5 枚の
と 18 HCP + 1 LP = 19 pts を持つので,East の 2
に
対して
をビッドできる余分の強さが十分にあります。
この 3
に対して,East は ちょっと困ります。
こんなに弱いクラブでは 3NT をビッドできません。そこで, オープナーの第 1 スートを
プリファーします。すると,West は,自分の手を記述し尽くしたので,安心して 3NT をビッドできます。
(2) West
5
| K Q 8 6 2
| 6 4
| A Q J 4 3
|
| |
East
J 6 3
| 5
| A K Q 7 2
| K 10 6 2
|
| |
|
今度は West の HCP は,たったの 12 です。しかし,5 枚の 2 スートという
良い形です。この手では,2
に対して
第 2 スートを示すのが特に大切です (さもないと,このクラブが埋もれてしまう)。
これを受けて,レスポンダが
クラブを
サポートするので,最良のコントラクトに到達できます。
オープナーの手がもっと強ければ,4
に続いて キュービッド
やブラックウッドも使えて,スラムに行けるかも知れません。
余分の強さも余分の形も どちらも無ければ,オープナーは 3 の代で
新しいスートをビッドする余裕がありえません。したがって,アンバランスな
手でも,2 回目にノートランプをビッドします。
(3) West
Q 8 4
| A K 8 6 2
| 6
| Q J 4 3
|
| |
East
J 6 3
| 5
| A K Q 7 2
| K 10 6 2
|
| |
West | East
| 1 | 2
| 2NT | 3NT
| Pass
|
|
5 枚のハートと 12 HCP + 1 LP = 13 pts という下限の手で,5 枚の第 2 スートがありません。
2
を受けて,West は 2NT で決着をつけます。
これに対し East も,2/1 応答をする下限の手なので,直ちにゲームに上げます。
クラブについては どちらも触れていませんが,でも,この場合は それが良いのです。
もしも West がクラブをビッドしてしまうと (3
),
East がそれを上げます。その結果,最善のコントラクト 3NT を跳び越えて,5
を
プレイすることになりますが,頭から 3 トリック (
AK, A) 取られてダウンします。
ただし,East が余分の強さを持つ場合には,クラブが埋もれることは無く,
5 あるいは 6
さえもが良い
コントラクトになります。たとえば:
West
Q 8 4
| A K 8 6 2
| 6
| Q J 4 3
|
| |
(4) East
A J 6
| 5
| A K Q 7 2
| K 10 6 2
|
| |
West | East
| 1 | 2
| 2NT | 3
| 4 | 4NT
| 5 | 6
| Pass
|
|
East は,この場合,2NT に対してゲームに留まるには強すぎるので,クラブを
示します。
West がこれを上げて,スラムに突入します。
オープナーが下限のセミ・バランスハンドを持って,2 回目に 2NT をビッドすると,
オークションは 通常 なめらかに進み,最善のコントラクトに達します。
質問 4: 2/1 GF を使う場合,強いジャンプシフトは必要ですか ?
レスポンダのジャンプシフトは,必要以上に ひとつだけ代の高い新しいスートでのレスポンスです:
West (オープナー) | East (レスポンダ)
|
1
| 3
|
古典的な使い方では,このジャンプシフトは,非常に強い 19+ pts の手とスラムへの
関心を示します。しかし,そんな手は珍しいので,多くのペアは 強いジャンプシフトの基準を 17+ pts に下げています。
K 3
|
A Q 9 4
|
A K J 5 4
|
Q 2
|
ジャンプシフトはビッド余地を 沢山 消費するので,これを使うと,
どこで コントラクト
をプレイするかを決めるのが難しくなります。たとえば,1
オープンに対して
レスポンダが右の手を持っているとしましょう。ダイヤモンド 5 枚で 19 HCP + 1 LP = 20 pts の手です。
ジャンプシフトできる強さは 確かにあります。したがって,スラムを
目指すことになるでしょう。
けれども,その出発点として,ジャンプシフト 3
は うまくありません。
考えられるコントラクトは,
,
,
です。もちろん,ノートランプもあります。
残されたビッド余地を使って,これらの可能性をすべて調べる
ことができるでしょうか ?
