井川りか子、田村もか、平田智美、他の皆様方へ


拝啓
 時節柄、如何お過ごしでしょうか。私は、アトリエ・平田工房の管理人、平田真夫と申します。井川さんと田村さんからは既に何度もメールをいただいておりますが、平田さんからはまだ届いておりません。また、他の何人かの方々からも様々なお誘いをいただきましたが、全て無視してしまいました。どうも、申し訳ありません。
 特に平田さんは、同姓ということもあり、本来なら親しく感じてもおかしくないとは思うのですが、少なくとも私の親族にこの名前は見当たらないようです。もしかすると遠い親戚筋の方なのかも知れませんが、その場合、ご無沙汰していることをお許し下さい。

 さて、本日こうして筆を取りましたのは、貴女方にどうしてもお尋ねしたいことが出来たからです。それで失礼を省みず、このようなものを書くことになりまして、どうも申し訳ありません。
 と申しますのは、まず率直に言って、貴女方からいただいたお手紙の内容が、どうも私個人に当てたものとしては覚えがない内容でしたので、もしかするとこれは間違った配送先に来たのではないか。何か重大な誤配が起きたのでは、と思い、ホームページ等をお持ちならと考えてお名前を検索させていただいたのです。そうすると、実は貴女達がインターネットの世界ではかなり有名な方々であり、あちこちのサイトで話題になっていることがわかりました。特に井川様に関しましては、霊能者によるお顔の想像図まで掲載されているようです。ただ問題は、その貴女方の知名度が「不特定多数の方に同じ内容のメールを出されていること」によるという事実です。そのため、「あのメールの内容は全て嘘である」などという誹謗中傷までされている始末。ご心中は如何ばかりかとお察しいたします。
 ただこれは、私の考えますところ、実は貴女方にも原因の一端がある。やはりあのような個人的な内容のメールは、よく宛先を確かめ、きちんと然るべき人(内容から察するに、そのお相手はただ一人だと考えられます)にのみ出されるべきではないかと――。メールソフトの設定のミスなのかも知れませんが、信じ難い人数の人々にあのような内容が届いたからこそ、あれは嘘だなどという噂が立つのです。
 百歩譲って、一般に噂されるように、貴女達が嘘の内容のメールを出し、それで何かの勧誘行為を行なったのだと仮定します。しかしその場合、メールの宛先はかなりの人数に登る筈です。そして逆に、その数が増えれば増えるだけ貴女達のお名前は皆の間で有名になり、当然「あのメールは嘘」との烙印が押される可能性が増えます。ここのところが、どうしても私には理解出来ないのです。
 すなわち、世に言う「迷惑メール」の類いは、それが明らかに社会問題化し、プロバイダーやソフト会社が対策に乗り出している現状では、それを巧みに掻い潜って相手に届いた所で、そもそもそのようなフィルターを掛けている人は読まずに捨ててしまうでしょう。中には「これだけは迷惑メールと思わずにお読み下さい」などという、自ら内容が迷惑メールであることを暴露するようなタイトルすら見受けられます。そんなものを、私は信じたりはしません。すなわち、今私が貴女方にお聞きしたいのは次の点です。

 あれらのメールは、本当に効果があるのですか?

 まさにこの点が私の最大の関心事であります。不特定多数の相手に送るその数が多ければ多いほど、むしろ信憑性が薄れて効果がなくなっていくと思われるメール。中には、あのような勧誘メールを出したために信用を失った会社や、仕返しに送りつけられてくるウィルスの対応に追われ、むしろコストがかかったという報告もありました。そのような社会状況の中で、個人的な内容を装い、フィルターを突破し、何とか相手に読んで貰い、その結果、笑いものとして晒されている貴女達のお手紙。あれらは何のためにあるのでしょう。
 こう考えてくると、答は三つしかありません。私がまったく知らない何か経済学的な理由がある場合、実は貴女達のメールが本物で、単に不特定多数に誤配された場合、最後に、貴女達がそのようなことも全く予見出来ない愚か者である場合です。
 私としては最後のものは非常に考えにくい。何故なら、こんな結果になることはちょっと考えれば判ることだし、一回こっきりは成功しても、後が続かないからです。
 また、二つ目もちょっとないことでしょう。如何に偶然とはいえ、複数の人が同じような内容のメールを、同じように誤配されるなどいうことは――。
 だとすると、最後の残りが答です。これは何か、私の知らない経済学的な論理があるとしか考えられません。そこでお願いなのですが、このように社会問題化している輿論の批判に敢えて対抗し、このような行為をなさる「意義」について、教えていただきたいのです。これは是非とも知りたいことです。

 お返事はこのホームページに載っている私のアドレス宛でもいいし(ただしこの場合、その内容をここで公開させて戴くことをお許し下さい)、いずれどこかのサイトでレポートされても構いません。とにかく、いつかはこの謎が解明されることを期待しております。

 では、長々とどうも失礼致しました。皆様の、今後のご健康(ご発展はさすがに祈れません)をお祈りいたします。

敬具

平田真夫

宇宙暦三十八年十月二十四日)


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