レールの上

 各駅停車、急行、特急、回送、etc。レールの上を走る電車にもいろいろある。行く先だって様々、スピードだってそれぞれ違うし、行き先は同じでも違う経路を通ることだってある。同じレールの上を走っていてもそれぞれ特徴がある。世の中では、親や回りの大人によってひかれたレールの上を走り続けることを頭ごなしに非難している。個性がないとか自分の意志を持っていないとかいう理由で…。

 本当にそうなんだろうか。僕はレールの上を走っている人間の一人だが、自分の意志も持っているつもりだし、個性も少しはあると思っている。たとえレールの上を走るにしても、自分のペースを保てば疲れないし、少しだけレールを横に継ぎ足して自分の気に入ったレールに乗り換えることもできる。後ろから追い立てられたら、わきに適当な駅をつくってそこで待って追い越させてやればいい。そうして自分の居場所を確保して、自分の目標をゆっくりと探していけばいい。道が違うと思ったら、またレールをつくって乗り換えればいいのだ。

 しかし、それさえもしんどいという人もいるかもしれない。そんなときは、自分の進みたい方向に向かうレールの横で待っていて、後からきた奴にくっついていけばいい。目標につくことぐらいはできるだろう。ただそこで達成感を味わえるかどうかは知らないが…。

 ぼくは別にレールを無視して突っ走ることのできる人間を非難してるのではない。そうできない人間にもそれなりの生き方があるといいたいのだ。消極的な人間に積極的になれといってもなかなかなれるものではない。けどそれなりの生き方を考えることはできると思う。

 要するに、レールの上を走っているかどうかではなく、自分の意志で以て生きているかどうかが問題じゃないのかな。より多くの人に、人間の多様性を理解して認めてあげられる度量の広い人間になってほしいな。

メニューに戻る