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ホンダCRM250ARのページです。This is Honda CRM250AR.
last updated on 2001/01/22
 2000年6月,仕事のストレスで切れて,突発的にバイクを買い替えたくなりました。不満は,DRどうもパワーないなー,一生懸命回さないといけない感じだなー,ということでした。10年たってヘタってきていたのか,それともサビサビのチェーンが悪かったのか? で,ちょうどその頃DR-Z400Sが出たんですね。シート高895mm,乾燥重量129kgと大きめだし,価格も62万8000円とけっこうするし,車検もあるし,とはいうものの,久々に欲しいと思わせるバイクだったのです。

 でも,本当にDR-Z400Sがいいのかなー,とWebなどで情報収集をしているうちに,「2ストロークがもう終わり」という話を聞きました。だったら一度は乗っておきたいなー,という気もしまして,いろいろ探していると,よしともくんちのWebサイトで,CRM250ARがあったんです。2ストで乗るならCRM250ARが一番いーなー,と思っていました。6速ある,タンデムできる(「乗せる人がいないだろ」),前フォークが倒立である,という理由です。で,翌日よしともくんちに行って,そこにあったCRM250ARに一目惚れ。買うことにしました。

 スペックをDR-Z400Sと比べてみましょう。CRMはシート高895mm,乾燥重量114kg。最高出力は40ps(29kW),最大トルクは4.0kg-m(39N・m)で,DR-Z400Sと同じ数値です。でも,最高出力が出る回転数はCRMが8000rpm,DR-Z400Sが7500rpm。パワーの出方はDR-Z400Sの方がなめらかでしょうね。価格は,私のCRMはオーストラリア仕様の逆輸入車なので(ウィンカーが丸い点が日本仕様と異なります),登録費用が追加でかかりました。でも,本体価格は47万9000円とカタログ通りだったので,DR-Z400Sよりは,やっぱり安かったのです(その時点では,ですね)。

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 これは,納車された日のCRMです。左サイドカバーがないのに気付かれるかもしれません。それは,最初にシートに付いているタンデム用のベルトを外すためにシートを外そうとして,サイドカバーを外したら,そのまま付けられなくなってしまったという状態だからです。クラブグリーンサムのキャリアを付けたんですが,そのために,車載工具ではそれをはずせない,サイドカバーもうまく入らない,という状況だったのです。この時点でノーマルと異なる点は,キャリアのほか,ハンドル(おまけでもらったMAGNUM),とACERBISのレバーガード(今度は金属入り)です。リアフェンダー末尾には,すでに交通安全のステッカーが貼られています(笑)。

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 CRMをこの角度から見たときの美しさは,どのバイクにも負けないものだと思います。合理的で無駄がない,それがこんなに美しいとは。タメイキ。とはいっても,この数時間後には河原でドロドロになっていました(苦笑)。

 このバイクは,買うときから「いいパーツあるんですよー」ということで,無限パーツを買ったりして,ちょこちょこ替えました。まず,1000km走って慣らしが終わったところで,フロントのスプロケットを14Tから13Tに変えて,のろのろ走れるようにしました。3000km走ったところでタイヤ交換,無限のシリンダー・ヘッド,ECU(Engine Control Unit),チャンバー,サイレンサー,キャプ・セッティング・キットを装着です。エア・フィルターもTwinAirにしました。ここからけっこうセッティングに苦しみました。

 CRMのノーマルのメインジェット(MJ)は148番です。最初に付けたMJは165番だったのですが,これで標高2000m,夏,豪雨,という条件に行ったら,もう全然回りません。最後はエアスクリューはずして空気入れて走りました。そのあと,150番にして155番にして(吉友さんにお願いしたんですけどね),これでけっこういけるかなー,と走っていたら,2001年1月7日の朝に高速を走っていて,寒さのあまり焼き付いてしまいました。

 私はツーリングの待ち合わせで午前9時に西湘バイパスの西湘パーキング・エリアで待ち合わせをしていました。7時頃家を出て,用賀ICから東名高速へ。寒いなー(零下1度くらい),なんかあまり速度出ないけど(CRMはローギアードにしていたにもかかわらず,好調時には140km/hくらいは出ました),寒いからいっかー,と走っていました。前にいた車が遅かったので,車が切れるのを見計らって3車線あるうちの中央に出て,追い抜きをしようとアクセルを開けた瞬間,「パツッ」っというか,なんというか,まあ音がしてエンジン停止,後輪はフルロックして滑り始めました。「焼き付いた」というのはわかったんですが,だからどうすればいいか,ってのはわからず,とにかく体勢を崩さないようにして停止。なんとかバイクから降りて路肩へ移動して停車,非常電話へ歩いていって…,レッカー車呼んで厚木IC行って,なんとその後はよしともさんが迎えにきてくれました。大感謝。で,10時半過ぎにはもう帰宅。

