iPAQ h2210 以降、 携帯電話の高機能化や NotePC の軽量&長時間化等の影響もあって しばらく PDA を持ち歩いていませんでした。 W-ZERO3es (WS0007SH) を入手したので 久しぶりに PocketPC を使ってみます。
使い勝手や画面の印象も動作するソフトウエアも 最初の印象は進化して便利になった PocketPC です。 以前から PocketPC 系を使っていた人なら カスタマイズやセットアップも手馴れたものでしょう。
自分も iPAQ (PocketPC) + AirH の組み合わせで使っていたので できることはほぼ一緒。 さらに 小さくスリムなボディながら VGA 液晶で、 片手入力&操作も可能なテンキーに デジカメなど魅力的なハードウエアが山盛りです。 LAN 接続がないけれど PDA としてみたら最高です。
その一方で携帯電話機(PHS)としての側面も持っています。
携帯電話としてみた場合は評価が一変します。 気軽な操作性という面で専用機に劣ります。 大き目のボディに 分類表示しづらい電話帳や慣れない使い勝手。 時として画面タップが必要になってしまう操作性など、 とっさの電話時には思い通りにならないもどかしさに直面するでしょう。
PDA から見て実に便利だと思ったデジカメ、バイブ、通信内蔵、 片手操作やテンキー入力などは どれも専用の携帯電話端末では当たり前のもの。 高級な最近の専用機と比較すると 個々の機能はどれもこれも見劣りし、 呼び出しに手間がかかったり設定や覚えることが多かったり アプリ毎に統一感がなかったりと不親切です。
じゃあ何で買うのか、欲しくなるのかというと、 ハードウエアの魅力と閉じた固定のデバイスではない点にひかれるわけです。
ソフトウエアの開発や さまざまなアプリケーションの追加によって 固定の専用機には真似できないさまざまなことができるようになる、 そんな期待があります。 使いやすくより便利になる可能性を秘めています。
それもメーカーのサポートやファームアップを待つばかりではなく、 ユーザーの手で自ら改善していくことができるわけです。
専用機と比較すると劣ってしまう使い易さや親切さの代わりに、 融通の利く何でもできる自由と懐の広さとマニアックな奥深さを手に入れたのが WindowsMobile 5.0 搭載 W-ZERO3 です。
例えばパソコンでテレビが見れるようになって DVD 再生もあたりまえ、 グラフィックもゲームも満足のいくレベルになって、 音楽も通信もパフォーマンスを気にせず使えるようになって、 ほんと便利になったなと痛感します。
だけど個々の専用機でも十分満足していたのなら、 TV や DVD やゲームのために いちいちパソコンを立ち上げなければならないのは不便です。 だからこそ専用機も必要なのでしょう。
ZERO3 の使い勝手はそう、 まさにいちいちパソコンを起動しながら各機能を使っている、 そんな感じがします。 いちいち手間がかかるけれど、 それでも専用機では満足できない人のための端末なのです。
Nokia の V702NK (6630) を使ったときも思ったのですが、 知っておかなければいけない常識が他の携帯電話と 大きく異なっています。
ずっと PocketPC を使い続けてきた人には当然と思えることでも、 一般の人からすればおそらくわからないことばかり。 最初は覚えるものががいくつもあるはずです。
でも一度コツをつかんでしまえば 今後もこのシリーズの端末が出ればそのまま使いこなせるはずです。 これまで何世代にもわたって さまざまなメーカーから PocketPC 端末が登場しました。
初期から継続して端末を作り続けているメーカーは少なく、 ユーザーは世代毎にいろんなメーカーの端末に乗り換えてきました。 それができるのは基本的な操作がどれも一緒だからです。
現在は WindowsMobile と呼ばれることが多いようです。 これまでもバージョンや世代毎にさまざまな呼び方に変化してきました。
名称は異なるものの WindowsCE という OS を搭載していて PocketPC 系の UI とアプリケーションをそろえた 同シリーズの端末であるといえます。
ZERO3 には分厚い本体マニュアルが付いています。 厚さだけでなく中身も携帯電話のように非常に丁寧で細かい操作まで行き届いた 解説になっています。
ハードウエアの説明だけでなく OS 操作部分も含めて 丁寧に解説したマニュアルは初めてかもしれません。 もしかして PocketPC 最強の取説でしょうか。 (もしあったらごめんなさい)
WindowsCE 系の PDA は、ハードウエア部分以外は PC 同様に Microsoft の Windows 系共通マニュアルと各 アプリケーションの個別説明書だけの場合がほとんどでした。
でも携帯電話としてみたら当たり前
