ご存知の方も多いだろうが、市販のゲームにはディスクチェックが施されているものが存在する。その方式はプロテクトを用いたもの、用いていないものとさまざまである。
しかし、方式はどうあれ、ゲームを起動するのにいちいちドライブにキーディスクを入れるのははっきり言って面倒だ。できることならこんなものは無くしてしまいたい。
また、プロテクトと言うものの原理も昔から変わっていない。つまり、キーとなるディスクに異常フォーマットを仕込んでおき、そのエラーの返り値を見てディスクが真正であるか否かを判断する、というものだ。故意にエラーを引き起こす以上、システムには何らかの負荷がかかる。これが一時的なものなら、あまり問題は生じないが、物によってはハードウェアを傷めかねない。
そんな物は外してしまえ、というのがFeldの持論である。Wizard出身者のサガとでも言おうか。
では、プロテクトはなぜ掛けるのか。当然ながらその目的はソフトハウスの収益の確保である。折角作ったソフトも、違法コピーがバラ撒かれ、売れないのでは話にならない。そのため、コピー防止の手段としてプロテクトは用いられる。
違法コピーの様態は大きく分けて3つある。1つはカジュアルコピー。友人同士、家族同士で1本のソフトを購入し、それを人数分コピーすると言うもの。ただしこの場合、コピーの動機が「金がない」ことによるものが多いため、プロテクトをかけたとしても売上増には直結しない。下手をすると、その1本すら売れない可能性が出てくる。
2つめは焼き売り。発売日近辺で新品を購入、コピー。値崩れを起こす前に中古屋に売り払う、と言うもの。この場合、売却した金が次のゲームを買う資金になっていることも多く、プロテクトが売上増に結びつくとは必ずしも言えないし、中古部門と新品部門の両方を持つショップにとっても、回転率の低下を招きかねない。
3つめがP2P。通称「ダウソ厨」と呼ばれる連中である。誰かがソフトを購入してイメージ化し、P2Pネットワークに放流する。それをダウンロードする事で、不特定多数にコピーが拡散する、というものだ。自分が金を出して買ったものを、わざわざ手間とヒマをかけてまで、他人にくれてやることも無いと思うのだが。どうにもFeldには理解出来ない。
で、実は、この問題が一番大きい。1本の購入に対して、タダで手に入れられる人数が圧倒的に多いからだ。これに対処するには、プロテクトをかけるよりも、イメージのサイズを大きくし、かつ圧縮し難いようにするほうが効果が大きい。高音質サウンド、高画質ムービー等でゲームのサイズそのものを膨らませてやるのだ。可能なら、低音質・低画質のサウンドやムービーをも同梱することで、大容量化に伴うHDの圧迫、という問題にも対処可能だ。ダミーファイルでも同様の効果はあるのだが、こちらは正規ユーザーにとっても邪魔物でしかない、と言う点が問題だ。
ところで、プロテクトの解除は厳密に言えば不正競争防止法違反行為であるから、外し方そのものを公開する事は差し控える。正規に購入したものを、個人的使用の範囲内でプロテクトを解除したとしても、誰にも損害は生じていない。従って、厳密に言えば違法行為であっても、可罰的違法性は阻却されるだろう。しかし、それを不特定多数に公開した場合は話が違ってくるからだ。
このように、非常にデリケートな問題を孕んでいる内容となるため、あらかじめ自分に枷をはめる事にした。
発売後3ヶ月以内のソフトについては基本的に扱わない。リピートで新品が売れる期間はおおむねそのくらいのようだからだ。
物理的なプロテクトが掛けられているソフトに対しては、ソフトハウスが倒産しているか、ロットアップしていない限り、ヒントにとどめ、外し方そのものは書かない。
ノンプロテクトのものは外し方そのものも扱う。これはダミーファイルについても同様だが、実行ファイルのディスクチェックの外し方は扱っても、インストーラのダミーチェックは外さない。
正規ユーザーである限り、インストーラにダミーチェックがあっても何の障害にもならないからだ。
扱うタイトルは、完全にFeldの独断による。要望があって、それがFeldの手持ちのソフトであれば応じる事もあるが、検証のためだけにソフトを買ってくるような馬鹿な真似はしない。
ただ、現物を寄贈ないしは諸費用全て依頼者持ちで貸し出ししてくれるのなら考えないでもないが、現実的とは思えない。
さて、書き換え方法であるが、FeldのスタイルはWizard98のファイラー作者の1人であった、あかね氏のスタイルに非常に強い影響を受けている。
NOPは使わない、書き換えバイト数は極力少なく、チェッカの流れは壊さない、ディスクアクセスは極力潰す、というのが主なところだ。
この考え方はFD時代の物であり、今となっては時代遅れな部分も出てくるだろうが、どうかご容赦願いたい。
下級生2(elf)……ふえるDOS文体です、ディスクレス化そのものについては殆ど触れていません。