学名の前半、この蝶のグループ名を示す"Graphium"は「小さな絵。 かわいい絵」という意味のギリシャ語で、この蝶が舞っているのを見ると、まさにそのイメージ通りである。
 前翅長、つまり上側の羽根の根元から先端までの長さが32〜45ミリで、比較的大型であり、目に眩しいような青色斑列があるため、飛んで来ると遠くからでもよく目立つ。しかし、気ぜわしい性格なのか、絶えずヒラヒラと舞っており、これまでもよく見かけていたのだが、カメラに収める機会はなかった。


今年は何故か春紫苑(ハルジオン)の花がひどく気に入ったらしい一羽が一ケ所をウロウロしてくれたので、何枚か撮すことが出来た。それでもジッとしているのは1〜2秒で、撮影に十分な時間とはいえなかった。
 一番上のショットは何とか目線の高さで真横から撮れたものだが、100ミリのマクロレンズで50センチ以上の距離があり、そうして写したものの一部をトリミングして拡大したのでピントのシャープな写真とは言い難い。
 しかも、実写ショットはバックが薄汚れた白の塩ビ波板の塀で、何とも戴けない。そこでコラージュのテクニックを応用して、背景を草藪に入れ替え、ピントも多少シャープに調整した。合成写真はこの1点のみ。その原写真2点はこの頁末に参考表示。
 青色斑列は鱗粉がよく光るためか、肉眼では緑がかった濃い青色に見えるのが、写真にすると日光の当たり具合によってずいぶんと白光りしてしまう。そのため、最初のショットは青色斑列の色合いを肉眼で見たときの記憶に近づけて調整してある。


 ハルジオン:<春紫苑>
      学名 Erigeron philadelphicus  キク科ムカシヨモギ属
 北アメリカ原産の多年草。日本には大正時代に園芸植物として入ってきた。戦後になって都市周辺を中心に各地に広がり、どこでも目につくようになった。
 高さ60センチぐらいになり、全体に軟毛がある。茎は中空で、茎の中部の葉の基部は茎を抱いている。また、つぼみが下向きになっているのも特徴。
 花期は5〜7月。頭花は白色または淡紅色で直径2〜2.5センチ。
 (花の説明の出典:『山渓ポケット図鑑1 春の花』鈴木康夫 他)


撮影:H11. 5. 2  自宅近くの路地にて


  観て下さってありがとうございます。


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【参考画像】
☆本頁トップのコラージュの素材写真。