しばらく前、キリスト教のローマ法王が、教えに反しないとして進化論を認めるとした事に対して、「人間とは高尚なもので、サルから進化した等という…を、宗教で認めるなんて…」という趣旨の投稿が新聞の片隅に載っていた。そういえば、世の中には、人間こそは自然の覇者で、他の動物とは全く違う崇高な存在であるかのように言うやつもいたな。

　ところで、人間ってそんなに特別なんだろうか。多分唯一自由に道具を使いこなし、文字を使って文化を伝えられる存在だろう。確かに、他の動物とはちょっと違うのだろう。でも結局、他の動物たちと同様、自然の中で生まれ、寿命に逆らうことはできず死んでいく。また、自然を変えるだとか支配するとか言いつつも、天災の一つも満足に防げない。これって結局人間も自然の一部で、他の生き物と比べて高尚なわけでも、劣っているわけでもなく、単なる動物の種の一つであることを示しているのではないだろうか。それに、仮に、人間が他の動物より高尚な生き物だと言おうにも、無意味な殺戮を繰り返す愚かな人間が多すぎるではないか。

　もちろん、人間の存在を軽く見ているわけではない。一人一人の人間は世の中に二つとないかけがえのないもので、貴重な命と意義を持っていることには疑う余地はない。ただ、それと同様に、他の動物たちにも貴重な命と意義があるのだということを言いたいのだ。人間だけが神に選ばれてこうして生きているわけではない、みんな自然の中で同等に生きているのだ。

　それにしても、人間は他の動物と違って高尚だとか、特別なんだとかってなんで言うんだろうね。人間が他より高尚だと思うことで優越感に浸ろうとしているのだろうか、それとも、人間以外は低レベルな生き物だとでも教えられてきて、見下しているのだろうか。ま、確かに、「自然から見たら、あなたもこのカエルも同等の生き物なんですよ」といわれて気分のいい人間はめったにおらんよな。誰だって、人より劣っていると思われたくない、人より上回っているとは思われたいし、思いたいよね。でもだからって、自分はいかにもすごいんだと虚勢を張ったり、人を見下したりしても、偉くなれるわけじゃないよね。それは相手が動物でもいっしょだと思うよ。

　できることなら、自分を卑下するでもなく、虚勢を張るでもなく、人や動物たちを見下すでもなく、ありのままの自分でいたいなと思う。何でもないようで、とてつもなく難しいことだけど、そう思い続けていれば、高尚だとか低劣だとか人と争って傷付け合わなくても済むんじゃないかな。もちろん動物たちともね。