エネカルクで節電 その2LEDシーリングライトの損得
            … 2016年6月
 
先日、15年使ったリビングルームの蛍光灯式シーリングライトが故障したので、我が家では初めてのLEDシーリングライトに交換した.そこで、シーリングライトなどの蛍光灯をLED式の器具に交換したら何年で器具の元が取れるか、拙作のエネカルクで計算してみた.5年前にLED電球について書いたページと併せて読んでもらえたら、と思う.

LEDシーリングライトを勧めるサイトはいくつもあるが、きちんと金額を示して損得の分岐点を明記したサイトが少ないので、このページが参考になればうれしい.

【エネカルクの利用】
エネカルクの利用例にもなっているので、Windows環境の人はダウンロードして試してみよう(フリーソフトなので無料だよ).
 
電気代の基本単価は30円で計算した(画面例は5年前のLED電球のページと同じなのであしからず).今は電力会社によってかなり単価が異なるので、自分の電力会社の単価に設定して計算してみて欲しい.
 
1. 電灯を選択(上図のようにLED電球でも可)
2. 消費電力を蛍光灯式とLED式の消費電力の差の値に変更
    例:60Wの蛍光灯 → 30WのLEDなら 30 に変更する
3. 使用時間を設定して「計算」ボタンを押す.使用頻度は1日1回のままでいい
4. 単位期間あたりの電気代の1年の欄を見る
5. "LEDライトの価格 ÷ 1年の電気代"で、何年で元が取れるかの償却年数が算出できる

【計算の前提条件】
蛍光灯式・LED式とも、シーリングライトの器具は10,000円と仮定した.
現在使用中の蛍光灯器具は、あと10年程度は使えるものとする.蛍光灯の種類や交換時間などの細かい条件は煩雑になるので無視した.
LEDシーリングライトの寿命は一般的に40,000時間のものが多いので、それで算出した.
それとは別に、器具本体の寿命は20年と仮定した.(メーカーは10年と言うけれど…)
点灯時間40,000時間か20年か、どちらか早い方で買い換えが必要になると考える.実際には製品のバラツキもあり計算通りにはならないが、まあ現実的な仮定だろう.

電気代がどのくらい安くなるのか.今稼動している蛍光灯器具を交換したら何年で元が取れるのか(器具代が回収できるか)という観点から算出した.ただし蛍光灯シーリングライトが"故障した"または相当古くなったので買い換えるという場合は、蛍光灯とLEDの器具の価格差がほとんど無くなってきたので、LEDシーリングライトに買い換えるほうが間違いなく得だ.

【実例】
部屋の広さ(電力消費量が違う)と1日の平均利用時間に応じて、代表的な例をあげて電気代削減効果を見てみた.利用時間などは各家庭で大幅に違うと思うので、あくまでも私の主観的な例だ.
  部屋の広さ 1日の使用時間 蛍光灯 LED 電気代の年間差額 償却年数
A 6畳 1時間 60W 30W 328円 30年
B 6畳 2時間 60W 30W 657円 15年
C 12畳 1時間 80W 40W 438円 23年
D 12畳 8時間 80W 40W 3,504円 3年
 
A. 寝室などのように1日1時間しか使わない部屋では年間330円の節約になるが、器具代分の節約に30年くらいかかる.LED素子自体は40,000時間=100年以上交換しなくて良いことになるが、現実的には30年も保たないだろう.結局、まだ使える蛍光灯式ライトをLED式に買い換えても金額的には損だ.現在の蛍光灯式ライトが壊れるまではLED式に買い換える必要は無いだろう.

B. キッチンなど1日2時間程度使う部屋では器具代分の節約に15年ほどかかる.このあたりが買い換えの損得の分かれ目だろう.

C. 比較のために12畳で1日1時間程度使う部屋も計算してみた.強いて例をあげればトレーニングルーム(そんな部屋がある家は少ないけど)などが相当するだろうか.器具代分の節約に23年ほどかかるので、12畳でも1時間以下しか使わない部屋はあまり交換のメリットがないだろう.

D. 1日8時間使うリビングでは、年間3,500円も節約できて3年で元が取れる.器具は40,000時間=13年ほど使えるので、償却後の10年で35,000円の節約となる.つまりLED式に買い換える方がかなり得になる.調色機能付きの高機能機を買ってもお釣りが来るね!
 

【結論】
上記からわかるように、おおまかに1日1〜2時間以下しか使わない蛍光灯は、LEDに交換しても金銭的なメリットは無いことがわかる.
なお、器具代が5,000円くらいの製品なら早く元が取れるように思えるが、明るさを変えられるLEDライトの方が無駄な電気代を抑えられるし、まだ不安定な製品もあると思われるので、多少高くても有名メーカーの調光機能のあるLEDライトをお勧めする.個人的には、リビングのように多目的に使う部屋には調色機能もあった方が便利だと思う.

単純に価格だけを比較すればまだLEDが得にならない場面でも、明るさや色を変えれられたり明るさを自動調節するものもあるので、そのあたりの付加価値を総合して、多少割高でもLEDにしてしまうという考え方もあるだろう.地球温暖化防止に少しでも貢献したいというのも早めに交換する理由になるかも.
私が買い換えたLEDシーリングライトはカバーに触っても全く熱くないので、電灯からの熱気を感じなくて済むし冷房代も多少節約できるはず.そんな利点もあるんだよね.

【参考リンク】
LEDシーリングライトのメリット・デメリット:価格以外の利害がまとめてあるので参考に(ただし3年前の記事なので2016年とは多少状況は違う).

【付記】
LEDの蛍光灯なんてまだまだ割高だと思っていたので、計算してみるまで自分でもこれほど節約できるとは思わなかった.

5年前はLEDでも蛍光灯と同じかそれ以上の電力が必要で、それでも期待通りの明るさにならず、器具自体ももっと高価で不良率も高かった.なのでLEDシーリングライトに交換するのは時期尚早という状況だった.
5年のうちにかなりまともな製品に洗練されてきたようで、十分蛍光灯の代替製品として勧められる.逆に、蛍光灯式シーリングライトはもう存在価値がない.次々と生産終了になっているが、それでも特に困らないだろう.

それにしても、LEDシーリングライトが5年でこれだけ改良されたのに比べて、LED電球の価格はなかなか下がらないなあ...