★2003年篇★

まるたつの超お手軽映画感想文です.。原則として映画館で見たものが対象です。
記憶違い、勘違い、思い込みも、た〜くさんあるのであんまり参考にはなりません。

おだだだ〜JAPANに戻る
まるたつPOWERに戻る

年度INDEX


●エヴァとステファンとすてきな家族 ●2003/12/10(銀座テアトルシネマ)
2000年スウェーデン映画 監督ルーカス・ムーディソン  出演エンマ・サミュエルソン 他
舞台は1970年代のスウェーデン。幼い姉弟のエヴァとステファンは家出したママと一緒にオジさんの住む家に転がろこむが、なんとそこは レズ、ゲイ、コミュニスト、ベジタリアン等ちょっと変わった人々が共同生活する場所だった。
お姉ちゃんのエヴァは隣家に住む少年フリドリックに恋を するんだけど、そのきっかけが二人とも同じ度数の眼鏡をかけていたことっていうのがほろ苦くて微笑ましい。
とまぁ70年代に青春を送った人ならスウェーデンも日本もなんだか自由な雰囲気がただよっていたよなぁなんてちょっとしみじみしてしまうかもしれない映画でした。
1970年代といえば、今ではさえないオヤジになってる貴方も私もまさにあの頃君は若かった。
あの頃、当時のジジイ達の手先の機動隊の盾(そもそも盾とは相手の攻撃を受けるためのものなのに、当時の機動隊はこれを武器として使用していたよなぁ)にボコボコに殴られながらも、70年安保粉砕を叫んでいた当時の若者達も今や立派なジジイだ。
だけど昨日のコイズミちゃんの会見を見ていたら、やっぱりあの頃が分岐点で日本は大きく間違った方向に舵をきったんだなぁとシミジミ思ったりもするわけです。
なんて考えが頭ん中をグルグルかけまわるような映画でありました。
その後、映画の登場人物達はどんなジジイババアになったんだろうか、そんな事を想像するのも楽しい。画面以外のあれやこれやを空想できるのは、いい映画の証だとボクは思っています。

●少女たちの遺言 ●2003/12/4(キネカ大森)
1999年韓国映画 監督ミン・ギュドン&キム・テヨン  出演 キム・ミンソン  パク・エジン  イ・ヨンジン
原題は女校怪談二番目の物語なんだけど、第一弾の続きではありません。全く別の高校の別の女子高生の物語。
ボーイッシュな陸上選手、大人っぽい不思議なコ、すんごく普通のコ、わけもなく苛めるコ、軽薄だけど素直なわかりやすいコ、の5人の女子高生を中心に、同性愛と交換日記と自殺と教師との情事なんかがミックスされて女子高は大騒ぎ。
なんだか大林宣彦監督の『ハウス』みたいな感じもある。
女子高生になったことがないからわからないけど、女子高生ってきっとあんな感じなんじゃないだろうかと思わせる映画です。
前述の女校怪談でもそうだったんだけど、韓国の教師ってあんなに横暴でいばってるんだろうか?身体検査で胸の小さい女子高生に向かって『絶壁』はないでしょうが。女子高生も負けてはいません、その小柄な教師に向かって『チビ!』と思いっきりお返しをしていました。しかしさっきから「教師」と入力しようとするたんびに「狂死」と表示されるのだが、これって女子高生の呪いでしょうか。ただ、ことえりが阿呆なだけだとは思いますが。

●アウトライブ ●2003/11/25(キネカ大森)
2000年韓国映画 監督キム・ヨンジュン  出演 シン・ヒョンジュン  キム・ヒソン  チョン・ジニョン
全然期待しないで見たせいか大満足するくらい楽しめました。
一応中国が舞台の歴史ドラマの趣もあるのだが、全編クルクル回るワイヤーアクションの連続で、恋愛あり武術あり、友情あり、師弟愛ありのてんこ盛りでもう満腹状態。
なんだか往年のマカロニウェスタンみたいな荒唐無稽な楽しさだ。韓国映画だからさしずめキムチウェスタンといったところか。
ヒロインのキム・ヒソンはとても奇麗です。日本の女優さんで例えると菅野美穂ちゃんをもう少し大人っぽくしてもっと正統派美人にした感じ。
いつも癖のある役の多いチョン・ジニョンが侠気もある渋い男を演じるのだがやっぱりなんだかコミカルでおかしい。いつかしょうもないオヤジギャグをかますんじゃないかとハラハラしたが最後までかっこよく決めて死んでいくのだ。
しかしこのシン・ヒョンジュン演じる主人公のタフさにはまいる。斬られても突かれても毒を盛られても死にそうで死なない、しかし死ぬ時は愛のためにあっけなく死ぬのだ!

