Time-stamp: "Dec 28 2003"

PRIME for Emacs

Emacs で使用する日本語入力方式の一つ PRIME について説明します。
PRIME for Emacs on RedHatLinux7.3 with putty on Windows98SE

POBox は辞書が弱い?

PC で動作する、Emacs 版 POBox (ピーオーボックス) を普段ずっと使用しています。 会社でも家でも文章は全部これで書いています。 ですが、PC 用 POBox はどうも辞書が弱いです。知らない言葉がわりとある感じです。 ケータイに載ってる POBox は辞書が賢くていいんですけど、その辞書はオープンソースではないですし。

辞書が強い? PRIME

Emacs 版 POBox のクライアントも作ったかたが新しく、 PRIME (プライム) という日本語入力ソフトウェアを作成しました。 これは POBox と同じ予測変換入力方式で、実際の使用感覚も Emacs版 POBox と全然同じです。 ですが、辞書がよくなったなという感じを受けます。

PRIME の変換辞書

PRIME の変換辞書は日本語文法のデータを持つようになりました。 たとえば品詞 (名詞とか動詞)・動詞の活用形などのデータを単語ごとに もっています。

POBox は単語にそのようなデータはまったく持っていませんでした。 そのため、細かく区切って入力する必要がありました。 PRIME は POBox ほどは細かく区切らなくてもよくなりました。

しかし「たんご」と入力すると「他んご」という候補が出てくるなど、 ちょっと変な感じの日本語も出てきます。学習させていくうちに でなくなるのかな? POBox ではこういう変な日本語はでませんでした。

使い勝手について

変換結果の学習も POBox と比べて納得がいきます。 Emacs 版 POBox は例えば「bann」を「版」と何度変換させても、 なぜか「版」が変換候補の最初にきてくれないんです。いつも 変換候補の 3 番目くらいにいて前に出てきてくれない。 どうも変換候補の並べ方にくせがありました。 PRIME はそういう不可解さがあまりない。

POBox にあった曖昧検索もできなくなっていて、よいです。 曖昧検索とは、「skd」と入力して「速度」と変換されるとか 「sokugo」と1文字まちがえて入力しても「速度」という候補を出してくれるものです。 これ、PC で使ってるときは あっても邪魔なだけの機能でした。

POBox とちがってサーバを別途立てる必要がないのは便利ですね。 私は Emacs 一つだけしか起動しないので、サーバは特に必要ないですね。 サーバが必要なのは複数の接続があるときだけなので。

POBox のサーバはほんとにたまーに落ちることもありまして、 (3週間にいっぺんくらい?) そんなときは POBoxサーバだけでなく Emacs も再起動する必要がありました。 PRIME ではそういうこともないかな? まだ使用してから日が浅いので わからないですが。

動作速度は POBox よりは少し遅くなっています。 品詞の処理などが増えているので しょうがないですね。 VIA C3 533MHz (Pentium2 400MHz と同等の速度らしい) という遅めの CPU でも もたつくというほどでもないです。

RPM 作成方法

Red Hat Linux 7.x で使用している RPM ファイル作成方法について述べておきます。

私の環境については [prime-dev: 46] PRIME 0.6.5 使用報告 に書いてあります。sary 関連以外のソフトウェアは自分で RPM を作成してインストールしました。Emacs, ruby はあらかじめインストールしておく必要があります。

Red Hat Linux 9, Fedora Core 1 の人は yatsu さんのページから RPM を取得したほうがよいです。

ダウンロード

SPEC ファイルをまとめたものを置いておきます。

prime065spec-20031228.tar.bz2 (2003-12-28, 3KB)

インストール手順

これを展開するとカレントディレクトリに prime-download.sh というファイルも用意されます。
それを実行すると必要ファイルをダウンロードします。RPM 作成に必要なディレクトリも自動的に作成します。

$ sh prime-download.sh

それではまず sary 関連の RPM をインストールします。

$ sudo rpm -Uvh rpmdir/RPMS/i386/*sary*rpm

あとは spec ファイルから RPM を作成してはインストール、の繰り返しです。

$ rpmbuild -ba rpmdir/SPECS/suikyo.spec
$ sudo rpm -Uvh rpmdir/RPMS/noarch/suikyo*rpm

$ rpmbuild -ba rpmdir/SPECS/mell.spec
$ sudo rpm -Uvh rpmdir/RPMS/noarch/mell*rpm

$ rpmbuild -ba rpmdir/SPECS/prime.spec
$ sudo rpm -Uvh rpmdir/RPMS/i386/prime*rpm

$ rpmbuild -ba rpmdir/SPECS/prime-el.spec
$ rpmbuild -ba rpmdir/SPECS/prime-dict.spec
$ sudo rpm -Uvh rpmdir/RPMS/noarch/prime*rpm

これでインストール作業は終わりです。

最後に PRIME for EmacsEmacs への設定 のとおりに設定して、Emacs を再起動すれば使用できます。


itouh