【食文化】
AOWAOW column.


 

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  • File No.66【食文化】

    昨日、近くのラーメン屋さんに飲みに行きましたら、帰りの支払いの時になってサイフに千円しか入っていない事実が判明し、「明日、必ず持って来ますので・・・」と、ツケをお願いして帰って来てしまいました。ああ恥ずかしい。それで今日、さっそくお金を払いに行ったのですが、丁度良い「塩」が入ったのでと、少し「塩」を戴いてしまいました。じつはこのラーメン屋さん、「塩」にこだわり、「自然塩」を使っているのであります。それも静岡県ではもう数少ない、清水の塩田で作る自然塩だけを使うので、「塩」が無くなると店を閉めてしまうのです。この、ほどよく「にがり」を含んだ自然塩は、シットリと湿り気を帯び、なめてみると、まろやかで、ほのかな甘みも感じられる繊細な味わい。普通の食堂なのですが、この「清水の自然塩」で作ったオヤジの塩ラーメンは絶品なのです。

    日本人は、かなり「塩」にうるさい民族だそうで、それは米を主食にしてきた農耕民族であることに深く関係しているそうです。米にはカリウムが比較的多く含まれていて、米を主食としていると血液中のカリウム濃度が増えてくるのだそうです。そしてこのカリウム濃度の上昇を抑える働きをするのがナトリウム。つまり「塩」というわけで、民族的にも日本人にとって「塩」とは、かなり重要なものなのでございます。そう、甘いものにも塩を入れて「隠し味」としたり、日頃使う言葉にも「いい塩梅」とか「塩が浸む」「青菜に塩」「敵に塩を送る」なんてぇことを申します。(ん?落語か?)

    さて、海外へ行くと日本と海外の食の違いを実感いたします。もう「塩」なんてレベルじゃございません。何を食べても、どうも平坦で、一つの味に固定されている様な感じなのですね。そう、今ひとつ「旨み」に欠けている気がするのです。外国、とくに欧米ではシチューの様な煮込み料理が多く、今回の旅行でも2回程食べました「○○チャモロ」というのも、シチュー系の煮込み料理でしたが、やはり狩猟民族である欧米食系の煮込み料理のようで、基本的(一般的に)に、肉などの動物性タンパク質や脂肪をグツグツと煮込んで各種アミノ酸を溶け出させて、素材からある程度の旨みを引き出すだけなのでしょう。それで農耕民族である日本人にとっては物足りない旨みになってしまうのですね。まあ、国々によって色々な食文化があり、それぞれの好みも違います、インドなどでは味と香りに加えて手でもって食べますから、指から伝わる触感(食感)までも味の内といいますし、鼻の利くフランスなどでは香り高いスパイスの方が重要だといいますね。なので、味覚において日本が飛び抜けて優れていると言うわけではありません。日本は飛び抜けて優れていると、「思っているだけ」です。中華には負けますが。(笑)


    日本の様な農耕民族は肉を主食としなかった為、昔から「味」を作る(つける)事に長けている様です。「ダシ」などが良い例で、日本食、特に和食を極めるのはダシを極める事と言っても良いくらいだそうですね。私達が毎日のように味わう味噌汁なども、具などは二の次、やはりダシの善し悪しで味が決まります、よく「おっ、このダシ、いいねぇ〜」と、出汁を誉めるじゃないですか。いちいちダシをとっていられない為に「味の素」などのグルタミン酸のナトリウム塩(昆布のだし汁の味を形成するアミノ酸)が重宝がられるのもこの為でしょう。今回いただいた米も、種類が違いインディカ米や、以前米不足の時に食べたので記憶に新しいタイ米の様なボソボソしたタイプのものでした。しかし海外での「ご飯」は、主食としてではなく「野菜」としての位置づけの国が多い様なので、仕方がないのかもしれません。日本の様な「ご飯」は、「ネバネバしていて、くどい」というのであります、現にサラダバーのコーナーに「ご飯」を置いているレストランが目立ちました。

    海外の米の不味さは、種類が違う事もありますが、米を炊くときにつかう水(水質)自体が、かなり違う為でもある様です。海外はアルカリ性の強い硬水が多く、日本のお米を炊いたとしても美味しく炊くことが出来ないそうなのです。ちなみに今回ホテルの湯沸かし器に水道の水を入れて沸かしてみましたが、沸いた後、暫くしてポットのフタを開けてみると、水面に何やら結晶が浮かんでいました。これでは炊くどころか飲む気にもならないですね。日本でも水道水には法律で水道の蛇口を捻った時に、塩素(カルキ)が含まれていなければならず、その残留塩素の量も一定以上はなければならないので、日本の水道水は美味しいと言えども、都会の水道水は特にこの残留塩素が多くてカルキ臭いですね。米を炊く時には充分カルキ抜きした水を使った方が良いでしょう。それだけでも美味しい銀シャリが炊けそうです。(銀シャリについては「台風と寿司」にちょこっとあります)

    最近の海外、特に観光地には、必ずと言って良いほど日本食のお店があります。寿司や天ぷら、ラーメンからカツ丼などなど。しかし海外で日本食を食べても「こりゃウマイ!」という味はなかなか巡り会いませんし、私の周りではあまり聞きません。やはり食材の質や、水の質の違いなのでしょうか。それとも作る側の民族性による味覚の違いかもしれません。肉なども現地の一般の方が食べる肉は硬くて肉汁も少ないのですが、向こうの人にしてみたら「日本の肉は歯ごたえが無くて、くどい」そうです。現地の人からみれば、自分は「マズイ」と感じる料理を、わざわざ作らなければならないのですから、日本人好みの味にする方も大変でしょうね。ちなみに現地の日本人向けのレストランでは、それ用に飼育した肉を使ったり、輸入したものを使用しているそうです。そこまでしてくれているのに、こんなこと書いて、どうもすいませ〜ん。

     


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