Mac OS Xでモンゴル語(Ver. 10.1.x以前)

 Appleマッキントッシュ用の新OS、OS Xが10.1にバージョンアップし、ようやく使用感、処理速度とも実用レベルに達した。ここでは、OS Xでのキリル文字入力環境の構築について述べる。

目次
1. Mac OS Xの構成
2. Classic環境
3. Carbon、Cocoa環境
4. UNIX環境(研究中)
5. JAVA環境(研究中)

1. Mac OS Xの構成
  OSXは従来のMacOS とは内部構造を全く異にする、UNIXベースのDarwinをコアとするモダンOSである。
 OS Xでは、従来のOS9.xまでのプログラムをエミュレートし動作させる「Classic」、OS9.x、OS X双方に互換性のあるAPIを使用する「Carbon」、OS Xネイティブの「Cocoa」などの複数のフレームワークを装備し、さらにJAVA、UNIXアプリケーションも動作させることができる。
 Mongolian Language Kitなどに含まれる、従来のMacOSで用いられてきたキーボードレイアウト書類はClassic環境では動作するものの、その他の環境では用いることができない。本項では、Mac OS X上のすべての環境でキリル文字環境を整える方法について説明する。
 なお、本項説明にはシステムをカスタマイズするため、システムに問題が生じる可能性もあるが、そのような場合、筆者はいっさい責任を負わないので、あくまでも自己責任で行ってください。

2. Classic環境
 Classic環境では、Macintosh用のモンゴル語キリル文字入力キット(Mongolian Language Kitなど)が使用可能である。
 ただしインストールに当たっては、OS X上からはできないため、「システム環境設定」の「起動ディスク」からClassic OS(OS9.x)を選択し、再起動し、インストールを行う。その後、「コントロールパネル」「起動ディスク」からOS X を選び、再起動すれば、Classic環境でのモンゴル語入力が可能になる。

3. Carbon、Cocoa環境
※Macに関するある程度の知識が要求され、またOS XのSystemを変更することになり、リスクを伴うので注意。

 Carbon、Cocoa環境で、キリル文字フォントおよびキーボードレイアウトを使用できるようにする。ここではMongolian Language Kitをベースにするので、ダウンロードし、展開しておく。またキーボードレイアウトの変更には、ResEditDR(またはQuick Convert)が必要となるので、あらかじめダウンロードしておく。


Mongolian Language Kitのファイル構成


A. フォントのインストール
 OS Xの起動ディスクを開いて、"Library"フォルダ中の"Fonts"フォルダ(/Library/Fonts)にMongolian Language Kitに含まれるフォントをドラッグしてコピーする。


 ブラウザでモンゴル語のウェブページを閲覧するだけなら、フォントのインストールだけでよい。

B. キーボード・レイアウト
(1)Carbon、Cocoa用の日本語環境でのキーボードレイアウトは、

/System/Library/Frameworks/Carbon.framework/Versions/A/Frameworks/
HIToolbox.framework/Versions/A/Resources/Japanese.lproj/Localized.rsrc

に記述されている。これを任意のフォルダにコピーする(例 /work)。いざというときのために、編集用以外に、オリジナルを複製し、バックアップしておくこと(例 Localized.rsrc.origin)。

(2)キーレイアウトは、従来のMacOS同様、KCHRリソースで管理されている。Localized.rsrcにはKCHRが含まれているが、データフォークの形式で保存されているため、カスタマイズするために、リソースフォークに変換する必要があり、DRや、Quick Convert等で変換する。
 DRで変換するには単にLocalized.rsrcをドラッグ&ドロップする。


 見た目(アイコン等)に変化はないものの、これでLocalized.rsrcがリソースフォークに変換され、ResEditで加工できるようになった。


(3)ResEditに変換したLocalized.rsrcをドラッグして開く。同様にMongolian Language Kitのキーボード・レイアウト書類、MongolCyrillicを開く。


