『東北人的たこ焼き論』の巻


 今回は、たこ焼きをテーマにしてみたいと思います。昨夜久し振りにたこ焼きを作って食べたもので・・。

 たこ焼きと言えば、なんたって関西ですね。はい、承知してます。確かに関西のたこ焼きは美味しいです。初めて大阪〜神戸方面に行った時には、まるでタバコ屋の様にたこ焼き屋がいたる所にあるので驚きました。
 食べてみると、私がそれまでに食べなれていた東北〜関東のたこ焼きとはまったく違って、フワッと軽いんですよね。さすがにたこ焼き文化の懐の深さを感じました。

 たこ焼きのバリエーションで、明石の『たまご焼き』というのは有名ですね。普通は『明石焼き』と言っているみたいですが、ご当地では『たまご焼き』と呼んでいます。私も神戸に行った時に、これを食べるためだけにわざわざ明石まで足を伸ばして食べてきました。
 これは名前の通り、玉子が主材料となっていて、非常にフンワリと軽い仕上がりになります。玉子は白身だけを使うのが正統だそうです。形は、普通のたこ焼きよりちょっと平べったい感じで、それが寿司を乗せるような台に乗って出てきます。

 たまご焼きは、普通のたこ焼きの様にソースを塗って食べても良いのですが、一緒にお吸物が出されますので、それに浸して食べるのがこのたまご焼きの正しい食べ方ということになっています。なるほど、これがなかなか合うんですよ。腹の足しにはなりませんが、酒を飲んだ後とか、帰宅途中の食事までの腹つなぎなどには気が利いていると思います。

 たまご焼きは自分で作ったことはありませんが、何年か前にたこ焼き用の鉄板を手に入れて以来、普通のたこ焼きは自分なりに研究してみました。
 関西のたこ焼きを食べた経験はほんの数回で、その記憶と自分の好みを頼りにやって来ましたので、『我こそは正統派』という関西の方から見ると邪道な点があるかもしれませんが、文句があったらうちに来てください。私のたこ焼きを食べさせて上げますので、それから話をしましょう。

 あっ、たこ焼きの作り方に入る前に、一つだけ言っておきたいことがあります。この辺のデパートの軽食コーナーなどで売っているたこ焼き、あれだけはどうしても許せません。
 デパートのたこ焼きは、タネを流し込んだ後に千枚通しでクルクルひっくり返すのではなく、上からパタンと蓋をして焼いちゃうので、アルバイトなどでも簡単に作れますが、底の平らなパンケーキの出来損ないみたいなものが出来ます。東北生れの東北育ち、北関東在住の私でも、あれはたこ焼きとは断じて認め難いです。
 デパートのたこ焼きコーナーの責任者の方は、速やかに心を入れ替えて、はやく真っ当なたこ焼きを作って売ってください。

 さて、美味しいたこ焼きについてですが、たこ焼きなんて非常に簡単に作れちゃいますし、少なくとも東北〜関東においては外で買ったものなどよりはるかに美味しいものができますから、是非自分で作るようにしましょう。
 たこ焼きを焼くための半球状のくぼみの付いた鉄板は、その辺のデパートや道具屋みたいなところで売ってます。先日、古道具屋をのぞいたら、一度に100個以上焼ける中古の業務用たこ焼き器が、9800円で売ってました。我が家に欲しいとは思いませんでしたが、会社の懇親会などでこういうのを持っていると、行事の時などに良いでしょうね。

 鉄板さえあれば、材料は家にあるものだけでOKです・・と言っても、肝心のタコがあるとは限りませんね。『うちは冷蔵庫の中にタコだけは欠かしたことがありませんのよ、オホホ・・』という方はあまりいないと思いますので、タコが無かったら買ってきてください。足の一本もあれば十分です。
 タコの代わりにチーズやらコーンなどを入れても楽しいのですが、まずは基本のタコで修行を積んでからバリエーションを考えるというのが筋でしょう。
 タコを買いに行くついでに、もし紅ショウガが無かったら買ってきてください。紅ショウガの汁は捨てないで、冷奴に掛けると醤油を少なくしても美味しいですよ。減塩になりますし、さっぱりして食欲が増します。

