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プログラマブル関数電卓 EL-5250

2005年5月3日 19:46:21

● 通常のプログラム関数電卓では最高峰のEL-5250

 私が過去・現在を問わず関数電卓の最高傑作の一つと考えている、シャープのEL-5060を手に入れてから一ヶ月ほどしか経っていないのだが、別ルートで同社のプログラマブル関数電卓、EL-5250を手に入れた。
 EL-5250は、EL-5120の後継機である。EL-5120はコンパクトな外見にもかかわらず、超高機能で楽しいプログラム関数電卓なのだが、操作性に若干癖があった。EL-5250は操作性が全面的に見直しされたらしく、ぐっと洗練されている。グラフ機能等のない、普通のプログラム関数電卓では、おそらく最高峰だと思う。
 このEL-5250はEL-5060と外見は非常に似ている。しかし、使い勝手は微妙に違うので、購入目的は異なると考えられる。ところがどうしたことか、現在(2005年5月)のところ情報が極端に少ない。そこで、それでなくても情報の少ない関数電卓の紹介がてら、EL-5250の特徴を述べてみたいと思う。

● 関数電卓とは

 家電量販店等の電卓コーナーを見ると、たいてい一種類か二種類、キーの数が多くて、その中に「sin」や「log」などの初等関数のキーが付いているのがある。それが関数電卓である。
 sin, cos, tanは三角関数で、三角形の角度から長さを計算するときに使う。たとえば、日曜大工の本に角度が書いてあるとき、分度器があれば良いが、代わりに関数電卓があれば、普通の物差しで角度を作ることができ、その方が正確である。逆三角関数というのもあり、こちらは三角形の辺の長さから角度が計算できる。
 log, lnは対数関数である。端数のある桁数と考えればよく、地震のマグニチュードや音の大きさのデシベルなど、身近に応用されることもある。
 そんなことから、関数電卓の利用者は圧倒的に技術者が多いと思う。学生時代に買わされることもあるようだ。

● なぜ関数電卓を使うのか

 パソコンの計算機言語や表計算ソフトを使えば、sin, cosなどあっと言う間に計算できる。それなのに、なぜわざわざ機能的には劣る関数電卓を使うのか、その理由を考えてみると…、

▼ 通常の電卓としても使える

 さすがに技術者といっても、日常的には、足し算、引き算、掛け算、割り算の四則演算が圧倒的に多い。

  0.9÷100÷(23+35.5)×1000

 などを計算するために、わざわざパソコンを開いてソフトを起動するのは煩わしい。関数電卓と言っても、通常の計算は通常の電卓と同じだから、パソコンよりもずっとお手軽、ということになる。

▼ 短い関数計算も、やはり速い

  π2 とか log103 とか 12√2

 の値が突然、知りたいと思ったとき、たまたまパソコンの使用中なら良いが、そうでないときは、関数電卓の方が知りたい値がすぐに分かる。sinキーとかlogキーとかがあるのだから速いのは当然。電子関係の仕事などをしていると、三角関数などの初等関数の出番は、意外に多い。

▼ 持っていると何となく安心

 つまり、お守りである。計算というのは人間固有の能力であるが、小学生時代を思い出せば分かるように、たいへんつらい仕事でもある。関数電卓は、人間のみが行いうる神聖な能力を分かち合える相棒、というわけだ。懐中電灯や腕時計やケータイ(電話)と同レベルである。
 かくいう私も、関数電卓をいつも持ち歩いて、時には、上記のような思いつきを解消している。

● どの関数電卓を買えばよいのか

 これは目的による、としか言いようがない。
 単に三角関数表の代わりなら、安いのでも十分。逆に、絶対にグラフ機能が欲しい、ということになれば、最高クラスの電卓になる。あるいは、ポケットコンピュータが視野に入るかもしれない。

 私の見解では、関数電卓も電卓の一種なのだから、扱いやすい範囲で、できるだけコンパクトなものが良い。
 関数電卓にはお約束の大きさがある。名作、カシオfx-992sの大きさは、縦144mm、横73mm、厚さ9mmである。本当は1,000円程度の小型関数電卓の大きさが望ましいと思うのだが、機能を少しでも拡張すると、ボタン等の配置のためか、その程度の大きさになるようだ。

 前回紹介したEL-5060は、表示が大きい割には標準的な大きさを保っている。数式は12桁の5x7ドットマトリクス、数字は10桁+2桁の7セグメント表示と、決して欲張っていないので、コントラストが抜群であり、見やすい。この理由だけでも、さらに上位機種の購入をためらわせるほどである。
 EL-5250は縦横の大きさもキー数もEL-5060と同じだが、わずかに分厚くなるので薄型には見えない。数式も結果の数値も3行14桁の5x7ドットマトリクス表示になる(指数は2桁の7セグメント表示)。コントラストは良好と思うが、EL-5060よりは甘くなる。この機種は、どうしてもプログラムを楽しみたい人向けである。

 私のお勧めはEL-5060クラスの電卓だが、EL-5060の定価は7,035円と安いものではない。EL-5250はより高機能なため、定価も8,610円となる。私が最初に手に入れたのは高価だったが、能力は今の1,000円程度の関数電卓なので、安くても必ず役立つ、とは確約できる。

● シャープ EL-5250

 EL-5250は、並外れた素質を持つプログラム関数電卓EL-5120の後続機である。EL-5120の当時は、3行14桁の5x5ドットマトリクス表示は新鮮だった。機能もよく、感動ものだった。あえて難点を言うと、ドットマトリクスが粗いのと、キーの配置が良くなかった。EL-5250は機能的にはEL-5120の改良の範囲なのだが、EL-5120の欠点と思えた個所は、ことごとく改善されている。もちろん、EL-5120の楽しい部分は引き継いでいる。

