スリザーリンクは、表向きは次のようなルールになっている。
a. | 次のルールに従って、辺に線を引く |
b. | マスに書いてある数字だけ、そのマスに接する辺に線が引かれる |
c. | 線は途切れたり分岐したりしない |
d. | 線は交差しない |
e. | 線は全体で1つの輪になる |
辺に線を引いて輪を作るというのは、マスを外側と内側に分けることになる。つまり、スリザーリンクは、マスを2色に塗り分ける問題と等価になる。マスを水色と黄緑の2色に塗り分ける問題と見た場合、スリザーリンクのルールは次のように表現される。このルールを塗り分けルールと呼ぶ。
A. | 次のルールに従って、マスを水色と黄緑に塗り分ける ( a. c. より) |
B. | (数字条件) マスに書いてある数字は、そのマスに隣接するマスの中で、数字の書いてあるマスと反対側(違う色)になるマスの数 ( b. より) |
C. | (境界条件) 盤面の外には水色のマスがあるとする ( a. より) |
D. | 水色の領域、黄緑の領域はそれぞれ、連続している(ただし、水色は盤面の外を通って連続であればよい) (ルール D1. D2. と等価) |
D1. | (大域条件) 水色の領域、黄緑の領域はそれぞれ、8方向に連続している(同上) ( e. より) |
D2. | (頂点条件) 1つの頂点に対し、対角する2つのマスが黄緑で、残りの2つのマスが水色になることはない ( d. より) |
E. | (存在条件) 黄緑のマスが1つ以上存在する ( a. より) |
点と点をつないで輪っかを作る | → | マスを水色と黄緑に塗り分ける |
輪っかが2つに分かれる | → | 黄緑の領域が連続でない |
輪っかが2つに分かれる | → | 水色の領域が連続でない |
ルールD1. E. 以外 ( A. B. C. D2. ) を使って解く方法を、局所的解法と呼ぶ。ルールD1. E. が必要な解法を大域的解法と呼ぶ。
ここで使う用語は次のように定義する。
塗り分けルールのうち、境界条件以外は水色と黄緑に対して対称である。そのため、塗る色が水色か黄緑かは外側からしか決定しない。内側から解くために、水色か黄緑かは分からないがこのマスとこのマスは同じ側(または反対側)、という状態を考える。このような状態では、同じ側のマスを、仮に同じ色、例えば青紫で塗る。また、青紫のマスと反対側のマスは灰色がかった青紫で塗る。青紫が水色と同じ側と判明したら、その時点で青紫を水色、灰色がかった青紫を黄緑で塗りなおす。また、青紫や水色・黄緑と関係なく、同じ側と判明したマスは、別の色、例えば橙色で塗り、その反対側は灰色がかった橙色で塗る。青紫と灰色がかった橙色が同じ側と判明したら、灰色がかった橙色を青紫で塗りなおし、橙色を灰色がかった青紫で塗りなおす。
以後、「灰色がかった」は、記号「¬」で表し、¬青紫や¬橙色という表記を用いる。
盤面の状態を図示する際、隣接するマスが反対側の場合は、分かりやすいように辺に線を引いて表現する。ただし、これは図示する際の方法であって、アルゴリズムとしては、辺に線が引かれているかどうかを考える必要はない。
また、他のマスと同じ側・反対側が全く判明していないマスについては、それぞれ別の色で塗ると煩雑になるので、このようなマスは白で表現する。