【心の余裕】
AOWAOW Essay.


 

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【セブ島の子供達を学校へ】



  • File 29【心の余裕】



    学生時代、運動神経の鈍い者ばかりで毎年最下位の我がクラス。
    三年生のマラソン大会の時に先生が激を飛ばした。

    「いいか!お前ら、優勝しても途中で棄権しても
    腹一杯焼き肉を食わせてやるから、死ぬ気で走れよぉ!」。

    にわかに「やる気」を起こしたクラスのみんなは、マラソン大会の当日、一人の脱落者も出さずに一生懸命走って全員完走し、一人は個人で3位に入賞、団体では7クラス中2位の成績であった。

    大会が終わった次の日。
    みんなはワクワクして朝のホームルームの時に先生に言った。

    「先生!焼き肉、いつ食べに行くんですかぁ〜?」
    先生はニヤリとして言った。
    「お前らの中で優勝した者は居るかぁ〜?」
    「シ〜ン」
    「お前らの中で棄権した者は居るかぁ〜?」
    「シ〜ン」
    「俺は優勝しても棄権してもと言ったハズだ」
    「えぇぇぇぇぇぇぇぇえええ?!!」
    「わはは、冗談だ」
    「わぁぁぁぁぁぁ!!!」(大拍手)

    ちなみにこの先生の専門は「国語」であった。
    このあと「だから焼き肉の話しは冗談だ」などと言えば袋叩きだったであろうが(笑)。今思うと、うまいジョーク(詭弁かな?)だと感心する。その先生の授業は、いつも飽きさせない笑いが要所要所に仕込まれていて、本当に面白かった。私もこんなセンスの洒落でみんなを笑わせてみたいと、先生に教えて貰った当時のNHKラジオ番組、「日曜名作座」や「古典落語」を良く聞いたものである。忘れようにも思い出せない懐かしい思い出のジョークである。

    しかし現代の先生には、そんな洒落たジョークを勉強する心の余裕など無いのではないだろうか。実は私の叔父は現在、高校の校長なのである。話を聞くとかなり大変の様だ。学校とPTAの問題や教育委員会との関係、いじめや遅くまで練習しないと勝てない部活、一般教師の個人的な問題、塾、異性問題から覚醒剤まで。ノイローゼになってしまうのではないかと心配していたら、以前本当に倒れて救急車で運ばれてしまった。糖尿の発作だそうだが、その発作の原因はストレスなのだそうである。

    教師だけではない、サラリーマンだって自由業の人だって、かなりのストレスの中で生活している。便利になった分、余計に仕事の量も時間も増えてしまったり、無駄なつき合いが広がり、体力的にも無理が掛かっているのではないのだろうか。無理をさせておいて「無理をするな」と無理を言う上司が多い時代である。パソコンだって「便利だ便利だ」と言うが、本当に「必要なもの」であるのかは、眉に唾をつけ過ぎて、もう喉がカラカラなのである。

    先日、私の友人(悪友)であります杉森徹氏が、去年田辺製薬さんが調べた「パソコン利用による生活面でのマイナス」という調査結果を送ってくれました。見ると「う〜ん、確かにそうかも知れない」というものが結構ありましたので、その結果を以下に要約して書いておきます。

    【パソコン利用による生活面でのマイナス】

    1位「パソコンで時間を取られる様になってしまった」
    2位「かえって雑用が増えてしまった」
    3位「パソコン関係でお金が掛かる様になり支出が増えた」
    4位「ストレスが増えてイライラしやすくなった」
    5位「自信がなくなってきた」
    6位「趣味に費やす時間が減った」
    7位「夢中になって家族との会話が減った」
    8位「集中力が減った」
    9位「パソコンへの対応が遅れて周囲からの評価が下がった」
    10位「ヲタクの領域に近くなり話題が偏り、友達が減った」

    如何ですか。あなたもお感じになっている事がいくつか有るでしょう。 「パソコン利用によるプラス面」はカタログや雑誌に、それはもういっぱ〜い書いてありますので今回は省略します。しかしタバコみたいに「健康を損なうおそれがありますので、パソコンのやりすぎには注意しましょう」なんて書いてあったら面白いかもしれません。「バーチャル・フレンドversion8新発売(ただし現実の友達は減ります)」とか「ファイル一発!千里眼!(ただし視力が落ちます)」とか「オンラインでリアルタイムのバージョンアップ!究極の家計簿7(ただしversionアップ毎に家計を圧迫します)」などと正直に書いてあったら笑えますな。




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