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ノートパソコンと扇風機

2003年5月3日 23:21:50

 夏のノートパソコンには扇風機が必需品である、というお話。

 今年の春、ノートパソコンのメモリを、元の256MBから512MBに増強したら、頻繁に止まるようになってしまった。どうやら熱によるLSIの停止のようである。

● パソコンの熱対策の思い出

 その昔、IBMがDOS/V機を売り出した頃、やっとの思いでお金を手に入れ、買った装置がIBM PS/V 2405Wであった。IBM DOS J5.0/V、Windows 3.0が動作していた。CPUは486SX-20MHz、メモリは4MBである。純正キーボードと純正の15インチモニタが魅力のパソコンで、当時は「夢のIBM純正互換機」と評判だったものである。その後、メモリとHDを増設し、Windowsは3.1となり、非常に快適になったのを覚えている。ちなみに、CD-ROMドライブと音源ボードがDOS/V機で標準装備となるのは、その少し後の時代である。
 さて、CPUの486SX-20MHzは当時でも非力であった(486DX-33MHzが主流)。面白くなかったのは、486の機番なのに浮動小数点機構が付いていないことである。そこで487SX2ODP-40MHzというの(機番はうろ覚え)を購入した。これを追加すると、ボード上の元の486SXは休止してしまうそうである。
 速度は上がったのだが、使い始めてしばらくすると停止してしまうようになった。487SXはMOSであるから、熱暴走はせず、単に止まってしまうみたいで、電源を切ってまたONすれば動き出す。もうはっきりとは覚えていないが、CPUには放熱板すら付いていなかったと思う。
 PS/Vの熱設計は良好と思えたので、局所の対策でOKと考え、秋葉原にCPUファンを探しに行った。当時はCPUファンはあったものの、パソコン雑誌には背の高いのばかりが載っていたと思う。PS/V 2405は高さが低く、1.5cmほどの余裕しかない。秋葉原中を探し回ったと思う。探せばあるもので、当時の水準では薄型のCPUファンを購入し付けてみた。
 結果はexcellentであった。私には価値が分からなかったが、パソコンに詳しい友人が結果に非常に驚いていたのを思い出す。

● ノートパソコンの熱対策の思い出

 もう5年ほども前になるが、とある有名メーカの極上のノートパソコンを買った先輩が、やはり熱によると思われる停止に悩まされていた。解決法は、扇風機の風を斜め上から当てる、という方法であった。冗談かと思ったのだが、類似した話として、自作パソコンのハードディスクに風を当てないと停止してしまう、という話もあり、そうかもしれないな、とは思っていた。

 パソコンでなく、通常の電子計算機では熱対策は昔から大問題であった。利用者は少しでも高速のCPUを求め、メーカはそれに応えるために、当代のぎりぎりの設計を行う。水冷技術は米国の得意で、国産メーカは空冷技術を誇っていた。今でもサーバのファンは結構うるさい。
 十年ほど前にはミニコンピュータという機械があり、オフィス環境で動作するので手軽な電子計算機であったが、それでも大型計算機の空調の効いた部屋に入れると抜群に信頼性が向上する、とのことであった。
 つまり、電子計算機に熱問題は付いて回る問題であり、今やパソコンも熱問題に直面している、ということである。ノートパソコンにファンが付いているのを最初に見たときは、衝撃的だったのを思い出す。

● 我が家のノートパソコンの熱対策

 で、今この文章を打っているノートパソコン、この春に主記憶を512MBに増設したら、機嫌が悪くなってしまったのである、つまり、しばらく動作させると停止してしまい、キーボードが効かなくなるので電源を落とす以外に方法がなくなってしまう。
 当初、原因が分からなかったので、パフォーマンスを落としそうなソフトを外すなどしていた。
 そのうち、ノートパソコンの裏面を触ってみたら、増設メモリの蓋が異常に熱くなっているのを発見した。どうやら、ここが直接の原因のようである。
 面白いことに、職場で使うとしばらくは動作するのである。これは机がスチール製のため、熱が放散しやすいからのようである。家では机が木製であるので、熱がこもってしまうようである。

 実は昨年の夏、Webでの記事につられて冷却ゲルを使用したノートパソコン専用吸熱マットを購入していた。これを使用すると、少しましになるようである。印刷されている解説は意味不明なのだが、要は熱を急速に拡散させる機能があるようだ。
 そこで、まず、冷却剤を凍らせて使う保冷パックを吸熱マットの下に置いてみた。結果は良好であって、しばらくこれで行こうかとも思ったのだが、1時間ほどで融けてしまって効果が無くなる。

 ここで扇風機を思い出し、吸熱マットの下に隙間をつくり、風を通すことにした。これも良好であった。しかし、これなら吸熱マットは不要ではないかと考え、隙間のみにしてみた。

 隙間の作り方だが、日曜大工店で金属製の棚に使われる、金属の網でできた棚の一枚を購入し、机の上に置いている。こうすると、約3cmの隙間が机との間にでき、安定性も抜群である。
 扇風機は通常のお座敷扇で、風力は微風でよい。
 増設メモリの付近は結構熱くなっているが、とにかく何時間も動作している。

● 落ち

 と、とことんまで工夫したのだが、このノートパソコン、キーボードを傾けるための脚が付いているのを思い出した。展開すると背中側が2cmほど浮く。この隙間に風を送ることも可能のようだ。
 どうやら、パフォーマンスを低下させる間抜けな過剰パッチはかなりの問題であったらしく、今のところ脚を立てるだけで快適動作する。増設メモリの蓋は触れないほど高温になっているのだが…。
 まだ真夏ではないので、気温が上がれば扇風機の出番もあるだろう。