伊豆国際CCの夜(Part1)
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「日本人の心・醤油」


先日, 4年ぶりにゴルフなるものをした。
それも山間コースを1ラウンドとハーフもである。 これを専門用語で「ワンハン」と言うらしい。これはキャディーさんに聞いたので 間違いは無いはずである。2ラウンド回れば「ワンワン」とでも言うのだろうか?。

三日も過ぎたのに 体の動きは良くない、動く度にギギギッと関節が鳴っているので ある。耳を澄ませば聞こえそうである「歳だ,運動不足だ」と言われるかも知れない が,情けない事だが,事実であるので反論は無い。私はいさぎよいのである,違うな。

ゴルフ自体も 散々であった。4年前に初めてコースに出て,今回が二回目なのである から当然と言えば当然である。しかし友好を深める(?)リクリエーションとしては 非常に楽しく,有意義な一時を過ごさせていただいた。そして,同行のメンバーが 「東京見聞録」で「問題トリオ」の異名を持つ,あの3名なのであった。今回も何か 有るに決まっているのである。まず出発直後から同行の内海氏、村松氏、鈴木氏と話 に夢中になっていて高速のインターを通り過ぎてしまった。沼津で降りなければなら ないのに,気が付いた時には裾野のインターまで行ってしまったのであった。



勿論運転手は今回も私である。他の三名にハンドルを預けれるほど,私は神経が太く ないのである。降りる場所を通り過ぎてしまって偉そうな事は言えないが,みんなの 命は私が預かるのだ!,と言うか,せめて自分の命は自分が握っていたいのである。 そして今回も,この「問題トリオ」は高速に入るやいなや缶ビールの栓を開けていた。

当初の予定では途中で寿司でも買って、今宵宿泊予定のゴルフ場のロッジで,寿司と 鈴木氏が調達してきた生きたアワビで酒盛りをしようと,道中「回転寿司」が無いかと 探しながら伊豆へ向けて走っていたのだが、くるくる寿司が街道沿いに見つからず、 みんなで「くるくる・・無い,くるくる・・・あらへん」と、譫言のように言いながら 酒屋には寄ったが、とうとう目的地である「伊豆国際ゴルフコース」の手前まで走って 来てしまったのであった。回転寿司など,いつもならあちらこちらで見かけるのだが, 探している時に限って見つからないのである。伊豆へお越しの際は沼津インターを出て スグの回転寿司であらかじめ買っておく事をお勧めする。



寿司を断念した一行は,ゴルフ場手前になかなか雰囲気の良い「釜飯の店」を見つけた ので,腹ごしらえをしてからロッジへ行こうと言うことになり,店に入った。しかし, お値段を拝見していささか驚いてしまった。どれもこれも二千五百円以上なのである。 「うーむ・・た,高い」4名は顔を見合わせた。カレーライスもメニューに有り,これ なら千円位で有るのだが,なんで釜飯屋でカレーを食べなけれぱならないのだ?。 清水の舞台から(シミズではない)この際,飛び降りて,山菜釜飯2500円と冷酒を注文 して,その後の予定に話が弾んだ。高価な釜名は旨かったが懐は寂しくなった。

そして釜飯屋 を出るときに,ちゃんと領収書を貰うのを私は忘れなかった。 最近,急にこまめに領収書を貰うようになった私を見て、「なんや?きゅうに」と 内海氏はじめ,みんなが言った。「うん,経費で落とそうと思って」と,簡単に私は 言ったのだが,ぢつは去年,国税局査察部,もとい!税務署に入られたのである。 自分で仕事を始めて10年と言うもの,一度も税務署などとは縁が無かったのである。 白色申告であった私は,面倒な帳簿などしっかりとは付けておらず,当たり前 だが,税務署の方にコッテリ絞られたのである。そして,帳簿には記入してあったのだ が,領収書が見当たらない物は全て経費から外されガッポリと税金を取られてしまったの である。わたしは誤魔化そうなんて事は今まで一度たりともした事は無いのである。 しかし,証拠の領収書が無ければ何を言っても信じていただけないのであった。

それ以来 私は,仕事と直接関係の無いものでもシッカリ領収書を貰って,何とか経費で 落として「節税してやる!」と,心に決めたのであった。税務署に取られなくても良い お金を持って行かれれば、きっと彼等にも私の気持ちが分かるのだ。しかし,今まで 領収書を貰う習慣の無かった私には,消しゴム一つで領収書を貰うのは面倒くさいし, なぜか恥ずかしい気がするのである。だから釜飯屋では大いばりで「領収書ください」 と大きな声で言えたのである。まあ,威張る必要は無かったのだが。



ロッジに着いたのは 五時を回っていただろうか、五時と言えばもう暗い、我々はバック にアワビの箱を忍ばせてロッジに入り,フロントで麻雀の卓とパイを借りようとした。 「マージャンは、十時迄だかんね。」ムムッ,一癖ありそうなロッジの管理人である。 一度部屋に入り、荷物を置いてアワビが生きているか確認してから我々はクラブハウス の大浴場で一風呂浴びた。そしてロッジへ帰るとさっそく「アワビの刺身」に取りかか ったのである。

今回の「アワビ」 は,先日鈴木氏が家族で伊勢の民宿へ行った際に頼んでおいて,今回 クール宅急便で送って貰った上物である。発泡スチロールの箱を開くとアワビちゃんは ウニウニと殻の中でうごめいていらっしゃる。私はその中でも一番大きいアワビちゃん を予約した。運転手の特権である。鈴木氏が持って来た折りたたみのマナ板と調味料を バックから出して、小学校の給食でよく使う先割れスプーンでアワビちゃんを殻から取 り出して洗い,よく塩揉みしてから薄く切ってキャンプへ行ったときに余った紙の皿に フグ刺の要領で綺麗に盛り付ける。そして醤油を・・醤油を。「ねえ,醤油は?」。

いかん!醤油を忘れた!
。くるくる寿司に寄って寿司を買ってロッジへ来るつもりだっ たので、寿司を買う時に一緒に醤油と山葵を貰ってくるつもりだったのであったのだ。 それが,道中くるくる寿司が無かったので、貰う予定であった醤油も山葵も,買うのを すっかり忘れてしまっていたのである。

いかーん!
目の前に活きの良いアワビちゃんがウニウニしているのに,醤油が無くては 話にならんのだ!日本を代表する調味料「醤油」これはどんな食材にでも合うのである 私はトンカツも時々大根下ろしと醤油で頂く,これを「和洋折衷」と言うのである。 しかし,天ぷらにソースをかけるのは「わっ,よせっちゅうに!」と言うのである。 洒落を言っている場合では無いのであった。ここはとにかく醤油を調達せねばならん!
ならんと言ったら,「ならんのだぁー!」
 

 

伊豆国際CCの夜(Part2)「調達部隊出動!」へ,つづく。



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