●パイラン ●2003/11/22(キネカ大森)
2001年韓国映画 監督ソン・ヘソン  出演チェ・ミンシク  セシリア・チャン
原作は日本の浅田次郎の短編小説『ラブ・レター』。例によって未読なので映画との内容の違いは不明。パイランとはヒロインの名前、たぶん漢字だと白蘭。
仁川の下っ端やくざのチェ・ミンシクは中国から働きに来ていたセシリア・チャンと偽装結婚していたが、彼女の死により彼女が働いていた寒村に赴く。
このへんから彼女の淋しい人生のエピソードがテンコ盛り。チェ・ミンシクの小さな写真を見つめ希望のない毎日を送るパイランはいつしか病魔におかされ死に至るのだった。チェ・ミンシクへあてたたどたどしいハングルの手紙を読んで男は自らの人生を振り返る。
もう全編チェ・ミンシクの一人芝居炸裂。これに対抗できるのは、借金取り立て先の小商いのアジュンマと、パイランが働いていた洗濯屋のアジュンマだけだ。げに、韓国のオバチャンは強し。
セシリア・チャンの韓国語もたどたどしくて可愛い。中国人の話す朝鮮語を初めて聞いたけど、日本人の朝鮮語と違って巻舌なのが面白い。

●マトリックス・レボリュ−ションズ ●2003/11/20(錦糸町シネマ)
2003年米国映画 監督ラリー&アンディ・ウォンシャウスキー  出演キアヌ・リーブス
マトリックスの1、2を見た勢いで見る映画でしょう。
一番印象に残ったのは、ネオでもスミスでもなく、根性で戦うミフネだったりして。
まさかマトリックス4はないよね?

●ラスト・プレゼント ●2003/11/19(キネカ大森)
2001年韓国映画 監督オ・ギファン  出演イ・ジョンジェ イ・ヨンエ
才能がありながら開花しないゲグメン(お笑い芸人)の夫と不治の病に倒れた妻のメロドラマを、イ・ジョンジェ イ・ヨンエが演じるラブストーリー。原題は贈り物の意。愛しあいながらも心がすれ違う二人はそれぞれの形で愛を送りあう。
日本でも大ヒットした「冬のソナタ」でキム次長役のクォン・ヘヒョが根からの悪人ではない詐欺師で登場。なんだかんだいいながら善意の行動で二人を見守るのがおかしい。
イ・ヨンエは相変わらず美人、化粧っ気なしでも美人、やつれても美人。
泣かせる構成だなぁと思いながらも、つい涙ボロボロ。上映が終了しても観客はなかなか席を立たないくらい、みんなグショグショ。泣き顔を見られたくない人は一人で見に行くことをおすすめします。

●テハンノで売春していて バラバラ殺人にあった 女子高生、まだテハンノにいる ●2003/11/17(キネカ大森)
2000年韓国映画 監督ナム・ギウン  出演イ・ソユン
韓国のインディーズ映画。それにしても題名が長すぎて覚えられない。劇場の窓口でチケットを買う時も「テハンノ、、、」と口ごもってしまう。なんとかチケットを購入できてロビーで待っていると、映画館スタッフが案内を始めるのだが「テハンノで売春を、お待ちのお客さま、、、」などとなにやら怪しげな呼びかけで客を誘導する。
内容はタイトル通りに、テハンノで売春していて バラバラ殺人にあった 女子高生が、まだテハンノにいるというものだ。ミシンで縫われて蘇った女子高生が復讐するのだが、当の復讐相手には手が出せない足枷があり万事休すかと思われるが、相手が職場で出世することになり状況が一変するのだった。
昔、池袋文芸座で見た「鉄男」を思い出した。そんな疾走感のある映画です。ほんとに走ってるし。

●リーグオブレジェンド●2003/10/16(錦糸町シネマ)
監督スティ−ブン・ノリントン 出演ショ−ン・コネリ−
時は19世紀末。戦争の世紀20世紀の予感がするヨーロッパで未来のテクノロジーを駆使した事件が続発する。未来のテクノロジーといってもまぁ装甲車や潜水艦や自動車なんだけど。
この危機を救うためにネモ船長、吸血鬼、ジキル博士&ハイド氏などが集結し、そのリーダーがショ−ン・コネリ−扮する冒険家アラン・クォ−タ−メイン。まさにいぶし銀。往年の007から数十年、かっちょいい爺さんになったもんだ。
結局、勝利を導くのは古色蒼然たる欧州の曲者ではなく、若いアメリカ人青年なのが来るべき20世紀を象徴しているかのようだ。いや、たぶんしてるんだろう。CG場面もすごく多くて、クレジットを見たら日本人らしき名前もけっこうあった。

●ぼくの好きな先生●2003/10/8(銀座テアトルシネマ)
監督ニコラ・フィリベール 出演ジョルジュ・ロペス
このタイトルからRCサクセションを思い浮かべた人はワタクシと同世代だろう。たぶん今でもどこかにドーナツ盤を持っていると思うけどレコードプレーヤーがないからもう聴けない。当時、ラジオに出演した忌野清志郎がバンド名の由来をきかれて『ある日作成しようとしたから』と答えたのは、あまりにくだらなくていまだに覚えている。
映画館にふらりと立ち寄ったら整理券を配付するくらいの盛況だった。ちょうど整理番号100番で、まず100番までロビーに入場できたのだがなんと男性は4人だけ。そのうち二人はカップルの連れで、一人で来ているのはワタクシともう一人のオッチャンだけだった。そのオッチャン、なんだか知らないけどワタクシの横に寄って来てなんとなく佇んでいる。きっと心細かったんだろう。100人のうちの4人、これはコンピュータ界のアップルのシェアと同じくらいだ。別に映画とは関係ないことだけど。
映画はフランスの田舎町の定年間近の小学校教師ロペス先生と13人の児童たちの心暖まるドキュメンタリー。一年間の町の自然が美しい。長回しでひたすら吹雪の林をうつすシーンなんてタルコフスキーのようだ。退屈ではなく心地よい眠りに誘われる映像だ。隣のカップルの若い男は途中から高いびきになってしまったが、そんなことでデートはうまくいくのか?そんな奴とは関係なく映画は淡々と進行し淡々と終わる。
いい時間を過ごせました。

