95/04/13 01:10
‥‥‥いつになったら本題に入るんじゃぁ〜という声が聞こえて来そうだナ(^^; こういうお馬鹿な作者が一人くらいいたって面白いでしょ、と開き直っちゃお。(FGALTLの真面目な作者&読者の皆さん、ごめんね〜)
仕事でCPUをいろいろいじった中で思い出深いのは、やはりザイログZ-80でしょうかね。会社に入った頃にさんざん使ったし、アセンブラのニーモニックもインテル流より親しみ易かったし。
インテル ザイログ ;意味
MVI A,0 LD A,0 ;Aレジスタに値0を入れる
LDA 0 LD A,(0) ;Aレジスタに番地0の値を入れる
LXI H,0 LD HL,0 ;HLレジスタに値0を入れる
MOV A,M LD A,(HL) ;AレジスタにHLレジスタの示す番地の値を入れる
インテルのニーモニックの発想はCPUの制御機構から来ているんですけど(だからMOV、MVIが別)、ザイログのものはソフト制作者が直感的に分かりやすいようになってるんですね。著作権問題もあったと思うけど‥‥‥ザイログの設立そのものが、インテルをスピンアウトした人たちによるものである事を考えると、当時のインテルの頭脳流失の損失はかなり大きかったんではないかと思います。
当時の対抗馬モトローラ6809が「究極の8ビット」と言われていましたが、Z-80の方は、良くも悪くも「8ビットの最高傑作」じゃないかと思います。「良くも」の証拠に、いまだに生産されていますし、制御分野では結構重宝しているようです‥‥‥6809なんて、今あるんでしょうか?「悪くも」の方は、その後の16ビットZ8000の路線で失敗して、業界のイニシアティブを取れなかった事。だからZ-80アーキテクチャに頼るしかなかったのかも。
インテルは8080よりはむしろ、制御用のMCU(マイクロコントローラ、いわゆるワンチップマイコン)の方が優れたコンセプトを持ってると思います。8048系から育った8051などは、これが8080と同じインテル?と言いたくなるような、痒いところに手が届いた作りになってましたし、原種も派生品種も、今なお全世界の機器組み込みコントローラとして大活躍しているのもうなづけます。
16ビットになると‥‥‥やっぱり68000かな。これも良くさわったし、非常に分かりやすいアーキテクチャで好きですね。何よりもセグメントがない事。レジスタの直交性が良い事。16ビット当時から、内部アーキテクチャとしては32ビットを採用していた先見性‥‥‥少なくとも、インテル8086より数段優れたコンセプトであったと思います。パソコンより高性能を要求されるワークステーションのメーカーが、ほとんど68000からスタートしたのも、当然の選択でしょう。
モトローラも、最初から32ビットアーキテクチャを採用できたのは、8080/Z-80との競争で勢力を伸ばしきれなかった6800系との互換性を、あっさり捨てられた事があるのでしょうね。8086系のセグメント、貧弱なレジスタは、8080との互換性を捨てきれなかったためで、それがいまだに尾を引きずっているわけです。互換CPUメーカーの話によると、86系アーキテクチャでは、高速化のために重要な先行分岐(条件ジャンプ命令が真か偽かを判断する前に、その先のプログラムを読んでおく)のテクニックを駆使するには、セグメントが非常な障害になり、同一クロックでの性能向上に限界があるとか‥‥‥
ただ、この世界も結局は理想より現実、数が出てなんぼの世界なんですね。天下のIBMがパートナーとして、通信機器の雄として長い歴史を持つモトローラではなく、新興勢力のインテルを選んだ時点から、世界のパソコンの歴史が変わったのだと思います。ワークステーションは今やRISCの天下ですし、アップルもいずれ68000系を捨ててPOWER-PCだけになろうとしている現在、メインCPUとしてのインテルの独走はどこまで続くのか、興味深いものがあります。
KATOCHAN (from Fujisawa)
This page was updated on Sunday, April 09, 2000
Copyright©1995 Toshiyuki Kato