もともと PocketPC が非常に便利だと感じたのは デスクトップ PC の脇に置いたクレードルにいつも立てて置けることです。
充電も同期も勝手に行われていて、 席を立つときに外して持ち歩くだけで 必要な情報に簡単にアクセスできました。
普段は PC を使っていて、持ち歩きたいと思った情報も 適当にキャプチャし 必要なときに ActiveSync 経由で PocketPC に入れるだけ。 クレードルへの接続や Sync や電源の ON/OFF もわりとラフでも大丈夫です。 いちいち電源を切りなさいとか言われません。
しばらく使っていて動作が不定になったら即リセットです。 (使ってるとだんだん何かやる前にリセットが必要になってくる) 長期の旅行など、 放電によって本体メモリの内容が消えてしまった場合も ActiveSync 経由でバックアップからリストアするだけで復帰できました。 それゆえ ActiveSync によるまめなバックアップは必要不可欠です。
対して WindowsMobile 5.0 を搭載した ZERO3 はどうでしょうか。
特に ZERO3es は標準では通信対応クレードルも Bluetooth も無線 LAN もないのでいちいち USB ケーブルを繋ぐ必要があります。 そのため上に書いたような 「気軽に常に ActiveSync」といった使い方では少々不便を感じます。
その代わり ボタンがほとんどなかった pure PocketPC PDA から見ると ZERO3es の入力手段は実に多彩です。
ZERO3 はそもそも携帯電話機(PHS)です。 メールを打ったり外出時に単体でネットに繋いだり。 同期などの PC 接続よりも 単体で十分使える操作性が必要です。
WindowsMobile5.0 自体も記憶領域が フラッシュメモリになってバッテリー放電のプレッシャーから開放され、 それにあわせて ActiveSync の経由の自動バックアップ機能がなくなりました。 さらに 単体での CAB インストーラが便利になっていたりと、 PC がなければ便利に使えなかったという 「PC の束縛」から抜け出そうとしているように見えます。
携帯電話が PC のようにオープンな環境になって便利なこと。
(V702NK 等スマートフォン全体に当てはまる項目も多いです)
開発環境さえあれば誰でも開発可能で Java のような機能的制約もなし。 開発環境や API に互換性があるため Windows プログラマなら比較的簡単に手を出すことができます。 ソフトを自由に作ることができるし、 またそうやって作られたソフトウエアを入手することもできます。
Outlook はメーラーとしては悪名高いですが、 PIM 統合ソフトなので必ずしもこれで メールを読む必要はありません。 住所録やスケジューラを PC 上で管理しておけば 繋ぐだけで勝手に同期します。 情報を手軽に一元管理できるのは大きなメリットでしょう。
オンラインサインアップソフトを正常に終了させないと、 ダイヤルアップ情報の書き込みが失敗していることがあるようです。 設定を削除してオンラインサインアップをしなおしたら つながるようになりました。 購入直後だったのであせりました。
マナーモードを解除したのに、 メディアプレイヤーやシステム音など ボリュームが常に 0のままで音がでなくなることがありました。 ヘッドホンを繋いでも音がでません。
一旦安全運転モードにして解除、 またマナーモードを設定して解除、で直りました。 たまになることがあるようです。
半角英数でも IME on 状態のままで ATOK の変換が 有効になってしまいます。 これはこれで便利かもしれないですが、 関数電卓などソフトによっては困ることもあります。
MS-IME に切り替えるときちんと半角英数時は直接入力に なりました。 が、今度はテンキー操作時にカーソルキーだけで変換操作 できません。 IME のキー割り当てを変更する必要がありそうです。 (この方法はいつか調べる予定)
USB で外付けキーボードを繋いだ場合は ATOK でも [ALT]+[漢字] できちんと ON/OFF できたので、 おそらく何らかのアプリケーションを作れば解決できそうです。
以下、実際に ZERO3 セットアップした手順等を書いてみます。
タップ音、エラー音等の OFF。同様に [通知] タブの 不要な通知のチェックを外しておきます。
ここで「デバイス名」を設定します。 これが ActiveSync で繋いだときの名前になるので 先に設定しておいた方が便利です。 (特に複数の PocketPC を持ってる場合は必須)
携帯電話を含めて いまどきとしてはこれが当たり前かもしれません。
また SHARP Zaurus は、 1996年ごろの MI 系以降ずっと 本体の記憶用メモリはフラッシュメモリでした。
