1日1句

 ウチのガキの夏休みの宿題。またもや1日1つ俳句を作れ、である。卒業のときに、どこが間違っているか先生に教えてあげたくてたまらなくなってきた。
 というわけで「くだらない宿題・時間の無駄」と割り切れたので作ってやることにした。その間お前はパパの出した課題をやっていろ。
「ひと夏で 国語の偏差値 10上がる」から。

 しかし今年は「季語を入れろ」という指定が具体的にあったらしい。というわけで、去年のように「目が覚めた 8月3日は 晴れだなあ」というような確かに季節は分かるが、あんまりだ、という俳句は作れない。さらにウチのガキは先生に
「じゃあ西瓜は旧暦では秋の季語ですから使っちゃ駄目なんですね」
などと、なかなかのツッコミを入れたので、宿題をサボるわけには行かなくなった。

 まあこれはこれで難しくない。「季語事典」を調べて、片っ端から使えそうな季語をあてはめる。

土用波 竜馬と歩く 桂浜
却下された。大河ドラマのファンなのでいいと思ったが、そんなところには行ったことがないからだそうだ。
清流や 岩魚と跳ねる 河原かな
却下された。情景を説明しろと言われてもやりようがないらしい。「本当は釣堀でニジマスを釣ったのですが、それでは季語にならないからと適当に変えました」と言い切れとけしかけたがそこまで潔くはないらしい。
夏期講習 午後の日差しは 窓の外
まあ、実体験っぽいのはこれかな。夏期講習を受けながら、太陽の下、外で遊びたいと思ったり、暑いから室内がいいやと思ったり、なかなか複雑な小学生の心境を詠める。
踏み潰す 道を横切る ゴキブリめ!
「ゴキブリ」が夏の季語だと初めて知った。丁度夜中に外に出ると道をゴキブリが歩いていたので、俳句を作るネタになっていただいた。合掌。
 この調子で40首。あと2つくらい作れば全日埋まるのだが、まあそれくらいは作れ。「夏祭り」「盆踊り」の季語は空けてやっている。
 というより「飽きた」のだ。要するに「夏」というと「暑い」しか自分の中でイメージがないのが分かってしまったわけだ。暑い歌を連続で40首詠むとそれだけで暑くてたまらん。

 が「暑い」ことの効用も思いついた。
 この季節、たとえ相手が赤の他人であっても「暑いですねえ」と話しかければ心のそこから共感した返事が返ってくる。日本に生まれてよかったな、と少しだけ思う。
 一方、冬に「寒いですね」と言っても共感してくれるとは限らない。まあ、ミンクのコートに身を包んだお方に話しかける機会はまずないので気にする必要はないのだが。

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