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コラム「LEDの使い方」

 発光ダイオード(LED)は高輝度で低電力、そして比較的小さい光半導体で、私たちの身近に溢れるくらい使われるようになりました。鉄道の現場では駅の列車案内表示器などに登場後、信号機や方向幕のLED化など、多くの場所で使用されるようになりました。また、鉄道模型業界もこの波に乗り遅れることなく、車両やジオラマの照明などに多用されています。

 利点も多いLEDですが、欠点もあります。主なものは、もともとダイオードのため一方向にしか電気が流れないこと、LEDのみを電源に繋いでしまうと壊れてしまうこと、そして、概ね4〜5V以上の逆電圧をかけてしまうと壊れてしまうことが挙げられます。前者は抵抗などを入れることで回避できますが、後者はちょっとしたテクニックが必要になります。

 まず、一方向にしか電気が流れない欠点は、ブリッジ・ダイオードを使用することで回避することが出来ます(書籍22ページ、図1-22)。


図 LEDを点灯する回路例。

 またLEDを点灯するには、必ず抵抗などを入れて電流を制限する必要があります。抵抗とLEDは直列になっていれば良く、繋ぐ順番を変えても問題なく動作します。また、抵抗の代わりに定電流ダイオード(CRD)やFETを使用しても同様に動作しますが、半導体部品のため、抵抗に比べて高価なことや、逆電圧をかけると壊れてしまうことが欠点です。

 抵抗を入れる場合は、オームの法則から

抵抗(kΩ)=(電源電圧(V)−ダイオードの順方向電圧(V))÷電流(mA)

で求めることが出来ます。LEDの順方向電圧(VF)は部品のデータ・シートに書かれていますが、赤・黄・緑の各色は概ね1.8〜2.2V前後、青・白の各色は概ね3.2〜3.6V前後のものが多いようです。また最近では、10mA程度で非常に明るく点灯するLEDが増えてきていますので、無理に大電流を流す必要はないでしょう。


図 オームの法則。電圧と電流、そして抵抗が密接に関わっていることがわかる。




図 データ・シートの例(抜粋)。表には絶対最大定格が書かれているが、この値ギリギリで使用し続けると寿命が短くなる場合が多い。このLEDの場合、直流逆電流(=逆耐圧)が4Vと低いため、回路設計には注意を要する。電気・光学的特性の表にはIF=20mAでの特性が書かれているので、20mA以下で使用するのが望ましい。またグラフにより、約1.7V強で点灯し始めることや、約3mAで十分視認できるほど明るく点灯することなどがわかる。(データ・シートの例(抜粋)は、「TLRMH20TP(F),TLSH20TP(F),TLOH20TP(F),TLYH20TP(F)データ・シート(東芝セミコンダクター)より引用)


写真 LEDの小分け袋に順方向電圧(VF)が記載されている例。このLEDの順方向電圧は3.0〜3.4V。


写真 LEDの明るさをチェックするには、LEDチェッカがあると便利。これは筆者が愛用するワンダーキット製の組み立てキットで、10mA/20mAの切り替え式。
→共立エレショップ:LEDチェッカキット2 / LED-36(w)


図 LEDを逆電圧から守る方法。左上はLEDを互い違いに配置して逆電圧を低くした例、左下はLEDの代わりにダイオードで逆耐圧を低くした例で、この2つの回路原理は同じ。右はLEDと直列にダイオードを入れて逆耐圧を高くした例で、抵抗・ダイオード・LEDの順番はバラバラでもかまわない。

 最後に、LEDは逆耐圧を超える逆電圧をかけると壊れてしまいます。図に、LEDを逆電圧から守る方法を掲載します。左上図・左下図はLEDやダイオードの順電圧が逆耐圧よりも低いことを利用した例で、鉄道模型の前照灯・尾灯の切り替えなどにも応用できて便利です。右図はダイオードで逆耐圧を上げた例で、尾灯のみを搭載する客車などに応用が利きます。

 LEDは私たちの暮らしはもとより、電子工作と密接な関係を持つ光半導体です。上手に使って、末永くつきあいたいものです。

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<2009.-9.-3 公開、2011.-2.-4 更新>