沖田十三の星の世界 No.7


みなさん、こんにちは。今回、私ささやかな野望を抱いてこれを書いています。アンドロメダ星雲というのをみなさんはご存じでしょうが、このアンドロメダ星雲というものが、みなさんの頭のなかで、今少し実感を持って浮かび上がるようにしてみたいと思うのです。どうか読者のみなさんも積極的に読んで欲しい。今回この「星の世界」を読んだことによって、アンドロメダ星雲に対する認識をほんの少しでも深めていただければ、私としては大満足です。


あなたはアンドロメダ星雲というと、どんな姿を思い浮かべますか。・・無数の星の集まり。・・渦を巻いてる。・・中心部は明るく、周辺へいくほど暗い。・・暗黒星雲が漂っている。・・とても大きい。・・とても遠くにある。とまあ、こんなところでしょうか。デレビのアニメによく出てくるので、誰もがこれぐらいのことを知っているでしょう。そして、我々の銀河系もこれと良く似た姿をしているということもご存じでしょう。

絵や写真で見るアンドロメダ星雲は、たいてい細長い楕円形をしていますが、あれは斜め方向から見た姿であって、真上から見ると、もっときれいな円形に見えるはずです。そしてその場合、直径は約10万光年であると考えられています。また、銀河系もほぼ同じ大きさで、アンドロメダ星雲と銀河系の距離は約220万光年であると考えられています。

さて、ここでみなさんは、アンドロメダと銀河系との間に横たわる距離をどのように考えたでしょうか。220万光年という数字をみると、とてつもなく遠いと考えましか。光の速さで行ったとして220万年かかる。・・これは確かに大きな距離です。ところが、見方を少し変えると、アンドロメダは比較的近いとも言えるのです。つまり、他の小宇宙の多くはもっとはるか彼方にあるのだから、それと比べればアンドロメダはごく近くにあるとも言えるのです。

もう少し距離について考えてみましょう。アンドロメダと銀河系とを外から同時に眺めてみたらどうでしょう。2つの星雲(小宇宙)はどのように見えるでしょうか。直径10万光年の2つの円盤が220万光年離れて並んでいるのです。220は10の22倍、つまり、一方の円盤からもう一方の円盤までの距離は、その円盤が22個並び得るだけの大きさであるということです。アンドロメダや銀河系を仮に10円玉くらいの大きさに見立てると、2つの10円玉を約50cm離して並べたような具合です。

この22個並ぶ距離を遠いと感じるか、近いと感じるかは、やはりあなたしだいでしょう。10円玉での我々の存在は極めて小さい(太陽系の大きさは銀河系の1/8000万くらい)だから、22個分も!と気が遠くなるかもしれませんし、銀河系自体を日膣の生命のように考えると、自分の体の22個分の距離などたかがしれている、アンドロメダは銀河系の「隣人」のようなものだ、とも考えられるでしょう。

では、次にアンドロメダの大きさはどうでしょう。銀河系から見ると、どれくらいの大きさに見えるのでしょう。ここでいう「大きさ」というのは、いわゆる「見かけの大きさ」のことです。たとえば、目の前にある鉛筆と100m先に立っている電柱とでは、実際は電柱の方が大きいけれど、距離のことを全く考えないで見ると、鉛筆の方がずっと大きく見えます。目に映る像の広がり、すなわち角度で見るのです。ですから、この見かけの大きさのことを「視角」とも言います。100m先の電柱は目前の鉛筆より「視角」が小さいのです。

そこで、銀河系から見たアンドロメダはどれくらいの視角があるのでしょう。これは図を描けば簡単に求められます。50cm離れた一点から10円玉の両端へ線を引き、その間の角度を測れば良いのです(三角関数を習った人なら作図せずとも計算できるでしょう。関数電卓がいるけど。)。すると、2.7度くらいになります。正確には、160分(=2.667度)だそうです。そして、月は32分だそうです。そうすると、これは驚きユキちゃんのオナラ、アンドロメダの方が5倍もあるのです。月の5倍も大きく見えるはずなのです。ところが、「はず」と書いた理由はもうお気づきでしょうが、残念ながら実際にはそう大きくは見えません。写真に撮ることはできても、肉眼では無理です。それはアンドロメダがあまりに遠くにあるため、肉眼で鮮明に見られるほどには光が充分には届かないからです。(中学校の理科で習ったように、明るさは光源からの距離の2乗に反比例するからです。)


いかかでしょう。アンドロメダのイメージがわいてきませんか?肉眼では鮮明に見ることができない、とは言えどもあなたには心の目があります。空を見上げれば、そこに大きく広がるアンドロメダ星雲を想像することができるでしょう。月の5倍もの大きさに広がる星雲を見ることができるのです。そこに実際にあるのです。銀河系の「お隣さん」にあいさつして下さい。そのときあなたの目は宇宙に向かって開かれるのです。