 翌日には「寒い」→「ガスが薄い」という経緯でシリンダー内が熱くなりすぎ,ピストンが溶けてシリンダーに傷が入ってしまったことがわかりました。修理の見積もりは7万4000円。悔やんでしまいます。速度が出ないなー,とは思っていたのだから,そこで「薄いのかな」と思っていれば,打つ手はいくつかあったはずなのです。エアスクリュー閉めるとか,速度落とすとか,スターター引いて走るとか,ほんと,エンジンに気遣ってあげることができなかった私が愚かでした。

 でも,夏には高地を走るので,メインジェット(MJ)155番,プラグ9番でも濃かったのに,冬はそれではダメだということです。じゃあ,夏と冬でMJを変えなければならないのでしょうか。どの季節で変えればいいんでしょう。MJ155でプラグを7〜9に変えるくらいでオールラウンドになるかなーと思っていたので,やっぱりちょっとショックでした。これでツーリングをするのは難しいのかなー,と思ってしまったのです。

 対策は三つ考えられます。

・MJ交換をマメにする。
・ノーマルに戻す。CRMには無限のECU,シリンダーヘッド,チャンバー,サイレンサーが付いていました。ノーマルに戻せば,いくらなんでもこれほど環境に影響されることはないはずです。
・4サイクルに乗り換える。

 で,私が選択したのは最後の方法です。CRM250ARは購入して壊すまで7か月,走行距離は約8500kmでした。2万kmくらいは乗ってあげたかったんだけど,ごめんね。

 CRM250AR,ちゃんと動けば,素晴らしいバイクです。ノーマル時の印象は「軽い,ロケットみたい」。軽くふけ上がって,坂をロケットのように上がっていきます。ハンドルのセッティングがよいせいか,曲がるのも楽でした。DRのときはダートは面白くてもそこまでの道乗りは苦痛でしかなかったのに,CRMではワインディングも面白い,ほんとはまりました。

 無限キットを付けると,そこに「太さ,荒々しさ」が加わります。軽薄な印象は影をひそめ,パワフルになりました。ファイナルをローギアードにしているにもかかわらず,140km/hくらいは出ましたもん。

 ただ,気圧,温度,湿度に手ひどく影響を受けるというのは,ノーマルでもそうだったし,無限仕様にしてからはなおのこと。高度計を気にして「プラグ7番にした方がいいかなあ」などと言っているのは,ちょっときついものがありました。ツーリング用のバイクは海抜0mから海抜2000mまで走るし,温度や天候もいろいろです。高速道路に入ったら全開で1時間なんてこともあります。「2ストで最高のツーリングバイクを!」ってのは,やっぱりちょっと無理があったかなー,です。もちろん,ノーマルならなんとかなったんでしょうけど,一度無限キットの味を覚えてしまうと,ノーマルに戻すのも,なんかしのびなかったんです。

 あと,自分の能力では2ストは乗りこなせないなー,ということも思いました。コーナーを曲がるとき,私はアクセルを戻してゆっくり進入し,バイクが立ってからアクセルを開けます。4ストだと下に力がけっこうあるのでこれでもなんとかなるのですが,2ストだと失速しかねないことがあるんですね。うまい人はコーナーで半クラッチ使って回転数をキープするという話ですが,私にはそれは難しい。こう考えると,やっぱり私には4ストの方がいいみたいです。CRMの燃費は20km/lくらいあったので,この点ではそんなに不満はありませんでした。でも,排気でバイクや服が汚れるのは,うーん,あまり嬉しくなかったですね。

 こういうことは,2ストに乗ってみないとわからなかったし,パーツも変えてみないとわからなかったでしょう。CRMもいろんなことを教えてくれました。このバイクは中古車として売られるはずなので,次のオーナーさんにも存分に楽しんで欲しいと思います。


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©Hideo Harada 1999-2001