あの突然ですがよくお客様やいろんな方に収入の心配をしていただくんですよ僕、初対面の方でもしばらく経ってから年収などを聞いてこられるのです僕の。

　ここ何年か他人様とそのようにお約束的な応酬が続きましたので、最近すっかり僕は聞かれなくても自分から自分の年収などを吐露してしまう露出狂的な身体になってしまいました。いえーい、裸のあたしを見て見て見て見て。

　だって、お話ししてると相手が考えている、この人どうやってお金を稼いでいるんだろう？　オーラがものすごい固まりとなって増大し始め、それに耐えられなくなってしまうのです僕は。だからこのメールマガジンの登録者様が増えるたびにノートパソコンの液晶画面の向こうにそのオーラを感じるのです。そんなものを感じる僕はかなり電波的で危険かとも思いますけど。

　と言うわけでもう御存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、僕の昨年度の年収は五万九百八円です。五万円が九州芸術祭の賞金、九百八円がこのメールマガジンの広告収入です。めずらしく初めて藝道収入だけの年でした。

　もちろん、いくら僕でも五万九百八円で命を繋ぐことは出来ません。去年は一昨年後半に電話営業の賃労働をして稼いだお金で生活しておりました。もしこのメールマガジンの読者様に、岡山県鴨島郡金光町と愛媛県小松島市在住の方がいらっしゃったらその節はお世話になりました。一年半以上前、お宅に電話したのは僕です。

　で、今年は三月いっぱいまで妄想まみれの賃労働をこなし、一年分のお金を貯めたので慎ましやかに仕事してさえいれば今年中は収入がなくても大丈夫なのです。

　ちなみに白石昇が一年間無収入で藝道精進できる金額の単位をパカヌンピーと言う単位で読んでおります。レートは変動しますが今現在一バカヌンピーは、高くても四十四万円です。

　そう言った状況なので当然、いろいろな方に質問されるたびに僕は自分の収入とその在り方についていろいろ考えねばならないのです。このまま藝道収入だけで生計を立てられる日々が一体僕に訪れるのでしょうか、と。

　賞金などは毎年必ず入手できるといった種類の木戸銭ではないため、安定した収入としてはメールマガジンの広告費だけです。僕は自分のメールマガジンによる収入がこれからどうなってゆくか、登録者数と広告費について統計を取り、今後を予測してみました。創刊してもう二年経ち、二百八十回以上も配信しているのですから、統計を取るだけのデータはたくさんあります。
 
 
 

　その結果、恐るべき事実が発覚したのです。

　この、藝道日記、は、皆様のご愛顧を得て何とか地道に発行部数を伸ばしております。この伸び率なのですが、発行初年度の平成十一年、月当たり二十五％の割合でお客様が増えております。

　まあこれは発行したてだからある程度割合が高いのは致し方なく、予測のサンプルから外すとして、問題は去年平成十二年と今年平成十三年です。平成十二年は月当たり七パーセントの伸び、平成十三年も七月一日現在月当たり平均七パーセントの伸びを見せているのです。

　月当たり七パーセント、と言う伸び率なのですが、年当たりに直すと七パーセントを十二乗するのですから二百十五パーセントです。つまりこの藝道日記はこれまでの統計によると今後、お客様の数が年に二・一五倍になってゆくと言うことなのです。

　去年と同じように二日に一度ほど発行していっていれば、当然発行者数の増加に伴い広告収入も増えるはずです、と言うわけでこのままいくと僕は、
 
 
 

　四十歳で年収一千万円以上。
 
 
 

　四十四歳で小泉内閣メールマガジンの登録者数を超え、
 
 
 

　五十歳で年収一億円。
 
 
 

　と言うことなってしまうのです。

　うへ、うへ、うへへへへ。

　すげえオレってこのままいくとメルマガ成金じゃん。

　が、ふと我に返っていくら何でもそんなことはないだろう、と言うことに気づき、もう一度この二年間の統計を取って計算しましたが、何度計算しても表計算ソフトの上ではこういう風に素晴らしく現実離れした巨額の数字が表示されてしまうのです。

　もしかしてこの予測計算、もっと根本的な部分で間違っているのかもしれないので、もし間違いに気づかれた方がいらっしゃいましたら、メールでこっそり教えて下さると有り難いです。