こういう複雑な手に対しては,ビッド余地を残しておきたい ―― これが まさに
2/1 GF 手法の大きな利点です。単に 2
をビッドすれば,
多くの余地が残り,
それを使って
どこで プレイすべきかを
解明し,スラムへ行くことができます。
3
にジャンプして,
この利点を捨てたくはありません。
2/1 GF を使うとき,強いジャンプシフトを使うのは 気に入りません。
このビッドの使いみちは,他にもいろいろあります。たとえば:
2/1 でのレスポンダのジャンプシフト
・ レスポンダの
3 の代へのジャンプシフトは,自然なビッドであり,
オープナーをゲームに誘う。
・ レスポンダの
2 の代のへジャンプシフトは,弱い
(プリエンプト)。
誘いのジャンプシフト ( 3 の代 )
3 の代へのジャンプシフトは,良い 6 枚スートを持つ 9〜11 pts の弱い手を示す。これにより,2/1 で扱いにくい ある種のハンドが扱いやすくなります。
West
Q J 8 5 2
| A K 9 5
| A 10
| J 5
|
| |
East
3
| J 8 3
| K 3 2
| A Q 10 9 4 3
|
| |
(A) | West | East
| | 1 | 3
| | 3NT | Pass
|
|
6 枚のクラブと 10 HCP + 2 LP = 12 pts を持つ East は,ゲーム・フォーシング
2 を掛けるには不足です。
その代り,3
へ 誘いのジャンプをします。West は,うまいコントラクト 3NT に異議無く進みます。
もしも 弱い直接ジャンプシフト (A) を使うことに取り決めていなければ,オークションは,右のように進むでしょうか …。
ここで,East は 2 回目のビッドで何を選択すべきか困ります。
・ パスは悲観的すぎる。
・ 2NT に見切りをつけて
のパートスコアを選ぶとしても,
3 なら,もっと弱い手でも できる。
・ おまけに 3
をビッドすれば,West は パスでしょう。
さらに言うと,
3 の代への直接ジャンプシフトを 上のように 誘い (A) の意味に
取り決めておけば,
レスポンダが弱い手の場合,フォーシング 1NT を使って,
最善のパート
スコアで止まることが
できます。
West
Q J 8 5 2
| A K 9 5
| A 10
| J 5
|
| |
East
3
| J 8
| K 3 2
| Q 10 9 7 4 3 2
|
| |
|
このオークションで,West は 3
を問題なくパスします。
なぜなら,レスポンダは,クラブが長い 弱い手を持っているに違いありません。もしも 誘いを掛けられるだけの
強さ (A) があれば,初回に 3
をビッドした筈です。
弱いジャンプシフト ( 2 の代 )
2 の代へのジャンプシフトをフォーシングに取り決めるのは,多少の利点があります。
というのは,1 の代の応答がゲーム・フォーシングではないからです。そうは
言っても,さきに
述べたように,レスポンダが 17+ pts を持つことは稀であり, 仮に持っていたとしても,1 の代から始めて
フォーシング・ビッドを続ければ (FSS なども使い) 処置できます。したがって,
多くのペアは,2 の代へのジャンプシフトを まともな 6+ 枚スートの
弱い手として使っています。
West
8
| K Q 6 4
| A K Q 10 7
| K 9 5
|
| |
East
K J 10 9 7 3
| 7 3
| 8 4
| 7 6 2
|
| |
West | East
| 1 | 2
| Pass
|
|
良い 6 枚のスペードの他に何も無い East は,辛うじて 2
へと弱いジャンプシフトを
します。West は強い手を持っていますが,パートナーとフィットが無いので,それ以上
ビッドする気にはなりません。East-West は良いパートスコアで止まります。
もしもこのペアが弱いジャンプシフトを使っていなければ,オークションは
こんなふうになるでしょう:
最初のレスポンスで East は,そもそもビッドするかどうかの決断を迫られました。
しかし,一旦 1
をビッドすると,
オープナーの リバース 2
をパスは許されないので,
スペードを もう 1 回ビッドします。オープナーはこれより良い手を期待しているので,
おそらくビッドを続けるでしょう。このペアは,マイナス・スコアに向かって進んで
いるように見えます。
West
5 2
| A 9 5
| K 8 7
| A J 10 8 3
|
| |
East
Q J 9 7 6 4 3
| 7 4
| 6 4
| Q 6
|
| |
West | East
| 1 | 2
| Pass
|
|
弱いジャンプシフトは,プリエンプトとして有効です。上のような手の組み合わせでは,
相手側が 4
を作れそうです。しかし,East が
2
にジャンプすると,
それを乗り越えてオークションに
参入するのは困難でしょう。
2/1 でのジャンプシフトに関するこれまでの議論は,
読者から新たな質問を
呼び起こしました。
質問 5
ロッドウェルさん,
この質問の前に申し上げると,あなたが 2/1 をよくご存じであること,
そしてまた,その
使い方をよく教えて下さることについて,私は何の疑念もありません。
つい先だっての Cavendish Pairs での成果は殊に見事なものでした。
Tom MacLean
Portland, Oregon
[1] 1 または 1 オープンに対する
レスポンダのジャンプ 3 または 3 を
自然な誘いとする考え方は,バーゲン・レイズ (Bergen Raise) と矛盾しませんか ? バーゲン・レイズを 2/1 の基本要素と見なす人もいるからです。
Tom さんが言うのは,次のようなオークションです。
オープナー | → | 1
| Ê
| | |
| Pass
| レスポンダ | → | 3
| Ã
|
|
|
2/1 システムを使っているとき,レスポンダの
3 には,
どんな意味を割り当てるのが
良いでしょうか ?
