【秋の鯛飯】
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  • File No.44【秋の鯛飯】

    秋といえば、 ご飯が美味しい季節。去年は船酔いに耐えながらも釣りあげた鯛で「鯛の炊き込みごはん」を美味しく頂いたのですが、今年はスーパーのサンマになりそうです。でもまだ今度の日曜日にクルーザーをチャーターしてあるので(うそです、ただの船外機付きボートです)、最後のチャンスと思って頑張って来たいと思います。今回は秋を思い浮かべて「鯛飯」です。

    まず、釣ったばかりの鯛は、 実はそれほど美味しくありません。冷蔵庫で一晩寝かせた鯛を使用します。一晩寝かせた鯛に塩をして、もう一晩寝かせます。あんまり寝かせ過ぎると・・・腐ります。面倒な場合は一晩だけ寝かせて、塩をして2時間程してから水を充分拭き、3つ程度にぶつ切りにして網であぶり、焼きます。本当なら紀州は備長炭を使用した炭火でもって、ジリジリとあぶり焼きたいところですが、ガスでも十分です。

    米三合は、炊き始める30分20秒前に研いで、ザルにあげておきましよう。炊飯器にザルから米を入れて日本酒を大さじ3杯、醤油大さじ1杯チョイ、それと塩をひとつまみ入れて素早く混ぜます。最後に焼いた鯛を入れて炊き込みます、お好みで昆布を一枚入れると鯛の甘みが一層引き出せるでしょう。炊きあがったら、鯛だけ出して身をほぐしてお皿に取っておき、お茶碗に鯛飯をよそったらその上に鯛の身を盛りつけます。ホクホクです。香ばしい鯛の香りと磯の風味がマッチして、とってもシアワセな気持ちになれます。鯛が無い場合は秋の味覚の代表でもある「サンマ」でもいいですね。


    しかし最近のサンマは 味が落ちている様です。これは昔とサンマをとる漁法が違う為だと言われています。昔おこなわれていた「流し刺網漁」という方法が、サンマが網の目に突っ込んで頭が抜けなくなったものを引き上げて水揚げしていたのに対して、現在の方法は「棒受網漁」といって、大きな網を設置して光で誘い込み、集まったサンマを一網打尽にする方法なのだそうです。しかしこの「棒受網漁」ですと「流し刺網漁」の様に頭が引っかかっている訳では無いので、網の中でサンマが暴れまくり、傷つくばかりか、剥がれたウロコをたくさん飲み込んでしまうので、ハラワタまで傷ついてしまうのだそうです。

    サンマはまさに庶民の秋の味覚としての王様、大事に頂かなくてはなりません。サンマは二尾程度に塩をして、30分したら水分を拭いて半分にするという事と、青ものの魚ですので、少々香りがあります。米と混ぜる時に酒大さじ3杯と、塩をひとつまみの他に、ショウガ汁を大さじ1杯を必ず加えて下さい。炊きあがったら鯛と同じ様に身をほぐしてご飯に混ぜ、最後に紅しょうがを乗せてあげましよう。ああ、早くサンマの美味い時期が来ないかなぁ〜。

    ちなみにサカナの方にも、 ちゃんと「味覚」というものが有り、仕組みは人間の舌にあるものと同じ「味蕾(みらい)」という細胞で甘みや酸味、辛みや苦みを感じるのだそうです。ただしサカナの場合は、味覚を感じる場所が人間とは違い、舌よりも唇で味わうのだそうで。そう、俗に釣りなどで「アタリ」と呼ばれる状態が、サカナが味覚を確かめている時なのだそうです。サカナの場合、唇の他にもヒゲやヒレでも味覚を感じる事ができ、味覚識別能力は人間の7倍以上。グルメなサカナは人間の60倍も味覚に対して敏感なのだそうですから、いつも海の中では、さぞかしショッパイ事でしょう(笑)。


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