第6話 〔 無 敵 な 貴 方 〕
Muteki na Anata


 

 

しばし、私は彼の殺気でしゃべれずにいた。

「…どういう、つもり、ですか」

その声は、正直このまま死ぬぐらいならと思い絞り出した声だった。
それほど、彼の放つものは冷やかだった…

「君さー、なんのためにうち来たの?」

「…え…」

答につまってしまう。私が聞きたいぐらいだ。

「差が激しいんだよね、なんか。試合ったときはそうでもないのに、普段はスキだらけ」

「…たぶん…平和な国に、いたので…」
「ふ〜ん。その平和な国の方が、どうしてウチに?」

 

 

「…なり、ゆき?」

「…はは! 成り行き、か〜」

そう笑うと、彼は剣を降ろした。

 

シュッ、カチン、と刀が仕舞われた瞬間、私はがくりと座り込んだ。
いや正確に言うと、突然座り込みそうになったところを、彼が支えてくれ、優しく座り込んだのだが…

「大丈夫かい!?」
「…はい…とは言えませんが…、たぶん…」

私の手と足は震えていた。
心底怖かった、そんな感情がどっと襲ってきた。

「その、怖がらせるつもりは、まぁ少ししかなかったんだげど…」
「いえ…。…こんなじゃ、入隊なんて迷惑ですよね」
「いや…」
「いいんです…」

自分の浅はかさに沈む私の腕を、彼は優しく捕らえた。

「いいや、迷惑なことはないさ。
君の実力を認めてるのは本当だし、早く死ぬかどうかなんてことは俺が決められることじゃない」

「…はぁ」

じゃあいったいなぜ?

そう視線を向けると、彼はにやっと笑った。

 

 

「君が無防備に綺麗だから」

 

 

「…は?」

「なんていうのかな〜襲ってくれと言わんばかり、というか」
「…変態の集まりなんですか、ここわ」
「冷たい言葉も魅惑的だよ」
「え゛…っ」
そっと、頬に手を当てられる。
「隊士なんていわずに、僕の小姓にならないか」

 

…ゴスッ

 

「失礼します!!」


「…くんは手痛いなぁ…」

崩れ落ちる彼を見向きもせず、私は部屋をでた。

 

 

「(なんて失礼な人だ…!!)」

 

彼の腹にめり込ませた拳をふるふるさせながら、ドスドスと廊下を歩いていった。
触れられた頬の熱が、煩わしかった。

 

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や、やっと絡んだー!ヽ(●´ε`●)ノ
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