前回の議論では,一般的な手法として 低い
ランクの 3 の代へのジャンプシフトを 誘いの
意味に使いました。これは,9〜11 pts と
良い 6 枚スートを示します。
ジャンプシフトをこのように使う理由は,オープナーが
1 オープンしたときに,
次の 2 種類の手をレスポンダが区別してビッドできるようにするためです:
(1) | 10 7 2
| | 5
| | Q 3
| | Q J 9 8 7 5 3
|
| |
(2) | 10 7 2
| | 5 2
| | Q 3
| | A Q J 8 7 3
|
|
左側 (1) は,レスポンスできる ぎりぎりの手であり,2/1 GF のビッド 2
は
できません。そこで,フォーシング 1NT から始めます。オープナーが 2 巡目に
2 とか 2
を
ビッドした場合には (パスして この役立たずのダミーの手を晒す
よりは)
3 を選びます。このビッドは,長いスートと弱い手を示し,
パートナーにパスしてもらって,3
のプレイを望んでいます。
右側 (2) も,同様に 2/1 GF ビッドの強さはありませんが,でも ほんの少し
足りないだけです。
ここで もしも 1NT から始めて,パートナーが 2
とか 2
を
ビッドした場合,どうすれば 誘いを掛けられるでしょうか ?
たとえ 3
をビッドしても,
パートナーは (1) のような手だと思うでしょう。
この難局を救うのは,誘いのジャンプシフト 3
です。
ハンド (1) では 1NT を
経由しますが,ハンド (2) では 1
に対して いきなり ジャンプシフト 3
します。
こうすれば,どちらの場合にも,オープナーは レスポンダの手を正しく想像できます。
Tom さんの質問は,上の手法がバーゲン・レイズと相容れないという点です。
バーゲン・レイズは,
後の説明の中に書いてあるように,1
または 1
オープンに対する
コンベンションです。これを使うと,1
に対する
ジャンプ応答 3
は人工的なビッドになり,
ハート 4 枚と 7〜10 pts
(10〜12 pts というのもある) を
示します。
このコンベンションの長所を議論するにあたっての 要
(かなめ) は,ある人たちが考えているのとは違い,
バーゲン・レイズは 2/1 システムの不可欠要素では ない ということです。
誘いのジャンプシフトも 同様に不可欠要素ではありません。
2/1 と それ以外とを ごっちゃにしては いけません。
2/1 GF システムではなしに標準システムを使っていて,バーゲン・レイズを採用する
ペアもいます。また,2/1 を使うけれども バーゲン・レイズを使わない人もいます。
さらには,2/1 と バーゲン・レイズを併用する人もいます。
バーゲン・レイズは,誘いのジャンプシフト,強いジャンプシフトと相容れませんが,2/1 とは 両立
します。
では,バーゲン・レイズにはどんな長所があるでしょうか ? 調べて見ましょう。
Marty Bergen が バーゲン・レイズを展開したのは,
合計トリック数の法則の
主唱者である Larry Cohen とペアを組んでいたときでした。この
法則から導かれる
ひとつの考えは,ペアのあいだで 9 枚のフィットがあるときには いつでも,3 の代
まで ( 9 トリックまで) 喜んで競り合うというものです。
相手側がどんなに強い手を持っていても,また,
相手側が未だオークションに
入っていなくても,このように機先を制して競り合います。
オープナー | → | 1
| Ê
| | |
| Pass
| レスポンダ | → | ?