●偶然にも最悪な少年●2003/10/1(丸の内東映)
2003年 監督グ・スーヨン 出演 市原隼人 中島美嘉 矢沢心 池内博之
在日韓国人の男子高校生、その姉の女子大生、チーマーらしいアンちゃん、頭が病気らしい女子高校生。
この四人が、自殺した女子大生の姉チャンの死体をクルマに積んで釜山をめざすっていうロードムービーなんだと思う。
中島美嘉は60年代後半のATGの映画に出演してもおかしくない、というか21世紀というよりは70年代前後の空気感が濃い女優さんだと思う。
ボクが現役の若者だったら全編拍手喝采しただろうが、ざんねんながらもうそうじゃないからちょっと疲れてしまった。
でも面白かったよ。

●ホテル・ハイビスカス●2003/9/11(錦糸町シネマ)
2002シネカノン 監督 中江裕司  出演 蔵下穂波 照屋政雄 平良とみ  余貴美子  他
沖縄の小学三年生美恵子は父と母と祖母と兄と姉とヤギと、客室がひとつだけのホテル・ハイビスカスで毎日楽しく暮らしている。
実はお兄さんとお姉さんと美恵子の父親は皆ちがうのだ。しかしそんなことは関係なしに美恵子は明るく元気に生きている。いささか元気すぎるくらいで、ケンカした男の子に石をぶつけて気絶させてしまうのだった。
御盆で戻ってきた御先祖様や、森に住む精霊や、人間もソレ以外も沖縄チャンプルー感覚で疾走する爆走ムービー。
映画は監督のものだというけど、この映画は主演の蔵下穂波ちゃんのものかも知れない。そのバイタリティには脱帽。お父さん役の照屋政雄さんなんか脱帽どころか脱カツラしてしまうのだ。

●トッポ・ジージョのボタン戦争●2003/9/9(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1967年 監督 市川崑 声 中村メイコ他
オリジナルプリントが不明だそうで、英語版プリントの画像に、音声だけしか残っていない日本語版を手作業で操作しての上映だった。一部音声のつなぎに違和感があったがそんな事は気にならない出来の90分だった。
核戦争のカギを握るボタンを金庫から盗み出そうとする一味に対して、トッポ・ジージョは赤い風船といっしょに戦い世界の平和を守るというなんとも壮大な物語。
ベッドで眠ってシャワーを浴びて歯を磨くといったトッポ・ジージョの日常生活描写が楽しい。ライオンこども歯磨きいちご味で歯を磨くトッポ・ジージョが可愛い。ここで加橋かつみ、なんて文字が浮かぶあなたはけっこういいトシですね。元々人形劇に造詣の深い監督の原点回帰ともいえるのだそうだ。この事は今回の特集上映で始めて知った。
上映開始前に警備員に文句を言ってるオヤジがいた。なんだか異臭がするのだそうだ。そのうちビル管理者らしきスタッフもやってきてちょっとした騒動になった。魚を焼いたような匂いだと主張するオヤジに対して、スタッフの答えは明解だった。下の階の飲食店の調理の匂いがダストパイプを伝わってきたのだろうと言うのだ。件のオヤジもその説明に納得して無事に上映は開始されたのだった。終映近くになった頃は場内に、魚を焼くような匂いが漂ってきたから本当に下の階で魚を焼いていたのだろう。

●夢精期●2003/8/30(草月ホール・シネマコリア2003)
2002年韓国映画 監督チョン・チョシン 出演イ・ボムス キム・ソナ他
なんといってもタイトルが凄い(笑)。チケットを買う時に題名を言うのに勇気がいる映画だ。原題の「モンジョンギ」は日本語の意味と同じ様だ。まぁ、元々は漢字だしそれはそうでしょう。
時は1988年、ソウルオリンピック開催年の韓国オバカ中学生四人組のオバカ丸出し青春コメディだ。彼等の通う中学に可愛い教育実習生のオネーサンがやってきた。彼女は先輩教師に恋してる。そこでいろいろあって、ハッピーエンドになるという、他愛無いといえばそうなのだがそこがこの映画の面白いところなんでしょう。
この当時、チョン・ドファン政権時代で、日帝時代を彷佛とさせる学校の制服が廃止され私服になっていた時代だ。この映画のラストは2002年だが、今度は制服になっている。こんなところも面白い。
劇中、教育実習生のオネーサンがアニメ「キャンディキャンディ」のテーマを歌うのだが、この世代の人にとっては感情移入しやすい。テリーに相当するのは、先輩教師のちょっとボ〜ッとしたアンちゃんなんだけどね。
いやはや、この年代の男の子はほんとにバカだね〜という映画。愛すべきバカだけどね。