左がMongolCyrillic、右がLocalized.rsrcのリソース


 Mongolian Language KitのKCHRをクリックし選択、メニューから「コピー」を選択する。次にLocalized.rsrcのウィンドウをクリックしてアクティブにし、メニューから「ペースト」を選択する。すると下のようなメッセージが表示されるので、"Unique ID"ボタンをクリックする。



 Localized.rsrcのKCHRをダブルクリックして開き、MongolCyrillicがコピーされたか確認し、Localized.rsrc保存する。


Mongol Cyrillicが追加されているのを確認

(4)(2)と同様の方法で、Localized.rsrcをDRや、Quick Convert等により、再びデータフォークに戻す。

※これを行わずに(5)を行うと、キーボードによる入力ができなくなってしまうので注意。(5)を行う前にLocalized.rsrcをResEditで開いてみて、下のようなアラートメッセージが出れば、データフォークに戻っていることがわかるので確認すること。



(5)編集したLocalized.rsrcを

/System/Library/Frameworks/Carbon.framework/Versions/A/Frameworks/
HIToolbox.framework/Versions/A/Resources/Japanese.lproj/Localized.rsrc

と置き換える。この際、アクセス権の関係からOS Xのファインダーの操作では置き換えができないため、Terminalのcpコマンドを利用する。なお、その際、root権限が必要となる。編集したLocalized.rsrcが /workにある場合は下のようにコピーする。

root # cp /work/Localized.rsrc /System/Library/Frameworks/Carbon.framework/Versions/A/Frameworks/
HIToolbox.framework/Versions/A/Resources/Japanese.lproj/

Terminalの使い方、root権限の取得等がわからない場合は、起動ディスクをOS9.xにして再起動し、編集したLocalized.rsrcを/System/Library/Frameworks/Carbon.framework/Versions/A/Frameworks/
HIToolbox.framework/Versions/A/Resources/Japanese.lproj/にドラッグ&ドロップすれば入れ替えることができる。

(6)OS Xを再起動。「システム環境設定」「地域情報」の「キーボードメニュー」に下図のように、メニューバーにMongolCyrillicが追加されているので、チェックを入れ、閉じる。



 すると、メニューバーのキーボードアイコンにMongolCyrillicが追加され、入力が可能となる。



キー入力ができなくなった等、システムに異常をきたした場合
、OS9.xから起動し、あらかじめ保存しておいたオリジナルのLocalized.rsrc(上の例ではLocalized.rsrc.originとしたのをもとの名前に戻して)をもとの場所にコピーしてやれば、復帰することができるはず。

(7)入力
 Carbon、Cocoaアプリケーションを立ち上げ、入力したいモンゴル語キリル文字フォント(Mongolian Language KitではUlaanbaatar, Darkhan, Erdenet, Kharkhorin, Gobisumberの五書体)を選択、キーボード・レイアウトをMongolCyrillicにして、入力。


Cocoaアプリ(TextEdit)での入力例



Carbonアプリ(AppleWorks)での入力例


(8)問題点、お願い
 MongolCyrillicと「ことえり」等日本語のIMを同時に使うと、日本語の入力がうまくできない状態が生じる。これはMongolCyrillicの配列を日本語IMが継承することから発生する問題で、対策法としては、CapslockキーをOnにするか、一度U.S.等のキー配列を選択してから日本語IMを使用するかの二通りがある。

 今回、キーボード・アイコンをモンゴルの旗に換えようと、いろいろと調べたのだが、どこでキーボードアイコンが管理されているかわからず、できなかった(2001年11月末現在)。現在調査継続中だが、もしご存知の方がいればこちらまでお知らせ戴ければ幸いである。

・参考にしたページ
http://www.macintouch.com/mosxreaderreports63.html
http://www.tech-arts.co.jp/macosx/macosx-jp/htdocs/7200/7290.html

4. UNIX環境
研究中(.Xmodmapをいじればいいのかな、ぐらいしかわかってない)

5. JAVA環境
研究中(そもそもFontは認識できるのか?)