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 平成十三年十二月九日(日)

 俺様の翻訳言語藝作品市場出荷の件なのですが、見事に二週間以上放置プレイの憂き目に遭っております。連絡がありません。俺様大困惑です。

 やっぱりあの二度の電話は手の込んだ嫌がらせなのではないかという懸念も生じて参りました故、明日にでも再度郵便テロ的手段を講じたいと思っております。俺様としては真意はたださねばなりませんと思っております。

 さて今でこそ好きこのんで外人やっている俺様ではありますが、これでも何年か前までは一応日本人でありました。いや今でも日本国籍しか有していないのでありますが。

 しかしそのわりには俺様は著しく日本食に執着しない日本人なのです。おそらくこの国にいる日本国籍の動物の中では四本の指にはいるくらい日本食に執着していないと思います。

 最近日本食ブームがウザいことこの上ない泰国籍の方々よりも執着がないかもしれません。味噌や日本米摂取しなくても全然平気です。だって泰米美味いもん。

 こんな充足した泰米生活を日々送っている俺様としては、何年か前の米不足の際、日本の米右翼の洗脳的扇動と商社の陰謀の和風コンビネーションを喰らって不味い泰米を不味い精神状態でしか食ったことがない日本の皆様が可哀想に思えて仕方がありません。

 まあ、どうしても食いたくない、食わない方が幸せ、って方は俺様がどうこう申し上げても仕方がないのですが。

 でも、そんな俺様の仕事場兼住居こと要塞には絶えず日本食材が完備されています。当然購入しているのではなく、このメールマガジンを読んで下さっているお客様が、お土産として持って来たり送って来たりしてくださるのです。

 だいたい一年間に五名様くらいの方々にそんな風に食料を恵んで貰っております。お客様全体の比率からすると、実に五パーセントほどなのですが、もしこのメールマガジンがライバルである小泉内閣並の規模であったとしたら一日に七十回以上日本食材が届くことになります。素晴らしく高い比率だと認識し、残さず美味しくいただいております。

 仮定自体は妄想的ではありますが、俺様としてはメールマガジンを読んで下さるだけでも有り難いのに、そのようなことまでしていただき誠に有り難くかたじけないと感謝しきりなのです。

 食材の内容はおもに調味料とか乾物系、インスタント食品などが主なのでありますが、時折、なんとなくお客様の茶目っ気を感じさせる食材などが混ざっていたり致します。








 高野豆腐。

 そうです高野豆腐です。高野山の僧侶達が精進料理食材として保存できるように開発したことからその名が付いたと言われているかどうかは知りませんが豆腐を凍らせて乾燥させたアレです。

 この高野豆腐は俺様に対してどういったメッセージを含んでいる存在なのでしょう。有り難いことは有り難いのですが、存在自体がなんとなく挑戦的なような気がします。少なくともご飯にかけたりお湯に溶かしたり加熱したり泰食材に融合させたりしてお気軽にいただけるような代物ではありません。

 とりあえずパッケージの裏には『筑前煮の作り方』と言うメッセージらしきものが記されていたのでそれに従って昨日、筑前煮というものを試みてみました。




 鶏肉といんげんと高野豆腐の砂糖醤油生姜煮が出来あがりました。

 いつも市場で見かけてアレは牛蒡だとばかり思っていた根茎系の野菜が、生姜系統の性質を持つものだったという衝撃の事実が一番大きな敗因です。

 里芋でもあれば少しはそれらしくなったのかもしれませんが、こちらの里芋は里芋と言うより規模も種類もタロイモ系なので少量だけ購入する、と言うことがままならないのです。




 本当に世の中は俺様が思うようにはならないように出来てやがります。

 でもこれはこれで甘い砂糖醤油がしみこんだ高野豆腐の懐かしい食感を味わいながら美味しくいただくことが出来たから、それはそれで俺様としては素晴らしく幸せなのですが。

 さて、高野豆腐を片付けたところで次は長ひじきと切り干し大根、団子の粉ときな粉を少しずつ片付けてゆかねばなりません。何とか工夫して有り難くいただこうと思っております。この近所で日本食材が容易に入手できない以上、工夫しなければならないのです。

 最近、手が届かない高い場所にバナナを吊された台と棒だけが置いてある部屋に放置されたチンパンジーの気持ちが分かるような気がします。

 なんとなくある種の意図を持ったお客様に生態を観察されているような気がするのです。

 あくまで気のせいかもしれませんが。


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