●黒い十人の女●2003/8/27(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1961年 監督 市川崑 出演 船越英二 山本富士子 岸恵子 宮城まり子 中村玉緒 岸田今日子 
なんだかよくモテるTV局プロデューサ船越英二は妻と九人の愛人のあいだをフラフラしている。ついに女達の怒りをかい殺されそうになるが、あやうく難を逃れ、それぞれの女が一人1000円ずつ出し合い男を養う奇妙な生活が始まるというブラックコメディ。男として、うらやましいようなこわいような。
筆者が子供の頃は美人といえば山本富士子で、子供心にはよくわからなかったのだが、今回、妻役の姿を見ると正当派美人だったのがよくわかる。女優役の岸恵子は当時も岸恵子で今も岸恵子。コレはコレで凄いことだ。中村玉緒はお肌ピチピチのコマーシャルガール役だが、後年ドハハとだみ声を出す面白いオバハンになるとは思わなかった。制作スタッフ役の岸田今日子はコケティシュなイメージで新鮮だ。故伊丹十三監督がまだ伊丹十一で若いアナウンサー役で緊張して手をかきむしってるのが初々しい。森山加代子やクレージーキャッツも出ている。石橋エータローの姿がみえなかったのがちょっと残念。主演の船越英二は息子さんよりハンサムだね。

●パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち●2003/8/15(新宿松竹)
2003年米国映画 監督 ゴア・ヴァービンスキー 主演ジョニー・デップ
2時間半くらいのけっこう長い映画だが飽きさせない。内容はべつにどうってことない御存じディズニー映画なんだけど、海賊船長ジョニー・デップがとっても変だから疾走感が停滞しない。
黄金のメダルをめぐって海賊や提督や亡霊がてんやわんやの大騒動。不死身同士の海賊が延々戦う阿呆らしさに嘆息するのがおかしい。お互いに剣で突いても刺しても死なないんだから。海賊の飼ってる猿まで不死身の亡霊になってるから笑える。
ジョニー・デップ 扮するキャプテンは強いんだか弱いんだかわからない。何度捕まって牢獄に入れられたり無人島に置き去りにされたことか。歩く姿もなんだかふらついて変だし、何考えてんだかよくわからない。でもいい奴だ。
エンディングロールが長いけどグッと我慢して最後まで見届けよう。ちょっとしたオマケ映像を見ることができます。

●銀座の猛者●2003/8/14(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1950年東宝 監督 市川崑 出演 藤田進 飯田蝶子 志村喬 伊藤雄之助
原題は「銀座三四郎」。黒澤映画で姿三四郎を演じた藤田進が、柔道の達人の銀座の医者に扮し暴力団をこらしめる青春コメディ。銀座、新橋あたりが舞台で背景に興味を奪われる。公衆電話はダイアル式ではなく交換手に申し込む方式だったのかなどと思いながら見るのも面白い。
この市川崑特集、相変わらず観客は中高年というより初老の年代が多い。どうもこれらの映画をリアルタイムで見てた人達のような気がする。
伊藤雄之助が精神病院で暴れる患者役で出るのだが、顔が画面に現れた途端に場内は笑いに包まれる。この人、若き日はお笑いだったのだろうか?なんせ筆者が生まれる前のことでよくわからない。晩年の伊藤雄之助からはお笑いのイメージはないのだが。

●盗まれた恋●2003/8/12(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1951年東宝 監督 市川崑 出演 久慈あさみ 森雅之 川喜多小六 志村喬 伊藤雄之助
仕事にあぶれたダンサー、自信に満ちあふれなんでも金でできると思っている銀行家、無名の若い画家の微妙な三角関係。ダンサーの久慈あさみが新鮮で輝いている。石井めぐみ(ただし若い頃、例えばトミマツの頃)と雛形あきこを足した雰囲気だ。アプレゲールという言葉が闊歩していた時代がまぶしい。いや、筆者だってそんな昔のことはリアルタイムでは知らない。だいいちこの映画が出来た頃はまだ生まれてなかったぞ。
伊藤雄之助が若い銀行家秘書役だが、笑いをとるポジションだ。ラストシーンでは鮎釣りの途中に突如足をすべらせ川に流されてしまう。えっこれで終わりかよと思わせるくらいなんだかシュールな幕切れでした。

●プーサン●2003/7/29(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1953年東宝 監督 市川崑 主演 伊藤雄之助
50年前の渋谷銀座が舞台となっていて、今となっては劇映画というより記録映画としても興味深く見ることができる。風景だけでなく世相もそうである。この映画の時代背景は朝鮮戦争で現在のイラク侵攻とよく似ている。この映画の主人公も戦争には加担したくないと思いつつも、教師の職を失い兵器輸送の臨時工になるのだった。
越路吹雪が若い銀行員で出ていてなんだか和田アキ子みたい。八千草薫が清純な病院職員。小林桂樹が若いおまわりさん。小泉博が予備校生で、勉強ができるマッチみたいだ。みんな若い。予備校経営者加藤大介はすでにオジサンで、満員電車で越路吹雪を痴漢したりする。
越路吹雪と伊藤雄之助がデートで二人でストリップショーに行くシーンがあるのだが、これって当時は普通だったのだろうか。画面を見てもカップルで見に来てるようなのだが謎である。
しかし一番印象に残ったのはトニー谷。冒頭部分で出るだけなのだが異常なオーラが凄い!

