擬態(mimicry)

 虫たちの周りは、危険がいっぱいあります。鳥やカエル、肉食の虫などにいつも命をねらわれています。これらの殺し屋たちから逃れ、子孫を残していくために、虫たちは、様々な方法で身を守ります。
 虫たちから敵から隠れるには、敵の目を欺く方法、木の枝や、葉っぱなどにそっくりな姿をする方法があります。
 擬態には大別して2通りあります。1つは周りにある物に似せて自分を見つけにくくする方法です。このような虫には人間も見分けられないことがよくあります。このような虫には葉や木に化ける物が多く見られます。ほかにも花などに化ける物もいます。
 例えば、シャクトリムシは木の枝にそっくりです。頭や胸にある足は、ちょうど木の芽のようです。長い時間休んでいるときは、口から糸を出して頭を支えていますが。体の角度はちょうど小枝のでる角度と同じになります。シャクトリムシは木の枝に似せてじっととまり、近くに来た小鳥にも気付かれないようにします。
 また、ガマダラチョウ、オオムラサキ、アゲハ、ツマキチョウのさなぎも、枝からでた葉やとげと、形や色がよく似ています。
 もう1つは周りにいる危険な虫などに化ける方法です。このたぐいにはハチに似ている物が多いです。子供もアブやスズメガなどをよくハチと間違えることがあります。このようにすればハチが来たと思って安易に近づくことができなくなります。
 ほかにも臭いにおいを出す虫に似た形をする虫も多く見られます。
 また、敵に襲われそうになったら、鳥の目玉のような羽を見せたり、いかにも毒々しい色をして敵を脅かしたりする虫もあります。このような方法も擬態の一種です。
 このように、体の色や形をほかの物に似せて目立たないようにしたり、逆に目立つようにして身を守ることを擬態といいます。これは、昆虫に限らず動物でも擬態をする物もあります。
 図がなかったらわかりにくいですね。

<擬態をする虫>
@周りの物に化ける虫
枯れ葉に化ける…カレハバッタ・コノハチョウ・カレハガ
木の葉に化ける…コノハギス・コノハムシ・コノハチョウ・オオエグリバ
木の皮に化ける…キノカワガ
折れた枝に化ける…ツマキシャチホコ
枝に化ける…ナナフシ・シャクトリムシ
花に化ける…ハナカマキリ

A危険な虫に化ける虫
ハチに化ける…コスカシバ・ベッコウバエ・キイロコウカアブ・ハナアブ
アサギマダラ(悪臭を発する)に化ける…カバシタアゲハ・キボシアゲハ・クビワチョウ
カバマダラに化ける…メスアカムラサキ

【参考文献】
古川晴男監修 昆虫の事典 東京堂出版 1970
深谷昌次監修 学研の図鑑・昆虫 学習研究社 1970
桔梗 泉編集 ふしぎ!なぜ?大図鑑 主婦と生活社 1990

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