| Ã
|
|
Q J 7 4
| 5
| 8 4 2
| Q 9 4 3 2
|
|
メジャースートの 9 枚フィットがある場合, バーゲン・レイズは,コントラクトを
直ちに 3 の代に上げます。たとえば,パートナーが
1 オープンした
場合を考えましょう。
標準システムでは,この手の場合,2
に
上げます。
オープナーが下限の手でこれをパスすれば,相手側がオークションに参入して,
自分たちのフィットを見つけるでしょう。
一方,バーゲン・レイズを使っている場合には,
この手の場合,ジャンプして 3
プリエンプトできます。
相手側は強い手を持っていても, オークションに割り込むのが一段と難しくなります。また,
パートナーが良い手の場合には,3
が手の内容を
うまく表現しているので,
どの代 までビッドできるか決めてもらう上での助けになります。
K 9 7 3
|
8 4 3
|
K 10 6
|
K 8 3
|
標準システムでは,この場合にも 2
に上げます。
その結果,
相手側にビッド余地が残り,もしも同程度の点数を持っていれば,
オークションに
参入してくるでしょう。
一方,
バーゲンを使っていれば,3
(
または 3
) に
ジャンプして,切り札 4 枚の建設的な手を示します。
このビッドは,相手側の競り合いを一段と難しくしますが,それと同時に,4 枚の切り札と何らかの絵札を
約束するので,パートナーに 余分の強さがあれば ゲームを
視野に入れることができます。
Q 10 9 4
|
A J 8 5
|
7 4
|
K J 5
|
|
|
標準システムでは この場合 リミット・レイズ 3
を使います。
バーゲンを使っていれば,リミット・レイズを伝えるために 3
(
または 3
) にジャンプします。
オープナーは 3
で打ち止めもできるし,誘いを受け入れて 4
を
ビッドすることもできます。さらに,スラム・トライをしたければ,
標準システム以上のビッド余地が
残っています。
Q 8 5
|
J 6 4
|
A J 6 3
|
9 4 2
|
この場合には,標準システムでも バーゲンでも 共通に 2
に
上げます。
両者の違いは,バーゲンを使っていると,切り札枚数が 正確に 3 枚で
あることが伝わり,オープナーが対応しやすいことです。
標準システムの場合には,3 枚なのか 4 枚なのか オープナーには
分かりません。
バーゲン・レイズは,とくに競り合いの状況で,ペアのあいだで上手な判断を
する
のに役立ちます。私も気に入っていますが,でも,バーゲンは 2/1 の不可欠要素ではありません。
[2] 2
または 2
への
ジャンプシフトを使って,5+ 枚のスートと 13+ pts を示すのが便利だと思いつきました。
この方法は 2/1 に矛盾しません。 なぜなら,レスポンダによる 2 の代の新しいスートがゲーム・フォーシング
になるからです。これについて,どうお考えでしょうか ?
この手法の例を示しましょう。
オープナー | → | 1
| Ê
| | |
| Pass
| レスポンダ | → | ?
| Ã
|
| |
A 6
| A K 8 5 3
| J 9 5
| 8 4 2
|
|
この場合,標準システムでも,通常の 2/1 でも,レスポンダは 1
をビッドします。
レスポンダの新しいスートは フォーシングですが,ゲーム・フォーシングでは
ありません。
そのため,ゲームに達するまで レスポンダはフォーシングのビッドを
する必要があります。
あなたの手法は,ここでの 2
をマラソン・ビッドとして使い,
ゲーム・フォーシングに取り決めようというものです。これは,2/1 GF で 1
オープンに
対して
2 をビッドするのと似ています。
面白い考えですね。2/1 オークションの中に,2 の代へジャンプすべきか否かを
取り入れてみましょう。変則的ではありますが,
必ずしも悪いとは言えません。
オークションがそれにより楽にできるようなら,何らかの
長所があるでしょう。
ただし,標準から外れるので,あなたの手法を相手方に
必ずアラートするように
気をつけて下さい。
このような手法を取り入れるにあたっては,その得失をよく吟味するのが
良いでしょう。ジャンプシフトの使い方として広く知られているのは,
・ 強いジャンプシフト
・ Soloway ジャンプシフト
・ 弱いジャンプシフト
です。あなたの手法は,13+ pts を持つ手で 1 の代での応答を捨てています。
(1) 強いジャンプシフト
強いジャンプシフトのコンベンションは,19 +pts とスラムへの関心を示しますが,
これを捨てることに異存は全くありません。このような手は稀であり,
この方法を使う人は,現在では ほとんどいません。
(2) Soloway ジャンプシフト
