〜友達〜

 オレって社会の、または誰かの役に立ってるんだろうか? もしかしたら、あんまり必要ではないのだろうか? 多分多くの人が一度は感じたことがある不安だろう。ぼくだって「役立たずの、無用な人間なんてどこにもいないさ」といっていながらもやっぱり不安だった。でも、最近は落ち着いてきた。友達のおかげで…。

 小学校5年あたりから付き合ってる友達がいる。最初はしょっちゅうけんかしていたけど、どこか自分と似ているような感じのやつで、いつのまにか仲良くなっていた。おとなしくて、そこそこ頭も切れるやつで、一緒に居て落ち着けるやつである。

 この前その友達と旅行に行った。風呂場で何気なくお互いの昔の話をしていた。そんな折、「小学校5、6年頃オレ漢字の読み書きとか、あんまりできんかったんや。でも、周り(友達)見てたらこんなんじゃあかん、自分もちゃんとできるようにならなと思って、必死に勉強しだしてん。」という(内容の)ことを言われた。ぼくは、まず驚いた。そして、顔にこそ出さなかったが、なんか、とてもうれしかった。ぼくのような人間でも、友達が変わるきっかけの一つになれたということが…。

 彼は、中学、高校時代トップクラスとは行かなかったものの、平均以上の成績は残し、得意不得意分野の激しかったせいもあったのか、大学ではなく専門学校に進み、無事に就職も既に決めている。経歴を見ればエリートだとはいわないが7、8年前は全然だめだったとは思えないぐらいになっている。

 そんな彼が、この前、こんなことを言ってくれた。
「あの時、みんなに会えなかったら、オレ今ごろどうしてたかなあ」と。その答えはだれにも分からないけど、これだけは分かっている「あの時君に会えてなかったら、こんなに心が落ち着いてはいなかったよ、ありがとう」

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