●ターミネーター3●2003/7/17(錦糸町シネマ)
2003年米国映画 監督ジョナサン・モストウ 主演ア−ノルド・シュワルツェネッガ−
なんともはや情にもろい寅さんのようなサイボーグおやじの人情アクション活劇の一巻。
25歳になったジョン・コナーの元に新たなキラーサイボーグが送り込まれた。今度はキレーなオネーサンサイボーグ。小首をかしげながら次々と殺りくをくり返す姿は凄まじい。台詞はほとんどナシ。何か欲しいモノがあると、それがほしいという位だ。口数の少ない性格なんだ。
その反対にシュワちゃん演じる旧型サイボーグは饒舌だ。自分自身の心の葛藤なんかも吐露したりする。感情的なサイボーグである。それに同型サイボーグなのに前作よりちょっと老けてるぞ。
まぁこれだけシンプルな内容なのにだれないで最後まで見せるのは立派なもんだ。たくさん車を壊すし、建物もいっぱい崩壊して、これからの復興作業が大変だろうと思ってたら復興する間もなく大変な事になるのは、見てのお楽しみ。
当然パート4もあるんでしょうね。次回は老年サイボーグで白髪だったりして。サングラスにえらく御執心だったが、次は老眼鏡かけてたら笑える。

●二重スパイ●2003/7/1(丸の内東映)
2003年韓国映画 監督キム・ヒョンジョン出演ハン・ソッキュ、コ・ソヨン
シュリ、JSAに続く大作と思われてるけど前二作とはちょっとちがうんじゃないでしょうか。シュリもJSAもいわゆるハリウッド映画にも負けない、とかまぁそういった映画だ。そのてん二重スパイはちがう。情の映画だ。JSAも情のある映画の一面はあったがソン・ガンホ演じる北の兵士の情だ。シュリにはハン・ソッキュもソン・ガンホも出ていたがドンパチが目立ってあまり情は前面に出ていなかった。で、二重スパイはハン・ソッキュの情の映画だ。
脱北して南朝鮮にやってきたハン・ソッキュ演じる情報員は純粋で忠誠心もあるが肉親や周囲の人を愛する情のある男だ。仕事は完璧にこなし組織を守るためには平気で同胞をたたきのめしたりするが、自分が死んだら自分の髪の毛を北のどこかにまいてほしいとの願いも持っている。一見非情にうつるスパイだが実は自己を否定する気持ちも普通人より持っているのかもしれない。
いつの日か南北が統一されたらこの映画はどのように評価されるのだろうか。 韓国でも日本でも興行的にはいまいちだったがもっと評価されていい映画だ。シュリ、JSAと並べる売り方がまずかったのかも。なんだまた同じような映画かよ、なんて思って見なかった人もいるだろう。実はワタクシもその一人で、映画の日割り引きで1000円だから見ようかと出かけたクチだ。期待してなかったぶん、その出来に驚き拍手した。もちろんテーマの南北問題だけでなく、北からやって来た間諜が今度は南のスパイになってやがて両方から追われて逃亡するサスペンス映画としても面白い。
冬のソナタでサンヒョクの友人の獣医役で出演しているコン・ヨングクがハン・ソッキュの運転手兼見張り役として出ている。ひょうひょうとして悪い奴じゃないけどちょっとお間抜けで、ハン・ソッキュとコ・ソヨンの二人を尾行してもすぐ見つかり一緒にメシを食ったりする奴だ。食堂のテレビで野球中継を見て、流れで三人揃ってバッティングセンターにも行ったりする。バッティングセンターのことを朝鮮語ではシルレヤグジャン(室内野球場)と言うんだね。
キャンペーンで来日したハン・ソッキュが、韓国の今の若い人の中にはカンチョプ(間諜=スパイ)という言葉を知らない人がいると言っていたが、日本でも、間諜がスパイのこととわからない人がいるような気がする。
昔、007シリーズが日本に紹介されたころは間諜007号なんて言われてたのを知ってる人は、けっしてもう若くないです。

●マトリックス リロ−デッド●2003/6/10(錦糸町シネマ)
2003年米国映画 監督ラリ−&アンディ・ウォシャウスキ− 主演キアヌ・リ−ブス
う〜ん、マトリックス のリロ−デッドです。マトリックス リボリュ−ションズの長〜い長〜い予告編といえなくもない。でも面白い予告編です。
なんだか杉浦茂マンガみたいで荒唐無稽な世界観は立派。日本刀でクルマをすれちがいざまに斬るんだから。 パワーアップしたスミス君の団体に助演男優賞をあげたい。