 たこ焼きの最低限の材料は、小麦粉、水、タコ、紅ショウガです。紅ショウガは、たこ焼きの構成要素としては必須では無いと思われるかもしれませんが、はっきり言ってこれが入っていないたこ焼きは、私は食べたくありません。

 あった方が良いという材料は、玉子、揚げ玉、ネギ、キャベツなどです。粉を溶く時に出し汁を使うという人もいます。この辺はお好みでどうぞ。

 さて、たこ焼きの最大のコツですが、私の行き着いた結論は、粉を溶く濃さにあります。『こんなに薄くていいの?』と不安になる位に薄くしないと、仕上がりがモッタリとしてしまいます。
 私は感覚で計っちゃうのですが、およそ粉の4〜5倍(量で)程度の水が必要です。粘り気がまったく無い、牛乳みたいな感じにして下さい。お玉一杯の小麦粉で、たこ焼き20個分位の量になります。

 鉄板は、焼いて油を引き、油を良く馴染ませておいてください。焦げ付いちゃうと、たこ焼きがうまくひっくり返せなくなります。

 どなたでも、一度や二度は屋台でたこ焼きを焼いているところを見たことがあると思いますので、アレを思い出して、どうにか焼いてみましょう。
 千枚通しでクルクルとひっくり返すのは、一見難しそうですが、やってみると案外簡単にできます。慣れないうちは両手を使った方がやり易いと思います。別に千枚通しじゃ無くても、先の尖ったものだったら何でも構いません。こまめにクルクルとひっくり返すと、外側がカリッとして、中がトロ〜リフンワリのたこ焼きが出来上ります。

 素早く皿に取ったら、削り節や青海苔、オタフクソースをかけてヒフホフといただきましょう。ねっ、買ってきたやつなんかより100倍もうまいでしょ?私はマヨネーズもつけますが、ダメですか?


 このたこ焼き論につきまして、大坂のkawabataさんより以下のメールを戴きました。 御紹介致します。

はじめまして、HP見させていただきました。
私は大阪に住んでいる平凡な男です。
東北のほうは雪がすごいんでしょうね。
大阪はめったに雪が降らないので子供達は雪だるまも見た事がなく、いちど雪国へ連れて行ってやりたいと思ったりしています。

すべてを見せていただいたわけではありませんが、特に三文グルメが私のお気に入りです。
その中でたこ焼きについて書いておられましたが、大阪人としてはたこ焼きの材料は最低でもタコ、紅ショウガ、天かす、きざみねぎ、玉子、たこ焼き粉です。
大阪ではスーパーへ行けば必ずたこ焼き粉が売っていますが、もしなければ小麦粉+だし汁+山芋が必須です。
山芋を入れないと、小麦粉を濃くすると団子のようになってしまうし、かといって薄くするとふんわりとするんですが全然腹の足しになりません。
(大阪では昼ごはんの代わりにたこ焼きを焼いたりと、立派な主食なんです。)
山芋を入れるとふんわりとしていてなおかつ、しっかりと腹に残るんです。

それから、天かすは鉄板に油を引いてから一番最初に入れます。
すると、粉を流すまでのわずかな時間の間に少し焦げて、焼きあがったときにふんわりとした中にさくっとした天かすの食感があり、いっそう美味しくなります。

他には、我が家では、油の代わりにごま油を使います。
そして粉の中に薄口しょうゆを入れます。(ここでしっかりと味をつけてはいけません。ここではわずかにしょうゆの味がする程度です。)
それを焼くと、ごま油と醤油のおかげでとても香ばしくなって食欲をそそられます。

焼きあがったらたこ焼きソース(大阪では売ってます。なければとんかつソース。)と マヨネーズ、あおのり&鰹節をかけてもいいのですが、我が家ではたこ焼きの上にきざみねぎをたっぷりとかけ、そのうえから薄口醤油をさっとかけて食べます。

是非いちどお試しください。

ps.「イカのワタを捨てる人は死刑!!」賛成です。
そのままアルミホイルに入れて焼いても上手いし、イカの身と一緒に料理しても上手 いし、塩辛にしても・・・
なんか腹が減ってきた・・・


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