入力の達人
(instructor)
AOWAOW Essay.


 

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【セブ島の子供達を学校へ】



  • File bU【入力の達人】(instructor)

    先日,仕事で使っている会計ソフトにデータの入力をするために私の自宅から80キロ 離れた○○システム本社から,入力の達人のお姉さまにご足労願って来ていただいた。 何故に遠い所から来て貰ってわざわざ入力して頂いたかと言うと,実は今年になって 仕事で使っている会計ソフトに通帳の収支,現金出納帳,領収書,その他の書類の入力 をしていなかったのである。あまり大きな声では言えないが今年は会計ソフトを立ち上 げた記憶が,まったく無いのであった。もはや膨れ上がった入力件数に恐れをなして, ○○システムのお姉さまに泣きついたのだ。まったく「後悔先に立たず」である。

    弁解するのは嫌いではないから書いてしまうが,私の使っている会計ソフトは3月の 確定申告が済むまで何故か入力出来ないのだ。もしかしたら入力する方法が有る のかもしれないが,その方法を私は知らない。私は「マニュアルを見ない人」なので ある。しかし私だけではないハズ、どんなソフトでもパッケージを開けると箱の 中身はほとんどマニュアル。あの分厚い存在感は読む者を近づけまいとしている かの様である。たいがい「インストールの仕方」と「クイックリファレンス」など ,手っ取り早く出来るページしか私は読まない、後は実践有るのみ。 タウンページを思わせるあのマニュアルの本を、隅から隅までしっかり読んでから 使う人がいたらお友達になりたいものである(聞けば何でも教えてくれるから)。 おっと、話しは帳簿でした。

    つまり,その年の帳簿の入力を始めようとすると,いきなり3ヶ月分の帳簿を入力しなければならないのだ。「うーん,面倒だから後で時間の余裕がある時にいっぺんに」と延ばし延ばししている内に,アッという間に過ぎてしまうので困ってしまう。 そう言えば私は中学の時にも剣道部の寒稽古がイヤで,一日休み,二日休み, ついには行きにくくなってやめてしまった前科が有ったのを 思い出した。あの時と心理的には同じ様な感じである。まあ私が剣道部へ入部した動機 自体が「ただ剣道部の女子が好きだったから」(勘違いされては困るが全員ではない, その中の一人である)と言う不純なものだったので仕方が無いが・・・。

    いかん!話が大幅にそれてしまった,そう" 帳簿 "である。 「うーん,今度の休みは帳簿の入力で終わってしまうかも・・・」と,憂鬱な気持ちで いた最中に幸運にも「ちゃんと入力してますかぁー?」と○○システムの入力の達人 のお姉さまから電話が掛かってきたのである。 素直な私は,すかさず「助けて下さーい」と懇願したのは言うまでもない。 「どのくらい未入力なんですか?」「ぜんぜん」「ぜんぜんって?」「まったく」 「まったく?」「ソフトの帳簿の日付は1月1日になっていると思います」「・・・」 「・・・どうでしょう個人的にアルバイトで来て貰うわけにはいかないでしょうか?」 「・・・」「・・・一ヶ月分2000円として,10ヶ月ですから,2万円では?」

    「行きましょ〜う」「あっ,交通費込みで来て頂けます?」 「・・いいでしょ〜う」と言うわけで,お姉さまの「無言」に自ら墓穴を 掘ってしまった感が無きにしもあらず の私ではあるが,これでひとまず安心である。

    約束の当日,入力の達人のお姉さまは時間どうりにシステム会社の車で いらっしゃった。 「あれ?今日はお仕事ですか?」「はい,帳簿の入力を済ませたら他に行く販売店が 有りますので」「でも,凄い量ですよ10ヶ月分ですから」「どの位有りますか?」 「これです・・」と,今まで溜め込んでいた通帳6冊と現金出納帳2冊と領収書の山を 差し出した。入力の達人のお姉さまはペラペラとそれぞれをめくり「大丈夫でしょう」 と,アッサリと言ったのである。そして本当に全てを5時間で正確に入力してしまった のだ。私が去年入力した時には,確か一ヶ月分を打ち込むのに一生懸命にやって3時間 はかかったのである。さすが10分1000文字以上の「一級」の腕である。私などは,打ち 込む時に画面を見ている余裕など無いのに,入力の達人のお姉さまは,その逆でキーボ ードなど全く見ていないのである。まるでピアノでも弾いている様に滑らかな指使い。 ちなみに親指シフトも,カナ入力さえも出来るそうである。・・・凄い!凄すぎる。

    中国で二つのそろばんを左右の手でもって別々の計算をする人をテレビで見た事が有る が,それに匹敵する凄さなのであった,しかもライブだ。私はお茶を出しながら, 「そっ,そんなにムキになって打ち込まなくても」と,口から出そうになってしまう くらい凄いのであった。入力が終わると「他には有りませんか?」と申される程の余裕。 「いえいえ,それで全部でございます」と言うと 「それでは他の営業所へ行きますので」と, ニッコリ笑ってバイト代の2万円の内,税込み10300円を○○システムの領収書で 【コンピューター・インスト代】として切ってくれたのである。そして「これからの 分は,ちゃんとご自分で入力してくださいねぇ〜」と言い残して颯爽(さっそう) と去っていったのである。うーん,カッコイイ。入力の達人のお姉さまの後ろ姿を 見送りながら,女性をカッコイイと思ったのはスキーのインストラクターのお姉さま 以来である事に気付いた私であった。

    これで3月の確定申告迄自分で入力すれば良いのであるが、多分ぎりぎりまで私はさぼるであろう。毎年の事だが「確定深刻」になってしまう迄どうしても出来ない のである。自分でもイカンと思うのだが「喉元過ぎれば何とやら」 水は低い方へ低い方へと流れるが如く,人間も楽な方へ楽な方へと行ってしまうので ある。私は数字が苦手なのだ。しかしイカン!人間これではイカンのだぁー!と, ・・・思う「だけ」なのであった。

    ◆もしこれをお読みになった税務署の方がおられましたら、これはもう三年も前の お話でして、今は帳簿をつけて頂くようにバイトを雇って真面目に帳簿をつけて おりますのでご心配には及びません。 バイトの人のバイト代もしっかりバイトの人に経費として帳簿に入力して頂いて おります。結局、自分では入力出来ませんでした「水は低い方へ低い方へと流れるが如く・・・」。あうあう〜。



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