歴史教科書採択の真実

 記載に客観性を欠くとされて問題となった扶桑社の「新しい歴史教科書」、保守王国といわれる県で採用されるかどうかが全国的に注目を浴びた。採用したのは「中教出版」。ここで扶桑社を採用しない理由として報道されたのは「覚えることが多いから。」
 このとき教育委員長の考えていたことが瞬時に想像できた。全マスコミが決して反論できないよう、マスコミ自身に証拠固めさせる。計算づくで述べたに違いない。

 「覚えることが多いから」その教科書を採択しない。理由がこれだけであるはずがない。間違いなく他のもっともな理由も言ったはずなのだ。とてももっともらしい口調で。「覚えることが多い」は最後かな?しかし理由の一つとして組み込めば、マスコミはそれをメインの理由として報道するに違いない。
 するとどうなるか。「覚えることが多いなど、妥当な理由として納得できない」と言ってくる人がいたときを考えよう。そのとき教育委員長はこう答えればよい。
「記者会見に参加した人はメモを持っていた。録音機もあったかもしれない。そして言われたことを伝えるのが職業という人たちだ。その人たちでさえいくつか述べた理由の中から『覚えることが多い』としか記事にできなかったのだ。覚えるということがどれくらい大変なことかを新聞記者自身が実証したわけだ。これが記者でない普通の中高生であれば大きな負担になるだろう。私は長年教壇に立って、そのことをよく知っている。」
 だれもぐうの音も出ないだろう。

 そこまで考えてのことかぁ?多くの人は不審に思うかもしれない。しかし私はよく 分かっている。私の父親はそれくらい直観的に考え付いて、実際にやってしまう人である。

享年83歳。

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