●チャンピオン●2003/5/20(科学技術館サイエンスホール)
2002年韓国映画 監督ウック・キョンテク 主演ユ・オソン
『注油所襲撃』や『友へチング』でも男っぽい演技を見せたユ・オソンが今回も1980年代に活躍した実在のボクサーに扮して男臭さプンプンで画面を暴れる。
貧しい環境に生まれた主人公はハングリー精神100%でボクシングの世界に飛び込み遂に世界チャンピオンに挑戦して死を迎える物語なのだが、展開が平板で映画としてはちょっと退屈だった。
一番印象に残ったのは主人公が喫茶店でデートして彼女の干支占いをするシーンだ。テーブルの上にはガシャポンのような物体が鎮座ましましている。そう、70年代に日本にもあったアレ。上半分は透明になっていて中にピーナッツが入っていて下半分には干支別のレバーがあり20円入れるとオミクジが出てくる機械だ。これを覚えている人はもう立派な中高年。この機械で主人公は彼女の占いをするのだ。う〜ん懐かしい。干支占いだけでなく星座占いのものもあったが、あの機械は世界的に流通していたものなのだろうか。どうもアジアっぽいのだが真実は謎だ。

●おばあちゃんの家●2003/4/25(岩波ホール)
2002年韓国映画 監督イ・ジョンヒャン 出演ユ・スンホ、キム・ウルブン
平日の昼間なのに場内は9割の入り。岩波ホールの客なのか、韓国映画ファンの客なのか。観客の年齢層は初老の年代が多い。そんな観客であふれる館内はざわついていたが、上映後はオヤジが一人高鼾だったとのと、携帯電話の呼び出し音を鳴らしたオヤジ一名以外は、涙をぬぐう善男善女が映画に入り込んでいた。
誰にでもお婆ちゃんはいるから自らのそれを投影していたのか。自分がお婆ちゃんの人もかなりいたけど。
映画は都会からやって来た7歳の孫としばらく同居することになった田舎に住む77歳のお婆ちゃんが主人公だ。この山村、電気も通わないような地域の設定らしいがなぜかお婆ちゃんの家には写りの悪いテレビがある。孫がガチャガチャやっているとチャンネルがはずれるのがなんだか懐かしい感覚だ。そうそう、昔の回すタイプのチャンネルはよくはずれたもんだ。リモコンもなかったから寝っ転がって足でガチャガチャ回したりしてね。いや、別にテレビはこの映画の本質には関係ないのでそんなに注目する必要はない。
孫とお婆ちゃんに意志の疎通はない。なんとお婆ちゃんは文盲で耳も聞こえず口もきけないのだ。何があっても胸を丸くなでるジェスチャーだけが感情表現だ。まるで「クェンチャナヨ(大丈夫の意味で朝鮮語会話では頻繁に出てくる言葉)」と言っているようだ。孫の好物はピザとヘンボゴ(ハンバーガー)とケンタッキチキンなのだが、当然この村では手に入らない。それでも鶏は生きたまま手に入る。お婆ちゃんは張り切って孫のために鶏を絞めて料理をするのだが、できたのはサムゲタン!微笑ましい逸話である。
映画終了後ロビーでテレビ局の人にインタヴューさせてくれと言われたが、声だけじゃなく顔も出ると言うので断ったのだが、男性観客のコメントがほしかったみたいで、初老の紳士がインタヴューを受けていた。あなたにとって、お婆ちゃんとは何?みたいなことを聞かれていた。愚問である。お婆ちゃんとは、親の母である。あるいは祖父の妻。
この映画に悪い人は出てこない。別にいい人が出てくるわけでもない。お婆ちゃんが出てくるだけである。暴れ牛も出てくる。猟奇ウサギも出てくる。観客の涙も出る。

●ガン&トークス●2003/3/25(新宿武蔵野館)
2001年韓国映画 監督チャン・ジン 出演シン・ヒョンジュン、チョン・ジェヨン、シン・ハギュン、ウォン・ビン
テレビドラマ『秋の童話』などで人気のウォン・ビン最新主演映画なんて宣伝文句をテレビCM流してるけど、最新ったってウォン・ビンはこれが映画初出演だし、だいいち主演じゃないだろ。四人の殺し屋達の一人なんですけどね。
あえて主演は誰と聞かれたら、この四人を追うチョ検事役のチョン・ジニョンと言ってしまおう。彼をスクリーンで初めて見たのは『グリーンフィッシュ』で、トラックで警察を追い回すハン・ソッキュの兄役だった。その後は『約束』の髪の毛を後ろで束ねたヤクザ、『達磨よ、遊ぼう』で妙に世事に長けた強いお坊さん等に接するたびに妙に気になっていた。どれも主演じゃないのになんだか印象に残るシーンを演じていて、日本の俳優だと竹中直人みたいな感じといってもいいだろう。真面目なんだかふざけてんだか、演技なんだか地なんだかさっぱりわからないヘンな俳優さんだ。
この映画でも、もちろん暴れ回っている。いや別に粗暴な行動をするわけではないが、例えばこうだ。逮捕して釈放された悪人からリンゴをもらうのだが、賄賂になってはいけないから返すと言って食べかけのリンゴを口から出して相手に渡したりするのだ。ウゲッ〜。
一見正常なのに異常性が時々顔を出して面白い。朝鮮語で「異常する」という言い方で日本語の「ヘンなの〜」の意味になるのだがまさにそんなヒトだ。ってどんなヒトだ?

