この世に、「誰から見ても絶対的に正しい」ものは存在しない、僕はそう思っている。例えば、「人を傷付けるのはよくないことだ」というのは、広く一般に知られていて、正しいと思われてることだと思う。僕もこれはもっともなことで、人として最も基本的なことだと思っている。でもこのことは絶対に正しい、と言い切れるのだろうか?
食物の少ない厳しい環境下に住む鳥のヒナ達は、自分自身が生きるために、自分が生きるための食糧を確保しようと、他のヒナを巣から蹴落として殺すことがよくある。そうしないと生きていけないからだ。もし少ない食料をたくさんの兄弟で譲り合っていたら、兄弟全員餓死することになる。だから、生きるために兄弟を蹴落とす。
この、「兄弟(姉妹)をも蹴落とす」ことを生きるための正当な行為と言う人もいるだろう。たとえ、兄弟姉妹全員餓死しても、傷つけたり殺したりするのはだめだという人もいるだろう。これが鳥じゃなくて、人間の場合でも同じように考えられると思う。大飢饉が起きて、最低限生きていくだけの食料も無い。譲り合って遠慮し合って全員餓死するのがいいのか、お互い奪い合って、傷付け合って、時には殺しあってでも、生きていくのがよいのか。はたまた、誰かが、他の人のために自ら死を選ぶのがよいのか…。
そのどれが正しいかなんて、一意に決められることじゃないはず。そうすると、「人を傷付けるのはよくない」というのは、基本的には正しいのだろうが、それが一切の例外なく絶対に正しいとは言い切れない、と僕は思う。他の、一般に正しいと思われていることも、人によって見解は分かれると思う。だから、誰から見ても「絶対に正しい」ものは存在しないんじゃないかと思う。でも、「絶対に正しい」ものが存在する可能性は否定しないけどね。
そうしたら「絶対」が無いなら、何を信じればいいのか? と思うかもしれない。人は自分の「正しい」と思うことを信じて生きていけばいいのだと僕は思う。誰から見ても「絶対」とか「完璧」なものにこだわるのではなくて、自分にとって「良い」、「正しい」ものを目指して生きていけば、自分らしく生きていけていいんじゃないかな。
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