美穂ちゃん、大丈夫?

 私の愛する「美穂の旅」という実験というかサービスがある。かの社員一人あたり利益についてはマイクロソフトを凌駕する(こともある、のか恒常的にそうなのかは知らないが)テグレッド技術開発が提供している仮想旅行である。
 エージェント技術の実験かと思うとそうでもないらしく、よく分からないのだが、面白いことは面白い。何といっても名前がいい。中山美穂のファンであり、菅野美穂のファンであり、中井美穂のファンであり、ついでに美保純と美穂由紀を並べることのできる私としてはついつい惹かれてしまう。

 ひょっとして、これは社員旅行を「美穂の旅の取材」と称して必要経費に認めさせるための税金対策ではないかという気がしなくもないが、その絡みでいろいろと企画があり、おみやげゲット大作戦には私も応募している。
 どういうわけかオークションというのもやっているらしい。まあ売りに出されているものが

  1. 松井さんという面白い人をオフ会に呼ぶ権利
  2. 松井さんという面白い人を買い物につき合わせる権利
  3. 「美穂の旅」のストーリーに登場する権利
 というものなので、もらえるとしても欲しいとは思わないようなものだ。しかし興味あふれるのはついでにやっているクイズである。この3つのものの競り落とし合計額を当てよう!一番目、二番目に近い人はグアム旅行にペアでご招待!
 私は子どもが小さいので行けない。いつも世話になっている両親に行ってもらえればいいなあ、でも行かないだろうなあ。残念だなあ。
 さらに気がついた。オークションに出品されている商品の値段が、クイズの賞品の値段に比べて安すぎる。ということは、例えば、3つを3万円で競り落として、クイズには3万円で応募すれば多分、確実に正解するであろう(ちなみにクイズの方は締め切られました)。ツアーの内容は今ひとつよく分からないがグアムにペアで3万円なら相当安いんじゃないだろうか。
 あー、悔しい、この手なら先日のハードディスク増設の値段でグアムにゆけるぞ。
 正直な私は、この問題点についてテグレットにメールした。2営業日経つが返事がない。
 ええい、さびしいからホームページのネタにしてしまえ。(^^;

 まあ、同様の問題が生じても今までであれば、落札者と正解者をトレースしてこのような市場操作が行われていたということをある程度把握することもできたであろう。ところが、ネットの匿名性においては、この種の操作が意図的なものであったとしても(以下略、にたような議論は聞き飽きただろうしね)。

 また、参加者をネットで募ることのリスクはこういうところにもある。多くの多様な人間があつまるということは、普通は気がつかない問題点に気がついてしまう奴が出てくるであろうということだ。オープンソース運動の観点からは、逆にこれがプログラムの品質を高めるものとして強みになりはするが、クイズなどでは制御できない可能性もある。カルトQをネットを使ってオープン参加とする勇気、ありますか?
(そういえば、カルトQプロレス編で「オリンピックに出た日本人レスラーは」という問題が出た。長州力はどうなるんだろう。国籍は韓国だったような気がしたんだが。)

 こんなことを考えていると私がどうしても横やりを入れたかったクイズ番組を思い出した。もう15年くらい前だが「IQクイズ」だった。  突っ込みを入れたかったクイズの内容は、4人が席順についての証言を行ったが、これらが全て嘘だった場合の4人の席順をあてろというもの。これだけなら問題はない。問題は同じクイズに「机の上に放置されていた凶器の銃の位置と照らし合わせて犯人を求めろ」というのが、蛇足ながらついていたこと。そして何よりも4人の名前がJohn、Paul、Ringo、Georgeだったこと。
 解答者として集められたIQが高いらしい人間はPaulを犯人とした。ポールの座っていたところに銃が置いてあったからだ。やや右前に、銃の取っ手を手前に向けて。  どういうことか分かりますね。このクイズは、ポールが左利きだった場合を考えていないのだ。やや右前に銃が置かれていたということは右手で銃を発射したことを想定しているはずだ。左利きの人間が右手で銃を撃つか?
 いや、これだけならば納得してあげよう。さらなる問題は、銃の握りが手前を向いていたことである。やってみれば分かるが右手で銃を持ち、撃ち、置いた場合、握りは普通向こう側を向く。銃を離すとき手を銃の下から抜くなんて器用なことはやらないわなあ。
 ところがこちらを向いているということは、すなわち「ポールの右隣の人間が、左手で銃を撃ち、左手で机に置いた」ことを示している。
 そして、極めてよくできたことにポールの右に座っていたのはリンゴということになっていた。もちろんビートルズのリンゴは左利きである。
 かくしてテレビ局の集めた知能指数の高いらしい天才たちは一人残らずこれを見落としたということが判明する。おまえらホントに頭いいのか?
 そしてクイズを作った人。解答者がIQの高い天才ということで、問題の検討はいつも以上に慎重に行ったはずであるが、それでも見落としたようだ。

 視聴者参加型TVくらいの枠であればまだなんとかなるだろうが、双方向メディアでクイズなどをするときは、こういった考慮されなかった点が予期せぬ議論を巻き起こす可能性が高い。特にビートルズなんぞを素材にもってくると確実にこうなる。彼らを殺人犯に仕立てるとは何事だ!私のようなファンが知能を振り絞って噛みつきますよ。これで被害者がEpsteinとかいうのなら、そういえばそんな噂も流れたんだよな、なかなか出題者もこっているな、と納得しますが。

 確かにネットはコストが安くなったけど、下手にメディアミックスするとこんな風に事前検討がとてつもなく大変になるよということの例でありました。検討のコストは膨大になります。そして、めんどくさいからと無視してしまうと、ネット上で騒ぐ人間が多分出てくるのです。(私なんかおとなしいものです。)

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