沖田十三の星の世界 No.8


みなさん、こんばんは。前回はアンドロメダ星雲について、距離や大きさのことを書きましたが、納得いただけましたでしょうか。今回は太陽系のことを、またもや視覚的にとらえて考えてみようと思います。
あなたは「太陽系」というとどんなイメージがうかびますか。あるいは、こう考えてください。あなたがもし宇宙船に乗って太陽系の外へ行き、太陽系の姿を眺めたとしたらどんな風に見えると思いますか。ごく単純に考えてください。そうすると、「太陽の周りをまわる9個の惑星」が、誰にも共通して思い浮かぶところだと思います。

だいたい図にかけばこんな風でしょうか。多少の異論はあると思いますが、おおむねこんなところでしょう。しかし、この図は完全ではありません。宇宙船から実際にながめたときの姿に少しでも近づくように、今回は大きさと距離の2点について検討して見ましょう。

大きさ
もちろん上の図は実物大ではありません。紙面に収まるように縮小しています。けれど縮尺の度合が星によってバラバラで、一定ではありません。そこで、「大きさの比」を数字をもとに、きっちりと考えてみましょう。それぞれの星の直径を数字で表すと次のようになります。

  太陽水星金星地球火星 木星 土星天王星海王星冥王星
直径(km)1,390,0004,84012,20012,7406,780140,000120,00050,00050,0006,000
まず、太陽がずばぬけて大きいのに気づくでしょう。惑星の中で最も大きい木星でさえ、太陽と比べるとたった10分の1しかない。地球などは100分の1にも満たない。仮に太陽の大きさをソフトボール(直径約10cm)くらいとすれば、木星はパチンコ玉(約1cm)くらい、地球はボールペンの玉(約1mm)くらいになるでしょう。 惑星どうしでは、木星と土星は似たようなものですなぁ。天王星と海王星が共に約5mmくらい、金星は地球と同じくらいで、水星や火星、冥王星などはその半分くらい、ということになりますなぁ。

距離
それから今度は距離(太陽から惑星までの)ですが、これまた上の図は縮小の度合が一定ではありません。やはりこの際ハッキリさせましょう。太陽からそれぞれの惑星までの平均距離を数字で表すと次のようになります。

 水星金星地球火星木星土星天王星海王星冥王星
太陽からの距離(万km)5,80010,80015,00022,80077,800142,700286,400449,500587,800
太陽の直径を1として42781081605601000200032004200
水星〜火星、いわゆる地球型惑星は、比較的太陽の近くを回っていますが、火星より外側の惑星、いわゆる木星型惑星(冥王星は例外)は大きく離れたところを回っています。 さっきのソフトボールを使うと、ソフトボールを中心にして、10m離れたところをボールペンのボールが回っており、50m離れたところをパチンコ玉、そしてボールペンのボールの半分のが420m離れたところを回っていることになります。実に広大でスケールの小さな話ですなぁ。ソフトボールと420m先にあるボールペンのボールの半分のと「いったい何の関係があるのや」とぼやきたくなるくらいです。それでも惑星は太陽のまわりを回っているのです。

どうやらこんな結論になりそうです。「太陽と、それを中心にして回っている惑星の姿を一望のもとに見渡すのは不可能である。」惑星自身の大きさに対して、距離があまりに大きすぎるのです。少なくとも上の図のようには見えないでしょう。
けれど全く見えないというわけではありません。太陽系から数億キロメートル離れたところから見れば、強烈な光を放つ太陽と、かわいい光を放つ数個の惑星が光る点として見られるでしょう。(ただ、問題はバックの星と惑星との区別がつくかどうかということです。)