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暴力シーンによる攻撃動機の促進

 ゲームの必要条件は、能動性の発露である。暴力シーンは必ずしもゲームにおける必要な要素では無い。しかしながら、ゲームには多くの暴力シーンが含まれる。
 ゲームにおいて、暴力シーンが多用される理由としては、1)英雄願望の志向を実現する能動性の発露の手段として、ゲームが選択された場合。男性は、プレーヤーの多数を占める。男性一般には、英雄願望とそれを明解に表現するものとしての「戦い」、及び「戦争」への志向が見られる。2)映像メディアにおける娯楽性を追求した場合。究極的には、映像メディアにおける娯楽性は、バイオレンスとエロティシズムにあると謂える。すなわち、ゲームは諸要因によって暴力シーンを含みやすい。

 暴力シーンによる攻撃動機の促進は、現在でもはっきりとした相関性は証明されていない。しかしながら、バンデュラらによる攻撃行動のモデリング実験(Bandura,A. ,Ross, D. & Ross, S.A. : Imitation of Film-Mediated Aggressive Models. Journal of Abnormal and Social Psychology, 1963, 66,3-11)などでも攻撃モデルを観察しなかった群と、各攻撃モデル条件を観察した群とに有為な差が認められていると云う点はふまえるべきであろう。ゲーム制作者は、暴力シーンを含むゲームが社会的に攻撃動機を促進する可能性が高いことを、現実として認識しておくべきである。


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