Paul Soloway は,3 種類の手にジャンプシフトを使うことを提案しました。
・ よくトリックを取れる可能性がある強いスート,15+ pts。
・ パートナーとの良いフィット ならびに 良い第 2 スート,15+ pts。
・ 18〜19 pts の強いバランス・ハンド。
レスポンダは,次回のビッドで,この 3 種類のどれであるかを示します。
これは,スラムの探索に役立ちます。こういう手は 19+ pts の手よりずっと
頻度が高いですが,覚えることが沢山あり過ぎて,あなたの手法の
方が使いやすいと思われるでしょうね。
(3) 弱いジャンプシフト
この手法を使うと,レスポンスできる ぎりぎりの強さと良い 6 枚スートを示せます。
これは,手の形を良く伝え,しかも相手側のコントラクトを締め出す効き目があります。
評判の良い手法です。
(4) 1 の代の新しいスート
あなたの方法に一番合わないのが,これです。
2 の代にジャンプせずに 1 の代で
応答すれば,ビッド余地が残ります。これは,時として重要です。
最良のコントラクトに達するのに必要な情報交換をするために,このビッド余地が欠かせないことがあります。
長いオークションが好ましいと言うのでは ありません。
できると思うコントラクトを素早くビッドすれば,大抵は うまく行きます。
いずれにせよ,2 や 2 へのジャンプを 2/1 応答として
使うのが お気に入りでしたら,そのようにジャンプシフトを使うことをお勧めします。
ビッドの方法については,考えるべきことが山ほどあります。その一つは,自信を持って楽に
ビッドできるかどうかです。
バーゲン (Bergen)・メジャースート・レイズ
パートナーが 1
または 1
オープンして,その次のオポが
パスした場合:
・
3
, 3
へのジャンプ・レイズは,プリエンプトであり,
切り札 4 枚と 6 HCP 未満を示す。
・
3
へのジャンプは,誘いであり,4 枚の切り札と10〜12 pts を示す。
・
3
へのジャンプは,建設的レイズ。切り札 4 枚と 7〜10 pts を示す。
・
2
, 2
へのレイズは,
切り札 3 枚と 6〜10 pts を示す。
* ただし,3
と 3
を反対に取り決めるペアも多い。
第 4 スート・フォーシング
標準のシステムでは,レスポンダによる第 4 スートのビッドは,
通常,
人工的なフォンシング・ビッド として使われます。たとえば:
West
J 5
| K 8 7 6 3
| A J
| K J 5 4
|
| |
East
K Q 9 4 3 2
| A 4
| 7 4
| A 9 6
|
| |
West | East
| 1 | 1
| 2 | 2
| 2NT | 3
| 4 | Pass
|
|
West が 1
オープンして,East が 1
を答え,
West が次に 2
を
ビッドすると,East は困ります。13+ HCP を持っている East は,ゲームに行く強さがあることは 分かります。
でも,どんなゲームへ ?
East は,4
にジャンプしたくはありません。
West のスペードがシングルトンやボイドのこともありうるからです。そうかと言って,
たった 3
のジャンプだったら,ノン・フォーシングです。
また,3NT にもジャンプしたくは ありません。
ダイヤモンドに何も無い ――
ストッパが無い ―― からです。
ハートを 2 枚でサポートするのも 嫌です。West が示したハートは 5 枚だけです。
同様に,クラブを 3 枚でサポートしたくもありません。West の第 2 スートは,おそらく 4 枚です。
ここで,East は何かフォーシング・ビッドを捻り出して,もっと情報を
集める必要があります。
そのためによく行われるのは,第 4 スートのビッド
2 を
人工的なフォーシング・ビッド ―― 多くのペアのあいだでは ゲーム・
フォーシング ―― と
する取り決めです。こうしておくと,あとのビッドが
ずっと楽になります。
上のディールの場合,West は ダイヤモンドのストッパを持っているので,2NT をビッドします。
(East の 2 が人工的なビッドなので, このダイヤモンドを West は
当てにして いません。) このとき,East はスペードを気楽にビッドできます。なぜなら,
2
がゲーム・フォーシングなので,3
が
ここでは
フォーシングだからです (もしも 6 枚のスペードでゲームに誘いたければ,
前回 3 を
ビッドした筈です)。これに対し West は,スペードのサポートを示し,両者は最善のコントラクト 4
に落ち着きます。
この場合のビッド経過は,2/1 GF を使っている場合にも全く同じです。
East の 1
は 2/1 ビッドでは ないので,オークションは標準システムに
沿って進みました。