●猟奇的な彼女●2003/3/5(シャンテシネ)
2001年韓国映画 監督クァク・チェヨン 出演チョン・ジヒョン チャ・テヒョン
今までいろんな機会で見逃してきた映画をやっと見ることができた。前評判通りとても面白い青春ラブストーリーだった。
客層はいつもの韓国映画とちがい、韓国マニア中心ではなく「アメリ」の客層と重なるような若い女性で、数少ないオジサン達はなんとなく同じ列の席にすわるのだった。ひとりスポーツ新聞を広げて松井の記事を読んでるオッサンがいたが非常に場違いに感じられた。女性一人か、二三人連れが主流で、若い男性はみあたらなかったしカップルも見かけなかった。
そういえば私の横には老夫婦らしきカップルがいたのだが、婦人のほうがこの映画のテンポについていけず、何か疑問が生じると「これは誰?」とか「これはどうしてこうなったの?」等と老紳士に聞くのだ。その度に紳士がていねいに説明してあげているのが微笑ましかった。ラストシーンになると紳士が「はい、これで終わり」とオチをつけてくれた。なんだかこの二人、日本版熟年猟奇的カップルといえなくもない。
さて映画だが、前半戦、後半戦、延長戦の堂々の三部作だ。ちょっと長いとも思ったが、延長戦を観てニヤリとさせられてしまった。決して長くなかったと思わせるエンディングだ。
ハングルの教科書には載っていないパンマルがバンバン飛び交うセリフが心地よい。
理由は書きませんが、前半戦の冒頭部分を何かを食べながら見るのはやめたほうがいいでしょう。影響されやすいタイプの人は、とんだ粗相をすることになるかも知れませんから。オエッ〜、ウゲ〜ッ。

●豚が井戸に落ちた日●2003/2/13(テアトル池袋・辛韓国映画祭)
1996年韓国映画  監督ホン・サンス 出演キム・イソン、イ・ウンギョン、チョ・ウンスク、ソン・ガンホ
辛韓国映画祭の中心のホン・サンス 監督作品。誤解を恐れず一言で言うと往年のATG映画みたいだ。ATGが何かはここでは書かない。売れない小説家と不倫する人妻、その夫、小説家を慕う映画館のキップ売り娘。この4人の人間関係がからんで物語はねじれつつ進む。主人公の友人役でソン・ガンホもちょこっと出ている。
いちばんの謎は、主人公の男が二人の女性から想われるほどの男っぷりに見えないことだ。それがなんだか悲しくておかしい。
場末の食堂の壁に貼られたメニューにオムライスとトンカツのハングルを発見してどんな味なのか気になってしかたがない。ラジオから流れるジョージハリソンの曲も印象的なんだけどどうしても曲名が思い出せない。たしかアイミーマインの頃の曲なんだけど。「ウォーク!カット!ウォーク!」というジョージの声がかぶさるあの曲だ。
そんな、映画のストーリーとはあまり関係ない場面が妙に記憶に残るシーンが多い映画だ。それが監督の狙いなのか、物語の進行をなぞるだけの映画ではないので拒否反応を起こす人もいるかも知れない。ワタクシは拒否しませんが。

●ライバン●2003/1/31(テアトル池袋 ・辛韓国映画祭)
2001年韓国映画  監督チャン・ヒョンス 出演キム・ヘゴン、チェ・ハンナク、チョ・ジュニョン
ライバンとは日本語でいうとサングラスのレイバンのこと。
サングラス姿でタクシーを運転するハンナクは、男手ひとつで育てた娘とのコミュニケーションがうまくいかない。白バイ警官のレイバンを自分のものにしようとするヘゴンは年の割に腹が出ていて、好きな女性ともうまくいかない。ジュニョンはやっかいな兄にはグダグダ金の無心をされ、嫁と姑の諍いには巻き込まれるわで、年の割に額が後退している。そんな三十代後半のタクシー運転手の中年グラフィテイ。
タクシー会社の若い整備士と女子事務員のほほえましい恋が可愛い。それと比べて情けない境遇の三人は金に困り悪事に手を染めようとするが、そこは根は善人の彼らだからどじってしまい犯罪者にはならない。何になったかというと、ベトナムの・・・これ以上はネタばれになるから書かない。
仕事の後に毎晩ホップの看板のある店でビールを飲みダラダラと同じ話しで盛り下がる三人の姿は、みっともないけどどこか愛おしい。まるで自分の姿を見ているような気になってくるから、ある意味リアルな映画なんだと思う。

●国性爺合戦●2003/1/26(新文芸坐
2001年中国・日本映画 監督呉子牛 出演趙文卓、島田陽子他
いつもは空いている新文芸坐も休日とあってか混雑していて最前列の席に座って見た。この映画館は最前列とスクリーンの間隔が狭く上を見上げるポーズは首が苦しい。おまけに島田陽子出演ってことで大体想像はついてたけど凡庸な映画でした。
お話は御存知国性爺なんですが、一般に知れ渡ってるエピソードを羅列した構成で退屈きわまりない。料理次第では面白くなるはずなのにわざと面白くなくしたような気がする。台湾解放の話しなのに台湾人民はほとんど出てこないし、中国映画が国策ヨイショ映画ばかり作ってた頃の映画みたいで残念。このところ元気な韓国映画ばかり見てたせいか、よけいにがっかりしてしまった。加油!中国電影!
無理な姿勢で見続けてわざわざ首を痛くする事もないと判断して、ほとんど目をつぶってセリフだけ聞いてました。これが妙に明りょうな普通話で役者も棒読みっぽいので、自分の中国語の実力を過大評価しそう。島田陽子のセリフはたぶん吹き替えです。
もし試写会に招待されて見ても、来なきゃよかったト思う出来でありました。中国語の聴き取り練習の目的以外では見る必要ないでしょ。
おっとひとつだけ収穫が。倉田保明らしき人がこの映画を見に来ていてロビーで私の前の列に並んでいました。多分本物だと思うけど。緑のマフラーがきまってました。

