アジアウキガエル

うちの子

[写真]  うちの子(笑)はアジアウキガエルガエルで、性別は鳴くので、たぶん男の子。体長は約2cm。近所の熱帯魚屋さんで、アロワナのエサ用として売られていたのを買ってきました。1匹100円なり。'97年ごろから、アジアアロワナと一緒にインドネシアあたりから大量に野生個体が輸入されているようです。
 彼は、日がな、目と鼻先を水面から出して浮いてます。「こんな生活もいいかなぁ〜」とかって思ったりも(^^; 目が真上にむいて付いていて、浮いてる状態だと目と鼻の穴だけが水面から出るわけです。カエルに詳しい人なら、「バジェットガエルの頭にアカガエルの下半身を付けたような感じ」と言えば、わかるでしょう。前脚の指には水かきはほとんどありませんが、後ろ脚の指の間には水かきが発達していて、泳ぎが非常に達者です。ただ、アフリカツメガエルなどと違って、本来、陸棲のアカガエルの仲間ですから、水中生活への適応が妙に中途半端です。肺に空気が入った状態だと、水中に潜れなくて(浮いてしまう)、「ぽこっ」と息を吐いてから水中に沈んでいきます。
 鳴嚢はのどの下のところに1つ。時々、あまり大きくない鳴き声で「ゲゲっ…ゲゲゲゲッ…」とかって鳴きます(しばらく、何が鳴いてるのかわからなかった…)。(上の図は、デジカメの写真なので、写りがわるいです。今度、35mmカメラで撮りなおす予定です。)

分類

 アジアウキガエルの学名はOccidozyga lima。英名はFloating Spotted Frog…で良いのだろうか。アカガエル科に属し、Occidozyga属はこのアジアウキガエル1種のみが属する。マルジタウキガエル(Phrynoglossus laevis)など、Phrynoglossus属の9種のカエルとあわせて、ウキガエルと総称される。東南アジアに分布している。

飼い方

 ほぼ水棲のカエルなので、飼育は水槽でOKである。私は10Lくらいのプラスチック製水槽に7分目くらいまで水を入れて使用している。フィルターはなし。最初はスポンジフィルターを使ってみたが、流れがあるとカエルが落ちつかない感じなのと、うるさいので使うのをやめた。今やすっかりグリーンウォーター飼育である(^^;
 熱帯産のカエルなので、水温は25℃くらいをキープ。26℃にプリセットされた熱帯魚用ヒーター(100W)というのが売られているので、これを使っている。
 水質安定のためと、カエルの足場(単に浮いてるより、何かにつかまってる方がいいみたい)のために、水草を入れてあげた方が良いようだ。私はタイ ニムファ(Nymphaea rubra)というスイレン(蓮:ハス)の仲間の水草を、小さなタッパに大磯砂を入れたものに植えたのを入れている。この水草は、安価に熱帯魚屋さんで売られている。アジアウキガエルは割と おくびょう で、人影に気付くと、水中に逃げ込むような習性があるようだ。この時の「とっかかり」のためにも水草はあったほうが良いだろう。本格的な水草水槽で飼うのも楽しいかもしれない。
 照明は、水草のために。25W(白熱球100W相当)の電球型蛍光灯(昼光色)を1日に約12hr、タイマーでon/offして点灯している。
 また、水草のために、pHメーターで水のpHを見ながら、CO2を添加している。ソーダ割り用の炭酸水(砂糖が入ってないヤツね)を、朝〜昼のうちにpHが極端に下がらない(中性(pH6.5〜))ように、ドボドボ入れて、かきまぜる(←大技である)。カエルは、魚のようにエラ呼吸しているわけではないので、酸欠にそれほど気をつけなくても良いのが楽である。CO2を添加していると、日中に光合成をして酸素のアワを葉っぱや茎から出すのが良くわかる。CO2を添加すると、育ちも明らかに良いようだ。水草が育つのを見てるのも、また楽しい。
 水替えは、1〜2週に1回、1/2量程度。下部にたまった排泄物などをホースで吸い出して、新しい水(カルキ抜きしたもの)を加える。こまめに排泄物などをスポイトとかで取り除いていれば、水替えのペースは落とせそうな感じ。魚と違って、肺呼吸で、窒素体謝物もアンモニアではなく尿素なので、水質にはそんなにシビアではなかろう。本来、止水棲のカエルのようだし。
 フタは必須。フタを開けておいたら、水槽から出て、部屋の中を飛びはねていたことがあった。けっこうジャンプ力は強い。でも、壁は登れないようだ。

エサ

 フタホシコオロギの若令のをエサに使っている。冷凍のアカムシを試してみたけれども、どうも食べる気配がないし、栄養的に不安なので、コオロギがやはり良いだろう。1日に1〜2匹を水面に落としたり、針金にとまらせて目の前に持っていくと、飛びついて食べる。エサ食いは非常に良いが、2匹買ったうちの1匹は拒食して痩せ細っていく一方(付記:約1月後に死んじゃいました;_;)。やはり野生個体なので、健康状態にバラツキが大きいのだろう。それと、ショップでもエサは与えられていないようなので…
 国内の記事で「水生昆虫を食べる」というような記述があるが、目が上の方を向いてるので、水中の昆虫を食べるとはどうも思えない。飼ってて生態を見てると、水面や、水辺の草の上などの昆虫などをジャンプして捕えて食べてると思うのだが…

文献

 あまりポピュラーな種類ぢゃないようですねぇ。情報は少ない。
  1. 「爬虫類・両生類800種図鑑」, ピーシーズ, 269p
    アジアウキガエルがカラー写真付きで載っています。
  2. アクアライフ, 1997年12月号, 142p
    TERRA FEATURE(今月の新着・注目爬虫類両生類)というコーナーで、アジアウキガエルが取りあげられています。
  3. Duellman WE, Trueb L, Biology of Amphibians
    Occidozyga limaが、変わった幼生(オタマジャクシ)の形態の例としてあげられている。上記2つの記事も、この記述を丸写しした気配がある。

関連リンク

タイの両生類
[英語]Sakaerat Environmental Researchのタイ産両生類のリスト。この中でも、アジアウキガエルの英名は空欄になっている。
Porcupine!
[英語]香港の淡水生物の調査結果。アジアウキガエルが珍しくて、絶滅しそうな種としてあげられているが…ホントかな?
Floating Spotted Frog
[英語]Swantje and Sven's Herpsより、多分、アジアウキガエル。写真つきである。Photo Galleryにも、やや見づらいが写真がある。なお、このページでRice paddy frogと言っているが、上記のタイの両生類や、Reptiles and Amphibians in Captivity - Longevity - Frogsから判断すると、これはアカガエル属のRana erythraea(アジアミドリガエル)の英名であろう。

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