メキシコかぜを笑い飛ばす

 これで国内の死者を押さえられたら、与党の高得点。日本、危機管理能力あるじゃないかということで、舛添要一首相を旗に衆議院選挙で自民、大勝利!と思ったら舛添厚労相は参議院議員。そうはうまく行かないらしい。まあ応援演説で顔を見る機会はあるだろう。

 何しろ日本人は微粒子から身を守るノウハウは世界一。特に気にしなくても花粉症に備えてマスクを備蓄してある家庭が多い。地震に備えて食糧備蓄や水備蓄もOK。これに徹底水際対策が続けばH1N1の弱毒性で恐れることはない。
 ここで東急ハンズにゆくと、N95マスクがamazonより安い!うわー、損した。。。とかなりの余裕である。ゴーグルとか消毒液とかで定額給付金相当額払っていたのに気がつき、新型インフルエンザ対策、お得な定額給付金セットというのがあれば結構受けたんではないかな。

 時期がGWに重なったのも良かった。企業のうちには対策の遅れているところもあったと思うが、そういう場合でも、GWを返上すればインフルエンザ対策を練ることができる。ご家族をなだめるのは大変だったろうが、そこは割り切ってもらうしかない。システムのハード屋は定期保守とか移行とかでGWとか正月とかまるまる休めたためしはないのだ。

 というわけで「アングロ=サクソン以外、人から人に感染することはまれ」「弱毒性」「感染力も弱い」「タミフルが効く」ということであれば、そろそろ手綱を弱めてもいいのではないかと思う。でないと。
 国民の注意がそっちに向いている間に「景気対策」と称して「基金」を乱造して利権を拡大させる。
ということが行われているかもしれないからだ。

 そろそろ国内で感染者が発生してくれないと、国民は飽きてしまう。政治家も困るんじゃなかろうか。水際作戦は完璧だった、でも横田基地の米軍はどうしようもなかった。なかなかいいところをついていたと感心していたのだが。

 1つだけ不満なのは、最初にメキシコかぜを日本に持ち込んだ人は、とても丁寧に扱われ、設備の整った病院で治療され、免疫をきちんと得るだろうということだ。それに対してこの人にうつされた人間は、後になるほど劣悪な環境で治療され/あるいはほったらかしにされてしまうであろう。頭では分かっているが、これでは持ち込み得ではないか。
 そんなわけで機内検疫でぶーたれていた人が人ごみの中にいたら、不満を込めて
「えー、あんたメキシコから帰ってきて、熱あるのに質問表にうそ書いてきたの!」と大きく声をかけてあげたくなる。リンチという制度がある国なら大変なことになるだろう。だから機内検疫、素直に従わなくちゃ駄目よ。

 それにしても気になるのが、合衆国がメキシコ国境で水際対策を行わなかったことだ。これを理解しようとしてアメリカ人の発想の問題点がなんとなく見えてきた。要するに「見えないものは科学的でないから存在しない」と本気で信じているようなのだ。

 極力彼らの発想を正当化して考えてみよう。このケースならまだ容易だ。
 合衆国とメキシコの国境は、今まで密入国者が大量に通過している。つまり封鎖できない国境線なのだ。だから新型インフルエンザが生まれたからといって封鎖しても無意味である。したがって特に今回封鎖するということはない。

 次のケースは随分疑問である。
 生後20ヶ月以内の牛は狂牛病が検出できたためしがない。従って狂牛病検査は無意味であるから輸出する。
 100%でないものは存在しない、と考えているとしか思えない。普通は、狂牛病検査をした21ヶ月以上の牛に輸出を限定する、と発想するだろう。

 更に進んで、わからなくすれば存在しないことになる、というパターンが生まれた。
 高リスクのローンも、切り刻んで証券化すればリスクが追えなくなる。従ってリスクは存在しない。かくしてリスクプレミアムとして受け取った金利は利益として役員賞与に回してよい。
 こういう発想が出来るんだから、分からないものは存在しない、それどころか分からなくすれば存在しなくなる、と彼らは信じているに違いない。

 というわけで、彼らに聞きたいこと。「神は見えないんだから存在しないよね。」
 合衆国の存在論はアングロ=サクソンの倫理観を覆すことができるだろうか。
 倫理観などとっくに忘れたはずの民族なんだが、なぜか神の存在だけは譲れないらしい。

 そりゃそうだよね、神の御名において沢山罪を犯してきたからね。免罪符がなくなるのは耐えられないよね。
「神の御名において、よりよく爆発し、多くの日本人を殺すよう」と祝福しておけば原爆すら神の御心になる。

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