●女は嘲笑した●2003/1/14(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1911年作品 監督D・W・グリフィス 出演クレア・マクダウエル他 ピアノ伴奏長谷川久美子
泥棒を恋人に持つ女が嫉妬心からベッドの恋人を殺そうとするがそこにいたのは縛られた医者だった。そのころ泥棒は医者の家に盗みに入っていたのだ。医者の縄をほどき警官と一緒に医者の家に行き泥棒逮捕に強力するがお礼を言われて淋しく笑う女だった。
警官が来るまで泥棒と対峙する医者の妻と娘の攻防がハラハラさせる。子役の娘も存命なら今ごろ100歳くらいだろうか。この映画のたいていの出演者はすでにこの世にいないだろうから、まるで幽霊達の饗宴を見る思いだ。

●息子のために●2003/1/14(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1911年作品 監督D・W・グリフィス 出演チャールズ・ヒル・メイルズ他 ピアノ伴奏長谷川久美子
金儲けのためにコカイン入りのコーラ飲料を売り大もうけする父親の息子はこの飲料のせいでコカイン中毒になり死んでしまう。
中毒性があるといわれるあの飲料の事かなとふと思ってしまった。映画を見た後に立ち寄ったコーヒーショップでコーラ飲料を飲もうかと思ったけど考え直してココアを飲んでしまった。

●女性●2003/1/14(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1912年作品 監督D・W・グリフィス 出演クレア・マクダウエル他 ピアノ伴奏長谷川久美子
砂漠を彷徨う夫婦と妻の妹と若い女。途中で夫が死んだのは若い女のせいだと思った妻は若い女の命を狙う。 しかし行き倒れのネイティブアメリカンの女の傍にいた赤ん坊を発見し、母性愛に目覚め赤ん坊を抱いて旅を続ける。
という物語なんだけど何故砂漠を彷徨っているのかいまいちよくわからなかった。乾いた空気感は画面からも感じられた。気のせいか口の中がザラザラする。

●老男優●2003/1/14(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1912年作品 監督D・W・グリフィス 出演W・クリスティ・ミラー他 ピアノ伴奏長谷川久美子
年をとりすぎたという理由で役を降ろされた老男優は家族に内緒でついには乞食になってしまう。ある日5ドルのお恵みをもらったのだが、くれたのは娘の恋人だった。多くやりすぎたことに気がついた娘の恋人は警官と一緒に老男優を追いかけ捕まえる。正体がばれて悲しむ老男優に舞台監督から出演依頼のメッセージが届く。
なんだか自由業の悲惨さを見せつけられたようでちょっと悲しかったぞ。

●大虐殺●2003/1/9(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1912年作品 監督D・W・グリフィス 出演ウィルフレッド・ルーカス,ブランチ・スゥイート他 ピアノ伴奏土田英介
ネイテイブアメリカンの集落を襲撃する騎兵隊、復讐のため幌馬車隊を襲うネイティブアメリカン。俯瞰で延々続く襲撃シーンは圧巻。
一連のジョン・ウェイン全盛時の西部劇に描かれるような一方的白人優越映画よりは、後のニューシネマとよばれた「ソルジャー・ブルー」に通づるものがある。

●狭き道●2003/1/9(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1912年作品 監督D・W・グリフィス 出演エルマー・ブース他 ピアノ伴奏土田英介
刑務所から出てきた若い男とその愛妻。真面目に働く決心をした若者に、昔の悪い仲間の誘いがかかる。仲間の泥棒道具を預かりあわや警察に捕まりそうになるが、その道具を盗む泥棒が出現して危機を免れる。
なんとか仕事もみつかり幸せになりそうな予感に包まれる若い二人。いいね、若さって。

厚化粧したレディ2003/1/9(東京国立近代美術館フィルムセンター)
1912年作品 監督D・W・グリフィス 出演ブランチ・スゥイート他 ピアノ伴奏土田英介
厳格に育てられた娘は年ごろになっても化粧もせず地味なため男に見向きもされない。そんな彼女に近づく男が現れた。実はこいつは泥棒だった。
ある夜、父の留守中に娘の家に泥棒に入る男。父の財産を守るために銃で男を撃つ娘。覆面をとると初めて愛した男の顔があらわれ、娘の精神は病み始める。このあたりから画面にくぎづけになる。無声映画ということで画面からの訴求力が強力に感じられる。ピアノ伴奏も画面と一体化して素晴らしい時が流れる。
と、感動に浸っていたのだが後ろの席のオヤジが大きな欠伸をクハ〜ッと連発するものだから気分がそがれてしまった。途中で退場するオヤジもいるし寝てるヤツもいるし、いくら暖房が効いて気持ち良いからっていったってそりゃないぜセニョール(古〜)。


年度INDEXに戻る
Copyright (C) 2003 Marutatsu