FDローダアプリケーション

「PC-98のITF/BIOS ROMの記憶をリフレッシュするツール」

のフロッピーを作るプログラム

ROMrefrs Version 1.00

Copyright(C) 2018 まりも (DOSsoft)

■背景 

 ITF/BIOSにフラッシュROMが使われているPC-98で、最近ROMのデータが化けるということが報告されています。フラッシュROMのデータ保証年数は最後の書き込みから20年程度とされているものが多いですから、ちょうど98はそのくらいの経年になっており、フラッシュROMにデータ化け、蒸発といったことがいつ起きてもおかしくない時期にきています。

 フラッシュROMの記憶をリフレッシュしておくことで、データの保持期間を延長できるのであれば、正常に起動できるうちにそれをやっておくことで、ROMのデータ蒸発による起動障害を予防できることになります。

■目的

 そうした背景から、フラッシュROMを読んで、そのまま書き出すだけのプログラムを作りました。読み書きを1回行うことでROMの記憶内容ををリフレッシュします。

 しかし不幸にしてもう既に正常に起動できなくなっているマザーボードもあろうかと思います。その中には、通常の起動をしようとするとピポ起動音も鳴らず画面も出ないが、[ESC][HELP[[9]押しの初期化起動や[ESC][HELP][8]押し起動のFDloaderに限って起動できるという、「不幸中の幸い」といった状態の故障もあるようです。このタイプの故障ではROMのデータ化けにより、ROMのチェックサムが正しくないために通常の起動ができなくなっていると考えられます。その真偽は別ツールの「ROMSUM」を用いることで調べることができます。 ROMSUMはこちら

 もし「ROMSUM」でチェックサムに異常があるという結果を得た場合は、リフレッシュの際にチェックサムを正常にしてから書き込めば、通常起動ができるように修復される可能性があります。ただし条件があり、この故障のうち通常起動の際に実行されるコード部分でないところのデータの化けの場合に限ります。

■諸注意

 ROMに書き込むというプログラムの性質上、重要な注意を先に述べておきます。まずROMの記憶をリフレッシュすることがよいとする根拠はさほどあるわけではない という点です(気になる方は情報をお調べください)。

 いっぽうで書き換えにはリスクが伴います。したがって書き換えのリスクと、記憶寿命を延長するベネフィットとを勘案して、このツールを実行するかどうか ご自身で判断する必要があります。

 もうひとつ注意すべきことは、一部の機種のROMは部分的なブロックに書き込み保護がなされている場合がある点です。保護された状態では書き込めないばかりか、もしチェックサムが変更になるような書き込みの場合、一部が書き込めないことにより、誤ったチェックサムが書き込まれるという問題があります。したがって事前にお手持ちにPC-98のフラッシュROMにブロック書き込み保護のジャンパピンがあるかを探し、保護側にある場合はそれを解除側にジャンパピンを挿し直す必要があります。そのような機種かどうかの目安や情報については改めて後述します。

■フロッピーの作り方

 アーカイブを解凍して得た ROMREFRS.EXE を MS-DOS上で実行します(Windowsコマンドプロンプト上は不可)。コマンドラインにフロッピードライブ名つきで実行します。それが A:ドライブなら、
ROMREFRS A:
です。

■使い方

 FDローダアプリ仕様ですので、フロッピーをドライブに入れ、[ESC][HELP][8]押しで電源を入れるだけです。

■動作 

 [ESC][HELP][8]同時押し起動で実行開始します。開始画面では W のキーを押すとROMのリフレッシュが始まります。ROMのBANK0〜 7までの32KBブロックをメモリに読み出し、チェックサムを改めて計算して所定位置に戻し、ブロック単位で消去し、書き込みます。なおブロック消去時間中はbeep音が1秒〜2秒鳴り続けます。すぐ鳴り止めば異常ではありません。

 書き込みに要する時間はROM品種やCPUにより異なります。AMDや富士通製チップでCPUがK6の場合、書き込み時間は数分かかることがありますので、あきらめて途中で電源を落としたりしないようにしてください。中断すると再起不能となります。 

対応しているROM品種は次の通りです。
intel 28F200-BX,28F400-BX 
Micron 28F200-BX互換品 
富士通 29F200-TA 
AMD 29F200BB 

4Mbitの品が使われていても、現バージョンでは通常側2Mbitのみをリフレッシュします。

書き込み終了時の画面

■書き込み保護ジャンパの有無について

(1) 書き込み保護ジャンパが「ない」機種
すなわちとくに気にせず本ツールを適用できることが判明している機種は以下の通りです。
MATE-R : RaU23,Ra266,Ra300,Ra333,Ra40,Ra43(型番末尾に依らず)
VALURSTAR : 横置き型V200S、横置き型V166S全般、横置き型Xc16S,V16S5P

(2) 書き込み保護ジャンパが「ある」機種
すなわちジャンパpinを適切な側に移設しないと(移設を確認しないと)絶対に適用してはいけない機種は以下の通りです。
A-MATE :全て
MATE-X :全て(横置き型Xc16S除く)
MATE-R :Ra18,Ra20
VALURSTAR : V7,V10,V12,V13,V16,V20など二桁の機種でWildcat chipsetのもの

画像はXa13/W、Xa16/W、Xa20/W、Xa200(マザー型番 G8WSG,G8YEW)に共通する例です。

(3) 書き込み保護ジャンパがあるかどうか不明な機種
上に記した機種以外は全てわかりませんから、むやみに適用すべきではありません。まずそれらしいジャンパpinがあることを確認し、ジャンパピンの移設により12Vが加わらなくなることも確認する必要があります。これに関する情報はインターネット上にはほとんどないようです。

■その他

 このフロッピーはIPLに取り出し忘れ対策が施されています。フロッピーを入れっぱなしで通常起動にすると、「HDDから起動しようとしています」という英語メッセージがでて数回音がします。フロッピーを抜くか、8回程度放置しておくとHDDから起動します。ただしメモリスイッチのBOOT装置設定が「標準」の設定の場合に限ります。

 開始画面で I のキーを押すとシステム上重要なさまざまなアドレスのメモリやPCIデバイスのレジスタの表示が行われます。CPUレジスタについては、FDloader開始時点のものが表示されます。

■ お約束

 著作権は保持しますが、フリーソフトウェアですので、自由に使用してかまいません。ただし不特定多数がダウンロードできる場所に置く(公衆送信可能な状態にする)ことや、二次的な譲渡や販売を行うことは禁止とします。

 このソフトを使用したことによる損害(起動不能など)に関し、作者は一切責任を負わないものとします。自己責任でお使いください。 書き込み保護ジャンパの設定の誤りも使用者の責任に帰することとし、作者は責任を負いません。また事前の適用可能性の問い合わせには回答できかねる場合もあります。ご自身で情報収集 してください。

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     2018-4-20 まりも(DOSsoft)

【改版履歴】

2018.4.20 1.00 初版

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