時間割作成のノウハウ

1.前書き

 時間割の作成という作業は、新年度が始まってから新学期が始まるまでの短い時間に集中して行う作業です。当然効率の高さが要求されます。しかし、年にせいぜい1〜3回ぐらいしか行わない作業なので、約1年たてばこつ、感覚などを忘れていることがよくあります。それに係りの構成メンバーも替わっていったりします。学校によっては、時間割の達人、名人といわれるような人が経験とかんを活かしてさっさと作ってしまうところや、新任など若い先生が引き受けて四苦八苦しているところもあるかと思います。

 時間割を作る上でのノウハウの蓄積はだいたい職人芸のように見て覚えたり、口伝えで残っていったりしています。また、学校によってやり方が少しずつ異なったりもします。もうすでに何らかの文章化を行った人もあるかもしれませんが、時間割作成のノウハウの蓄積を文章化し、広く共有すれば、貴重な時間と労力が省けるのではないかと考えます。

 そこで私なりに、整理して、まとめてみたいと思います。自分の経験の範囲でしか考えられないと思います。そのため他の人から見たら、それはちょっと違う、とか、もっとよい方法があるのでは、などの意見が出てくるかもしれません。そんな貴重な意見はぜひこの趣旨をご理解いただいて、E−メールで送ってほしいと思います。

メールアドレス kysh.sakurai@nifty.com 桜井 淳

 

2.作成前の準備

 実際に作成に入る前に、準備しておかなければならないものをまとめてみます。

・日課、固定時間

・各学年のクラス数と担任名

・教科担当クラス

・学年、教科、個人からの条件や要望(実現の必要度も)

 

3.教科の授業を入れる前に設定するもの。

 教科の授業を入れる前に、次の順に設定します。

・固定時間…学活、道徳、ゆとりなど

・主任会などの固定時間

・必ず(頻繁に)出張が入るなど、授業を入れられない時限

 

4.教科の授業を入れる順番

 教科の授業はあとから動かしにくいものから順に入れていきます。このとき決して焦らず、常に教師から見たバランス、クラスから見たバランスを確認しながら慎重に進めていく必要があります。この場合のバランスとは曜日のバランス、午前、午後のバランスなどが考えられます。

・技術家庭科…ペアでリンクし、連続で、特別教室の関係もある

・美術科…連続授業

・保健体育科…ペアでリンク。グラウンド、体育館の関係もある

・音楽科…音楽室の関係がある。

この段階でもう一度教師から見たバランス、クラスから見たバランスをチェックします。チェックする項目としては

・残りの空白のところに5教科がうまく入るか

・1日の4教科(音楽、美術、保体、技術家庭)の授業のしめる割合

・週の前半、後半に偏っていないか。

4教科がきちんと入ったら次は5教科(国語、社会、数学、理科、英語)です。

・残りの5教科については授業時間数の多い教科から順に入れていく

・一つの教科の中では、さらに授業時間数の多い教師から、あるいは複数学年にまたがる教師から入れていく

・この時、1日の中での残り空白数に注意し、残りの教科の数より多く空白を残さないようにしていく

 

5.駒が入った後

 きちんと先を見通し、バランスを考えながら、駒を入れてくれば、入った後の調整は楽であるが、やはりすることはある。

教師から見た時間割では

・4時間連続授業の解消

・3時間連続授業の解消

・複数学年またがりのとき授業に行く順番を考慮したり、間に空き時間を入れたり

クラスから見た時間割では

・同じ教科が午後にかたよっていないか

・教室移動の授業や体育が連続していないか

 

6.駒の移動のテクニック?

 駒の移動を読むのは将棋や囲碁に似てると思いませんか。たくさんの枝道を調べて、最善手を探す・・・。

・まず単純入れ替えを考える

・途中で行き詰まったら少し戻して別の枝道を考える

・それでだめだったらまた少し戻して別の枝道を考える これを繰り返す

・3方交換が有効な場合もある

・空いている時限へ移動してもだめな場合は他の授業がある時限へ移動し、もともとあった授業は後で移動するとして先を考える

・逆に移動したい時限を先に空けるように他の授業を移動する方がやりやすい場合もある

 

7.後書き

思いつくままに書いてみました。このテキストに関してはおそらくたくさんの先生方から意見があると思います。ぜひ、その意見を送っていただいて、ノウハウ集としてまとめることができたらいいなと思っています。このテキストがたたき台になれば、と思います。

 

Back元に戻る

Home最初に戻る

最終更新日 : 2003年5月12日