世界不況の真実

 宇宙人のテクノロジーは素晴らしく、数百光年離れた知的生命体の思念派を受信し、その星の状況を知ることが出来るそうだ。
 そんなわけで、わが地球人類の状況も宇宙人にウォッチされている。
 当然宇宙人だからワープ航法と思われる超高速移動を実用化しており、そんなわけで思念派を受信し、問題があれば地球に干渉する、ということをやっている。ほっといてくれと言いたいが、地球でも自分ところは先進国だ、だからグローバルスタンダードだ、と派兵までしている国があるんだから人のことは言えない。
 ただし、自分が進んでいるという慢心は、常識的な判断ミスをもたらすのは宇宙人でも同じらしい。これは地球でこういうおせっかいをやっている国と変わらない。ただし宇宙人がやるとスケールが大きくなる。つまり、超高速移動が可能になったので思念波が光速でしか届かないということを忘れてしまっているようなのだ。
 かくして宇宙人は数百年前の問題を是正するために地球にやってくることになる。

 さて、宇宙人は人道的な立場から「他の人間が住んでいるところに勝手にやってきて、武器で脅して従わせたり、資源を根こそぎ持ってゆくのはよくない」と植民地支配の是正をもとめたそうな。欧米列強はこれの対応に大わらわ。たしかに悪いことやってきたのでいいわけが大変。ちゃんと是正していますを報告したり、宇宙人を接待したり大変らしい。宇宙人もあらかた分かってくれ、世界遺産観光などで機嫌を直してくれるのだが、やはり先方も予算を取って地球にやってきた身。なんらかの成果を持ち帰らなくてはならない。
 そこで槍玉に上がったのがイギリスとフランス。一部アメリカ。ロシアや中国は「革命が起こって悪い奴らは一掃されました」と説明がつくが、特にイギリスは同じ「エリザベス女王」というのが悪かった。フランスもナポレオン時代と同じ「共和制」を標榜している。アメリカは昔から同じである。何らかの対応が必要である。
 かくして宇宙人接待のためにカネを使いまくり、これが金融危機、ひいては百年に一度の不況の一因となったらしい。いやあ国内でも問題が起こってるんでその辺情状酌量願いますよ、の意味もあるのだろう。

 なお、思念波を受信するテクノロジー、およそ2000年前に作られた。そのころ実地確認のために地球にやってきた技術者は、ローマ帝国の横暴に怒り狂ったのだろう、研究員という立場を踏み越えて当時の人々に干渉し、いろいろと教えたようだ。そして星に帰るときローマ帝国成敗を約束して「しかり、私はすぐに来る」と言い残したそうだ。
 ところが(当時は超高速移動が完全ではなかったらしい)、星に帰って軍を率いて地球に戻ろうとして唖然。自分の弟子たちがローマ帝国を乗っ取ったのみならず、自分の名を大義名分に他の国をしたい放題侵略し、文化遺産を破壊しまくっていた。はずかしくて地球に戻ってこれなくなり、先ほどの約束は反故となった。
 なお、この人、研究員としての立場を踏み越え、地球を混乱させた罰として、十字架にかけられて処刑されたらしい。。。彼の名は・・・言わなくても分かるよね。

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