PC要約筆記に必要な器材

PC要約筆記を始めるにあたって、どのような器材が必要になるかまとめてみました。

運用形態

パソコン1台の場合
一番簡単な方式です。 パソコン上でワープロあるいはエディタソフトを起動し、 大き目のフォントで表示されるようにして入力します。 パソコンの画面を隣から覗き込んでもらうか、 外部接続したディスプレイや大型TVに表示します。 いわゆるノートテイクと同じような方式です。
特徴
単純なので持ち運びやセッティングが容易。
漢字変換しているところからすべて表示される。
外部ディスプレイがないと、斜めから覗き込む形になるので読みづらい。
パソコン2台の場合
パソコン2台をRS232Cクロスケーブルで接続して双方で通信ソフトを起動し、 お互いに自分の入力した文字・相手の入力した文字が表示されるようにします。 2台で入力してどちらか(あるいは両方)の画面を覗き込んでもらう、 あるいは1台で入力して他方のパソコンを見やすい位置においてもらう、 などが可能です。
特徴
1台の場合よりも若干複雑。
「会話システム」としても使える。
自分の入力した文字は漢字変換しているところからすべて表示される。
パソコン複数台の場合
ユーラックスというハードを用意して、 各パソコンとRS232Cストレートケーブルで接続します。 各パソコンでは通信ソフトを起動し、ユーラックスとの間で文字をやりとりできるようにします。 パソコンのうち1台を出力用パソコンとし、外部接続したディスプレイや大型TVに表示します。
最近では、ユーラックスではなくTCP/IPのLANを使う方法も登場しています。
特徴
複数のパソコンから複数の人で入力するので情報量を増やせる。
専用の表示ソフトを使うことでみやすくなる。
システムが複雑になり、セッティングにも時間がかかる。

必要なハード・ソフト

パソコン
持ち運びを考えるとノートパソコンが適当だと思います。 特に機種は問いませんが、1台だけで行なう場合を除いて、 パソコンにRS232C(シリアル)端子が必要です。 RS232C端子はたいてい標準装備されていますが、 一部の小型化された機種では接続端子にアダプタ類が必要な場合もあるので注意がいります。
また、外部ディスプレイやスキャンコンバータを接続する場合は、外部ディスプレイ端子が必要です。 これも機種によってはアダプタが必要だったり、ソフト側の設定をしないと表示されないことがあるので注意しましょう。
価格は20万円程度からです。
ユーラックス
福祉システム研究会が開発した超近距離キーボード会話システム。 最高8台までのパソコンをRS232Cケーブルで接続して、 各パソコンから相互に会話できる会話システムを構成する装置です。 パソコン通信を知っている人には、「疑似チャットシステム」と言えばイメージしやすいでしょう。
価格は9万8千円ですが、パソコン店にはまず売っていません。福祉システム研究会まで問い合わせてください。
エディタ/ワープロ ソフト
ワープロはご存知だと思います。エディタも同じように文書編集に使うソフトですがワープロほど高機能ではなく、その分動作が素早くなっているソフトです。
2台以上のパソコンを使う場合は特に必要ありません。 パソコンの機種に対応したものであれば何でも構いませんが、 文字サイズや色を設定変更できるものが望ましいでしょう。パソコン本体に付属しているソフトがあればそれでも充分です。
フリーソフトもありますが、市販品やシェアウェアでは5千円くらいからあります。
通信ソフト
1台のパソコンで行なう場合は必要ありません。 これもパソコンの機種に対応したもので、 文字サイズや色を設定変更できるものが望ましいです。 特定のパソコン通信サービスに特化した専用ソフトではうまくユーラックスに接続できないことがあります。
フリーソフトもありますが、市販品やシェアウェアでは5千円くらいからあります。
表示ソフト
2台以上のパソコンを使う場合、 表示用のソフトとして通信ソフトを使うこともできますが、 画面の端で折り返してくれなかったりスクロールが見づらかったりするので、 専用の表示ソフトを使うと便利です。
一般には売っていないソフトですが、 NIFTY SERVEの障害者フォーラムイベント(FHANDE)のデータライブラリに Windows用のフリーソフトが登録されています。
テキスト送信ソフト
OHPの前ロールと同じように、事前に入力した文章(テキスト)を、 タイミングに合わせて流すソフトがあります。 パソコンの機種や通信ソフトの種類によってまちまちなので、 ここでは詳しく述べられません。
外部キーボード
ノートパソコンのキーボードは、 サイズが小さかったり一部のキー配列が特殊だったりします。 たいてい、外部にキーボードを接続できるようになっているので、 ここにキーボードを接続すればデスクトップパソコンと同じキー環境にできます。
価格はだいたい5千円ぐらいからあります。
スキャンコンバータ
パソコンの映像信号をビデオ信号に変換して、 ビデオ入力端子を持つTVで表示できるようにする装置です。 最近の機種はいろいろなパソコンに対応したものが多いですが、 なかには「PC98専用」「IBM-PC専用」など、 「ある機種専用」のタイプのものがありますのでよく確認して下さい。
大きなパソコン店だとだいたい在庫があります。価格は3万円程度からです。 よく「ビデオキャプチャ」と間違えられるので、注意して下さい。 ビデオキャプチャは、ビデオ信号(TV画面)をパソコンに取り込むもので、方向が逆です。
ビデオ分配器
なくても構いませんが、あると複数のTVに同時に表示できます。 大きな会場でTVが一台で足りない場合には必要になってきます。
購入したことがないので価格はわかりませんが、 だいたい1万円程度ではないでしょうか。大きな電器店においてあると思います。
ビデオ切り替え器
これもなくても構いませんが、OHC(オーバーヘッドカメラ)とパソコン要約筆記を切り替えて表示したりする時に使います。 また逆に、表示先を大型TVと液晶プロジェクターに切り替えたりすることもできます。
価格は5千円程度です。
RS232C(シリアル)ケーブル
いろんなタイプがあり間違えやすいので注意しましょう。
パソコン2台をつなぐ場合は、「クロス」あるいは「リバース」と呼ばれるタイプのケーブルを使います。 ユーラックスにつなぐ場合は「ストレート」あるいは「ノーマル」と呼ばれるタイプのケーブルを使います。 (お店の人に「ユーラックスにつなぎたい」と言ってもまず通じません。 「モデムにつなぎたい」と言えば間違いないでしょう。)
また、パソコン側コネクタの端子数も各種あります。25ピンのものもあれば9ピンのものもありますので充分確認しましょう。 これらケーブルの種類を間違えて接続すると、最悪の場合は接続した両方の機械を壊す可能性もあります。 ストレートとクロスは見た目で区別できないので、はっきり書いておくことをお勧めします。
価格はだいたい千円〜2千円程度です。
大型TVや液晶プロジェクター
機種によっては直接パソコンを接続できるものもありますが、 たいていはスキャンコンバータでビデオ信号に変換してから接続します。
液晶プロジェクターはかなりの大画面表示が可能ですが、そうとう暗い状態でないと読めないことが多いため、 個人的にはいい印象を持っていません。
購入すると高価ですから、たいていはレンタルで済ませているようです。

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