iPod で言えば iTunes に相当します。 ただし ActiveSync は情報の転送のみで、 データそのものの管理は Outlook 等他のソフトに依存しています。
ActiveSync を PC に install しておくと、 USB ケーブル等で繋いだときに エクスプローラでファイル転送できるようになります。
ファイルの単純なコピーだけでなく、 予定表、連絡先、などの PIM データのシンクロや ソフトウエアのインストールもできます。
またケーブル接続時に時刻をあわせてくれたり、 接続中はPC 経由のインターネット接続もできます。
できること
なお、ActiveSync による同期は 2台の PC まで可能です。 この場合メールの同期は2台めの PC としかできません。 2台以上の場合でも guest の設定をすれば ActiveSync を使ったファイル転送は可能です。
WindowsMobile5.0 以降は ActiveSync でバックアップ&リストア ができないようです。
( 最初途中でエラーになってしまい、 ダイヤルアップ設定がきちんと保存されずに困りました。 その後 Opera 等の自動ダイヤルアップがエラーでつながりません。 設定を削除してから再びオンラインサインアップをしたら直りました。 )
[設定]→[電話] からマナーやバイブの設定など
PC に ActiveSync をインストールして、USB ケーブルで繋ぎます。 PC 側で接続のためのウィザードが出ます。
最初に聞かれる同期オプションのチェックは最初全部外しておいて、 必要になってから1つ1つ追加していきます。 特に複数の PC と ActiveSync する場合は 「電子メール」の同期にはチェックしない方がいいでしょう。 これは 1台目で「電子メール」の同期が ON になってると 2台目の ActiveSync 登録が拒否されてしまうからです。
ほぼ以前の PocketPC 時代と同じ傾向のソフトが動作し、 また同じ傾向のソフトウエアが必要になりそうです。 なので自分が使うソフトのインストールを 一回手順化しておくと今後の機種変更や再構築時に便利です。
PocketPC2002 以降は CPU は ARM 系のみの一種類と なったので比較的楽になりました。
ZERO3 用を選ぶならば、CPU の種類は ARM になります。 OS のバージョンは WindowsMobile5.0 用か もしくは PocketPC2003 など できるだけ新しいものが良いでしょう。
これらの CAB ファイルは 何らかの形で 本体に転送できれば ファイルエクスプローラでタップするだけでインストールできます。
転送には ActiveSync を使った PC 経由でもいいし、 miniSD カード + カードリーダー経由でも良いし、 できるならブラウザで直接ダウンロードしても構いません。
WindowsMobile5.0 ではインストール先として 「デバイス」(本体メモリのこと) か 「メモリカード」 (ZERO3 では \miniSDカード ) か選べるようになっています。
インストール時のコツは、 システム系や常駐物など クリティカルと思われるアプリはできるだけメモリカードではなく 本体メモリ(デバイス)にインストールすることです。
CAB のインストーラでインストールしたものは [設定] の [プログラムの削除] でアンインストールできます。 アンインストール手順についてはきちんと各アプリケーションの ドキュメントも参照しておいた方がよいでしょう。
文章入力用の端末として以前は MobileGear 以降 H/PC 系を使っていました。 電源 ON で待たされずにいつでも取り出せて バッテリーもかなり持つからです。 特に Jornada720 のキーボードは必要最小限ながら ぎりぎりタッチタイプ可能で非常に便利でした。
そんなわけで長いこと H/PC + PocketPC という PDA 2個持ち状態でした。 (さらに 携帯電話や AirH カード も) 何とかこれを PocketPC 1台にしたかったのですが うまい解決方法がありませんでした。
結局選んだのは PDA をあきらめて 軽量&長時間持つ Windows の NotePC を使うこと。 気軽に取り出せないけれど1つで済むしこれはこれで 環境的には申し分無しです。
今回 ZERO3es を選んだのは、 携帯電話と PocketPC を1つにできることと USB 外付けキーボードで満足いくレベルの文章入力ができそうだったからです。 気軽に取り出して内容確認できるけれど、 さらにしっかりした文章も打つことができる。 そんな環境をしばらく目指してみます。
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