 EL-5250で目立つのは、3行14桁の5x7ドットマトリクス表示である。キーを操作すると、数式がそのまま表示され、計算後に数字を変えたり追加して再計算することができる。
 今では珍しくなくなったが、√やsinやlogは数字の前に打ち、2(2乗)や-1(逆数)は数字の後に打つ、いわゆる、数式通り、の入力である。

 数式やプログラムのためのメモリが、EL-5120の1211バイトから4096バイトと、3倍以上になった。数式呼び出しはいわゆるオブジェクト単位で、EL-5060のように文字列が呼び出されるのとは異なる。EL-5060にある行列とリスト機能は無い。
 プログラム機能ではメモリの増強がうれしい。EL-5060と異なり、ちゃんと分岐も繰り返しも定文字列表示も可能だ。しかし、EL-5060で採用された配列はない。簡単なゲームは作成可能だが、配列がないので、画竜点睛を欠く感じだ。外部との通信機能は無い。

● 四則計算 (+−×÷)

 関数電卓の四則、つまり、足し算、引き算、掛け算、割り算は、もちろん通常の電卓と同じである。ただし、注意点が2点ある。

 一つ目として、演算子に優先順がある。掛け算と割り算が、足し算引き算よりも先に計算される。

  3+4×5= 23.
  (3+4)×5= 35.

 と、優先順を変更するには、かっこを打たないといけない。ほとんどの関数電卓で掛け算優先は採用されている。
 もう一つは、浮動小数点表示である。

  1234×1234×1234×1234= 2.318785836×1012

 という表示になる(EL-5250の表示)。計算機言語や表計算ソフトでは、2.31879E12などと表示される。工学や化学分野では極端に大きな数や小さな数を扱うので、有効数字(仮数)と桁数(指数)が重要なことが多い。小さい数は、4.312601814×10-13などとなる。指数を指定するには[Exp]キーを打つ。
 日常、あまり目にしない数字の表現だが、電子や機械の工学分野では盛んに出てくる。また、計算機にとっても極めて重要な数値表現であり、最近のパソコンのCPUには必ず浮動小数点数(ただし二進数)の高速演算機構が内蔵されている。

 最初とまどうものに、マイナス符号がある。負記号(単項演算子)と減算記号(二項演算子)は異なるのだ。キートップの負記号の表示は(-)で、ディスプレイの表示も負記号と減算記号とは異なる。本稿では混乱を生じ得る場合を除いて、負記号には単に-(半角)を用いる。
 演算の指令は「ENTER」キーで行う。通常の電卓の「=」に相当する。EL-5250には「=」もあり、等号として使用する。

● 初等関数

 四則および、n乗、n乗根、三角関数、逆三角関数、指数関数、対数関数と、その組み合わせを合わせて、初等関数と呼ぶ。お約束として、初等関数がこなせる電卓を、関数電卓と呼ぶ。双曲線関数は指数関数と四則で、逆双曲線関数は対数関数と平方根等で計算できるので、たいてい専用ボタン[hyp]が付いている。
 双曲線関数は三角関数と強い関連があり、虚数まで考えると三角関数と統合される。聞いたことが無い方も多いだろうが、双曲線正接関数(tanh)はロジスティック関数と呼ばれる関数と同等であり、相境界のモデルや統計学の分析で使われるので、知らず知らずのうちに、お世話になっている関数である。
 ちなみに、三角関数には円関数という呼び方もある。楕円関数はかなり特殊な関数である。

  1.232= 1.5129 二乗
  2.343= 14.345607 三乗
  3.45-1= 0.289855072 逆数(1/3.45)
  2^10= 1024 累乗、指数関数。210。^のキートップの表示は[yx]
  √2= 1.414213562 平方根
  3√10= 2.15443469 立方根
  12x√2= 1.059463094 累乗根。12√2
  π= 3.141592654 円周率(円周/直径)

  sin30= 0.5 正弦関数
  cos45= 0.707106781 余弦関数
  tan60= 1.732050808 正接関数
  sin-11= 90 逆正弦関数。sin-1は[2ndF][sin]と打つ
  cos-1.5= 60 逆余弦関数
  tan-15= 78.69006753 = 78°41°24.24° 逆正接関数。[2ndF][⇔DEG]とすると度分秒の表示になる

 角度の単位には、度、ラジアン、gradがある。上記の計算は度単位である。度以外では、当然計算結果が異なる。度分秒の入力には[D°M′S]キーを使う。度とラジアンなどの切り替えには[2ndF][SET UP][0][0]などとするか、[2ndF][DRG〉]で順次切り替える。

  log2= 0.301029995 logはlog10のこと。常用対数
  ln3= 1.098612289 lnはlogeのこと。eは自然対数の底(2.718281828)
  10^1.5= 31.6227766 10が底の指数関数。10^は[2ndF][10x]と打つ
  e^1= 2.718281828 自然対数の底が底の指数関数。e^は[2ndF][ex]と打つ
  tanh2= 0.96402758 双曲線正接関数。tanhは[hyp][tan]と打つ
  tanh-10.5= 0.549306144 逆双曲線正接関数。tanh-1は[2ndF][hyp][tan]と打つ

 前述のように、対数関数は酸アルカリのpHや星の明るさ(一等星とかの、あれ)等で学術分野では頻出する。指数関数(ex)は対数関数の逆関数で、値を戻すときに使う。

(続く)